ソニーが、岐阜県美濃加茂市にある子会社の工場を来年3月に閉鎖すると発表したそうです。周辺には、かつては他にも富士通や松下、日立といった電機メーカーの工場が集まっていたそうですが、相次いで撤退してしまい、ソニーが最後の1社となっていたようです。
もちろん地元経済への打撃は計り知れませんが、美濃加茂市がブラジル人などの外国人を多数受け入れてきたという点も、大きな心配の種の1つです。ブラジル人が多数暮らす町というと、群馬県大泉町や静岡県浜松市などが知られていますが、この美濃加茂市も両者に引けをとらず外国人労働者で栄えている町です。
実は私は、この町に一度行ったことがあります。美濃加茂市といいつつ、その中心となるJRの駅は美濃太田といいます。ここは、古来中山道の太田宿と太田の渡しがあったところで、以前中山道歩きをしていたときに立ち寄りました。さすがに宿場通りはそれなりに古い街並みをしているのですが、一歩外に出るとたしかにブラジルっぽい顔立ちの人たちを多く見かけました。
昔の写真をほじくってみましたが、さすがにこの話題関連のものは見つかりませんでした…。上の写真は美濃太田の西側の日本ラインから撮ったものですが、画面左手奥にはたくさんの工場が煙を吹いています。美濃加茂市が一大工業地帯であったことがうかがえます。下の写真は太田宿のもので、右側を歩いている男性の背後の喫茶店は「サントス」という名前のようですが、さすがに関係ないですかね(笑)。
私が訪れたのは美濃加茂市が外国人労働者の多い町だと知る以前のことだったのですが、服屋や雑貨店などには原色系の商品が雑然と並んでいて何とも違和感を覚えた記憶があります。当然客もあちら系の方が多いわけで、その時は「何でこんなに外国人が多いんだろう」と訝ったものでした。その後、外国人労働者の問題を研究している方が今度美濃加茂市を具体的なサンプルとしたいので行くつもりだというので、「ああ美濃太田なら行ったことあるわ」ということになり、その方面の方には有名な町だと知って至極納得しました。
日本人でさえ雇用が厳しく大変だというのに、美濃加茂市を出て行かざるを得ない格好となった外国人労働者の今後が気になります。今夏にイギリスで会った友人とカントリーサイドへ出かけた時、農場で収穫作業をしている人たちを指して、「あれは多分東欧からの出稼ぎ労働者だ。彼らのなかには契約期間が過ぎても祖国に帰らず、犯罪集団化するのもいて、イギリスでは問題になっているんだ」と言っていたのを思い出します。今のところ、日本に関してそこまでの話は私は聞いたことがありませんし、仮に犯罪集団化しても中国人グループとの抗争に負けて駆逐されてしまいそうな気もします。
ただ、どうしても不安材料になってしまうのは否めないようにも思います。工場閉鎖はやむを得ないにしろ、せめて企業も自治体も、人間を使い捨てにはせず、一度受け入れた以上責任をもって見送って欲しいものです。