震災から10か月経って、ようやく朝日の社説が機能回復してきました。メルトダウンから冷温状態になったということでしょうか。
-原発政策―40年で廃炉は当然だ-
4月の原子力安全庁(仮称)発足にあわせた、新たな原子力安全規制の大枠が固まった。
あいまいだった原発の寿命は「運転開始後40年」と法律に書き込む。過酷な事故が起きた場合の対策も、事業者の自主的な取り組みとしてしか位置づけられてこなかったのを、きちんと法律で義務づける。
これまでの規制が原発推進と一体化していたことへの反省から、米国の原子力規制委員会などにならい、原子力基本法に基本理念として「放射線の有害な影響から人と環境を守る」ことを明文化する。
福島第一原発の事故の教訓を考えれば、いずれも当然の転換である。
原発の寿命について、安全庁の準備室は「原発の新設が難しいから廃炉も先延ばしするといった供給側の事情に配慮するような発想を切り離す」という。その姿勢は評価する。
とはいえ、これはほんの第一歩にすぎない。
すでに40年を超えて運転している原発は、東京電力の福島第一1号機以外に、日本原子力発電の敦賀1号機と関西電力の美浜1号機(ともに福井県)の2基ある。関電は7月に40年となる美浜2号機についても、運転延長が可能とする報告書を国に提出している。
まずは、これらを例外なく廃炉にすることが試金石となる。
ただ、40年寿命だけでは脱原発は進まない。私たちは老朽化した原発はもちろん、地震や津波の可能性が高い地域にあったり、現実的な避難計画の設定が難しかったりする原発は廃炉にしていくよう求めてきた。
新たな規制では、最新の安全技術や運転開始の段階ではわからなかった活断層の存在などの知見を、すでに動いている原発にも反映することを義務づける「バックフィット」という制度を導入する。
これを厳密に適用し、現時点での知見を反映させて、すべての原発の「仕分け」を早く実施すべきだ。
また、金融機関と同様、法令違反などが発覚すれば、業務停止や免許取り消しとなるような罰則規定も必要だろう。
問われるのは、描いた絵を本物にする実行力だ。
新たに発足する安全庁の独立性や検査・審査能力をどう確保し、育てていくか。
新庁の主力は原子力安全・保安院から移行する職員だ。電力会社や原発メーカーの出身者も少なくない。意識改革を通じて事業者との間に緊張感のある組織にしなければならない。
-引用終わり-
-原発政策―40年で廃炉は当然だ-
4月の原子力安全庁(仮称)発足にあわせた、新たな原子力安全規制の大枠が固まった。
あいまいだった原発の寿命は「運転開始後40年」と法律に書き込む。過酷な事故が起きた場合の対策も、事業者の自主的な取り組みとしてしか位置づけられてこなかったのを、きちんと法律で義務づける。
これまでの規制が原発推進と一体化していたことへの反省から、米国の原子力規制委員会などにならい、原子力基本法に基本理念として「放射線の有害な影響から人と環境を守る」ことを明文化する。
福島第一原発の事故の教訓を考えれば、いずれも当然の転換である。
原発の寿命について、安全庁の準備室は「原発の新設が難しいから廃炉も先延ばしするといった供給側の事情に配慮するような発想を切り離す」という。その姿勢は評価する。
とはいえ、これはほんの第一歩にすぎない。
すでに40年を超えて運転している原発は、東京電力の福島第一1号機以外に、日本原子力発電の敦賀1号機と関西電力の美浜1号機(ともに福井県)の2基ある。関電は7月に40年となる美浜2号機についても、運転延長が可能とする報告書を国に提出している。
まずは、これらを例外なく廃炉にすることが試金石となる。
ただ、40年寿命だけでは脱原発は進まない。私たちは老朽化した原発はもちろん、地震や津波の可能性が高い地域にあったり、現実的な避難計画の設定が難しかったりする原発は廃炉にしていくよう求めてきた。
新たな規制では、最新の安全技術や運転開始の段階ではわからなかった活断層の存在などの知見を、すでに動いている原発にも反映することを義務づける「バックフィット」という制度を導入する。
これを厳密に適用し、現時点での知見を反映させて、すべての原発の「仕分け」を早く実施すべきだ。
また、金融機関と同様、法令違反などが発覚すれば、業務停止や免許取り消しとなるような罰則規定も必要だろう。
問われるのは、描いた絵を本物にする実行力だ。
新たに発足する安全庁の独立性や検査・審査能力をどう確保し、育てていくか。
新庁の主力は原子力安全・保安院から移行する職員だ。電力会社や原発メーカーの出身者も少なくない。意識改革を通じて事業者との間に緊張感のある組織にしなければならない。
-引用終わり-