見もの・読みもの日記

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神さまの乗りもの/神輿(國學院大學博物館)

2024-09-07 23:20:53 | 行ったもの(美術館・見仏)

國學院大學博物館 企画展『神輿-つながる人と人-』(2024年6月29日~9月16日)

 国学院大学が所蔵する祭礼を描いた屏風、絵巻、刷り物などから「神輿とは何か?」を紐解き、さらに「祭りの力」についても考える。絵画資料が多くて、視覚的におもしろかった。

 展示パネルによれば、神輿が歴史の舞台に登場するのは、天慶8年(945)志陀羅神などの神輿が摂津の国から移動したときのことだという。図録の解説はもう少し詳しくて、『続日本紀』によれば、天平勝宝元年(749)宇佐八幡宮の八幡神は東大寺の大仏建立を助けたいとの託宣を下し、約1ヶ月かけて平城京へ上京したが、神輿を使用したかどうかは明確でない。神輿の明確は記事は、『本朝世紀』天慶8年(945)7月28日の条になる。はじめは志陀羅神など3基の神輿と記されていたものが、自在天神(菅原道真公の霊)と八幡神という認識に変化していく。このへん、当時の社会背景(災害、感染症、内乱)や、名前の挙がっている神々の性格を考えると、とても興味深い。

 その後、天延2年(974)の祇園御霊会を早い例として、神輿で神々が移動する祭りのかたちが定着する。この前提として「古代において、神霊は『坐す』存在であり、八幡神ほか、特定の神々を除けば、原則として移動することはなかった」と説明されていたけど、そうかなあ。移動を繰り返して最終的に「坐す」に至る神々はけっこう多いように思う(伊勢神宮もそうだし)。

 展示資料では『付喪神絵詞』(江戸時代後期)が可愛かった。ネズミやウサギみたいな付喪神たちが、面を付けたり、獅子舞を演じたり、神輿を担いだりしている。歌川芳宗の錦絵『天王御祭礼之図』は、モブ(群衆)の表情にひとりひとり個性があって、細かく眺めると楽しい。

 この日は、行ってみたら「神輿を担ぐ!(学生神輿サークルによる実演と解説)」というイベントがあったので、参加してしまった。神輿サークル「若木睦(わかぎむつみ)」の学生さん4名による神輿トークで、この展示を担当した大東敬明先生が話を聞くかたちで進行した。典型的な「江戸前担ぎ」として紹介されていたのは、神田明神の神田祭、赤坂日枝神社の山王祭。神田祭では法被の下は上下とも黒が正式なのだそうだ。あれ?深川八幡祭りは白だな。季節が関係しているのか、それとも水をかぶるからか。

 本来、神輿は神様を乗り移らせ、巡行するものだが、靖国神社のみたままつりでは、英霊は社殿から動かないので、ただ賑やかな祭礼を見せて英霊を慰めるのが目的だという。品川の天王祭は「城南担ぎ」と言って、江戸前担ぎとは全く様子が異なる。神奈川県の湘南地方には「どっこい担ぎ」というのもあるそうだ。大東先生いわく、「どれが正しいんですか?」と聞かれることがあるが、その地域で長年受け継がれてきたものが正しいんです、という説明に同感である。

 須賀神社(栃木県小山市)祇園祭の神輿は「アンゴステンノ-」という不思議な掛け声をかけるそうで、大東先生の「南無牛頭天王」が訛ったものだろうという解説に深く納得した。おもしろいなあ。もっと各地の神輿を見たくなってきた。

 最後はフロアの椅子を片付けて、学生さんたちが実際に神輿を担いで見せてくれた。神輿好きらしいおじさんが飛び入り参加をしていたが、足の運びがかなり複雑で、素人がいきなり担げるものじゃないなあと思った。

(おまけ)最近、國學院大學博物館に行くときは、学食に寄ってランチをいただくことにしている。学外者も利用しやすくてありがたい。

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