見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

宮内庁書陵部展示会

2004-11-02 00:31:12 | 行ったもの(美術館・見仏)
○宮内庁書陵部 特別展示会『儀式関係史料』

 週末、宮内庁書陵部の展示会に行ってきた。毎年、この時期に行われるイベントである。ただし、書陵部の組織は、図書課・補修課・陵墓課に分かれており、文献関係の展示と陵墓関係の展示が、交互に行われているらしい。





この展示会に入るには書陵部からの招待状が必要である。だから、来訪者の大半は、大学の先生と、先生に引率された学生である。私は学生時代に一度だけ来たことがあるが、今回、とあるルートで招待状を手に入れ、久しぶりに出かけた。

 今年のテーマは「儀式関係史料」とのことで、「西宮記」「北山抄」「江家次第」など、学生時代、国文学の演習でお世話になった題名の資料がたくさん並んでいた。絵画史料では、「年中行事絵巻」の江戸時代書写鷹司本というのが、筆に生気のあふれた白描で、楽しかった。

 「公事録」という江戸時代の宮中行事図(彩色)では、正月の行事「四方拝」の図が出ていた。「四方拝」って、学生時代にさんざん目にした言葉だったのに、具体的に何をどのようにする行事かは全く想像したことがなかった。だから、屋内から庭のまんなかに向けて長い絨毯(?)が延びていて、その先端の御座をぐるりと屏風が覆っているという不思議な光景を見て、かなりショックだった。こんな感じである↓

http://www011.upp.so-net.ne.jp/yuusoku/anual/anual-01/Jan.html

 それから「礼儀類典」という儀礼関係の類書(江戸時代)に、天皇が即位に際して着用する礼服の図があった。これがまあ、不可思議きわまりない文様であった。両袖に龍、両肩に日月のほか、胸から裾にかけては、華虫(雉)、山、火、トラと白猿などが行儀よく整列している。ネット上にいい図版がないので、とりあえず、「西宮記」の文章を載せているサイトを参考までに次に挙げておこう。

http://evagenji.hp.infoseek.co.jp/0402nisijin007.htm#5

 展示会には大正天皇の即位礼の写真など、近代の史料もいくつか出ていた。そのなかで目をひいたのは「憲法発布式之図」と、そのあとの宴会を描いた「豊明殿御陪食之図」という2枚の水彩画。作者の床次正精(とこなみまさよし)は、司法官を努めるかたわら、独学で洋画を学んだそうだが、はっきり言って下手なのだ。空間は歪んでいるし、人間に立体感がないし、小学生の水彩画である。だけど、なんともいえない味わいがある。あっそうか、長新太の「おしゃべりなたまごやき」の絵に似てるんだ!!

 というわけで、いろいろと楽しい1日であった。
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