見もの・読みもの日記

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2020年6月関西旅行:奈良国立博物館・なら仏像館

2020-07-02 22:22:36 | 行ったもの(美術館・見仏)

奈良国立博物館・なら仏像館 名品展『珠玉の仏たち』(2020年6月2日~)

 奈良博は仏像館と青銅器館だけが開館中だった。仏像館は、最近、ぱっとメインホールに入ることができなくて、館内を半周しなければならないのが面倒臭い。と思ったら、第1室に見慣れない十一面観音菩薩立像(平安時代)がいらっしゃった。左手を垂らし、右手に水瓶を持つ。動きの少ないストンとした立ち姿が古風な印象。大智寺ってどこのお寺だろう?と考えながら巡路を進み、第6室(メインルーム)に出て、あたりを見回す。

 奥の中央に、浄土寺の巨大な阿弥陀如来立像は変わらず。その手前は、左に元興寺の薬師如来立像、右に法明寺の吉祥天立像、そして手前中央に同館所蔵の如来立像が重厚で南都らしい四角形をつくっていて、とてもよい。この部屋で珍しいと思ったのは、泉屋博古館所蔵の阿弥陀如来坐像。温和な丸顔だが、いわゆる定朝様よりもキリッとした印象。お会いしたことがあるだろうか。

 それから、見たことのあるような、ないような文殊菩薩騎獅像(鎌倉時代)がいらして、「文殊菩薩騎獅像(京都・大智寺所蔵)のX線CTスキャン調査」というリーフレットが置かれていた。大智寺は、木津川市木津雲村にあり、2019年秋から始まった本堂改修に際して、文殊菩薩騎獅像と十一面観音菩薩立像を奈良博でお預かりしているのだという。文殊菩薩は、安倍文殊院の像に近いという。ああ、なるほど確かに。像内納入品が見つかったことは、「日々是古仏愛好」(旧:神奈川仏教文化研究所)の特選情報のページで見ていたことを、あとで思い出した。

 メインルームの左右のうち、片側(二月堂本尊光背があるほう)には観音像が集結。ウェストが細く、衣文が華やかな十一面観音は元興寺のもの。新薬師寺の十一面観音は板光背を負う。横に広い平たい顔の観音菩薩像(万願寺旧蔵)など、どれも個性豊か。反対側は、以前、天野山金剛寺の降三世明王がいらしたところ。今も黒い背景が残っていて、秋篠寺の梵天立像と救脱菩薩立像が並ぶかたちになっていた。悪くない。

 メインルームでは、複数の警備員や係員の方が、無言でソーシャルディスタンス注意のプレートを掲げていた。また、普段は仏像から仏像へ自由に歩き回れるのだが、お客さんが交錯しないよう、きちんと巡路が設けられていた。会話を控えることが推奨されているので、館内が静かで見仏に集中できるのは嬉しい。ずっとこのままでもいいくらいだ。

 ちなみに通り道の興福寺の境内も、見事に人がいなくて驚いた。前日の京都は、だいぶ人出が戻っていたが、奈良はまだまだ。30年くらい前の奈良は、こんなふうだったなあ、と記憶を探る。東金堂の壁も文字が新しくなっていたので、記録写真。


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