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見もの・読みもの日記

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醍醐と吉野/桜さくらサクラ・2009(山種美術館)

2009-04-02 23:14:22 | 行ったもの(美術館・見仏)
山種美術館 『桜さくらサクラ・2009-さようなら、千鳥ヶ淵-』(2009年3月7日~5月17日)

 近代日本画の優品を数多く持つ山種美術館。毎春恒例の「桜さくらサクラ展」は、千鳥ヶ淵から流れてくるお花見客で混雑する。

 私がいちばん好きなのは、奥村土牛の2作品『醍醐』と『吉野』。『醍醐』はしばらく見逃していたので、2005年の春以来になる。私は、前回、この絵を見て「桜の木が、杖をつき、少し衣を引きずる老女に見える」なんて書いたが、今回は、全然老女に見えなかった。ふわりと広がったピンク色は、少女のチュチュみたいじゃないか。印象って不思議だなあ。背景の、黒い瓦を載せた白塀が、青みを帯びて青花(陶磁器)のように見えるのも桜色の反映だろうか。『吉野』は、ピンクの桜霞を背景に、純白の桜花が一輪一輪はっきりと描かれている。京焼みたいな色遣いである。

 小林古径の『入相桜』は、白い毛糸のボンボンみたいな桜であるが、濃いピンクの蕾と明るい緑の葉が色を添える。同じ「桜」という植物を描きながら、どうしてこんなに描き方が多種多様なんだろう、と思う。

 江戸ものが1点。狩野常信の『明皇花陣』は、もともと玄宗皇帝がどの牡丹に蝶がとまるかを競わせた故事をいうらしいが、ここでは、宮女たちの他愛ない戦争ごっこ図になっているようだ。棒の先に桜や牡丹の枝を取りつけたものを構えて、勇ましく争いあう姿が愛らしい。

 同美術館は、本年10月に広尾に移転予定。東京有数の桜の名所、千鳥ヶ淵からこの展覧会がなくなってしまうのは、ちょっとさびしい。

 追伸。「Googleマップ」および「Googleストリートビュー」で千鳥ヶ淵周辺を見ると、なんと桜が満開!! 偶然なのか意図的なのか、うれしい。

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