見もの・読みもの日記

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東博の平常展示・愛染明王坐像ほか

2010-03-26 23:55:29 | 行ったもの(美術館・見仏)
東京国立博物館・本館11室(彫刻)

 等伯展の混雑の口直しは、心落ち着く平常展示で。仏像彫刻の並ぶ11室で、はじめ、美しい空の厨子を見た。頂上に宝珠を頂き、周囲の八角形の壁は、前面が2枚×左右、その奥が1枚×左右に開く。いちばん奥の内壁(残り2枚分)には、牛に跨った大威徳明王のいる楼閣が描かれ、扉の内側には、波立つ海原を背景に、降三世明王と金剛夜叉明王(かな?)そして菩薩たちが描かれている。鈍く輝く金色と、青・赤・緑等の色彩の美しいこと。

 しばらくボー然と立ちつくしたあと、見慣れない愛染明王坐像が並んでいることに気付いた。実は、隣りの厨子に納められていたものらしい。「内山永久寺伝来、鎌倉時代、重文」という説明あり。昨年度まで3年かけて修理が行われていたのだそうだ。ガラス玉を連ねた瓔珞が明王の胸元だけでなく、台座である蓮華の花をぐるりと覆うように垂れ下がり、深紅と截金の荘厳な対比に、清浄な露のような輝きを添える。まるで、美麗をきわめた院政期の仏画をそのまま立体フィギュアにしてしまったようで、ポカンと開いた口がふさがらない。パネルの解説も「(瓔珞が)天蓋と蓮台から垂れる様子も実に美しい」と大絶賛だった。画像はこちら(拡大を推奨)。これだけの名品なのに、東博が何の「宣伝」してないのはちょっと解せないが、仏像ファンはお見逃しなく!

■本館16室(歴史資料) シリーズ「歴史を伝える」特集陳列『博物図譜-桜を中心に-』(2010年3月9日~2010年4月25日)

 春休みの「博物図譜」特集は、この16室の恒例と言っていいように思う。今年は、幕末~明治のいわゆる「博物図譜」に加えて(科学と芸術の枠を超えて)円山応挙の『写生帖』と狩野探幽の『草花写生図巻』が出ているところが新しい。服部雪斎の『花鳥』は、濃厚な色彩でボタン・ツバキ・ハクモクレンなど多様な植物を、狭い画面にぎゅうぎゅう押し込めて描く。西洋のボタニカルアートみたい(でも軸表装)。服部雪斎は博物画家と称されているけど、元来は谷文晁門下なんだな。

 関根雲停は何を見ても楽しいが、田中芳男に率いられた博物局が編纂した『博物館獣譜』から、トラの絵が展示されていた。かわいい~。どんぐり眼のトラの顔のスケッチの横に「文久元十月二十六日」とある。そうだ、今年の新春特別展示『寅之巻』でも紹介されていたとおり、これは関根雲停が「日本に初めて上陸した生きた虎」を見物した記録なのである。

 このほか、気になったのは、後藤光生編『随観写真』に人体解剖図(ただし"人体"はなくて内臓配置図のみ)が載っていること、同じ本だったと思うのだが「幸福」と題した、鹿に似た動物の絵があって、「牝鹿の中より変生したもので小型、岐蘇(木曽)山中に時々いる(大意)」みたいな説明が書いてあった。あやしい。

 他の展示室では、3月上旬まで出ていた雪舟の『梅花寿老図』に替わって、同じ雪舟の『四季山水図』の「春」が4月上旬まで出ている。4幅の中で最も中国的と言われる作品だそうだ。そのせいか、とっても好き。こういう名品を飽きるまで眺めるのは、平常展示だけの贅沢である。

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