見もの・読みもの日記

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中世の仏教絵画を味わう/金沢文庫の絵画(神奈川県立金沢文庫)

2010-03-14 23:35:09 | 行ったもの(美術館・見仏)
神奈川県立金沢文庫 特別展『金沢文庫の絵画』(2010年2月18日~4月18日)

 神奈川県立金沢文庫の開館80周年を記念して、同館が保管する(=称名寺に伝わった)絵画の名品を紹介する展覧会。前後期で、かなり大幅な展示替えがある。国宝の四将像(北条実時像・北条顕時像・金沢貞顕像・金沢貞将像)揃い踏みが見られるのは後期(3/24~)だが、前期も面白そうなので、行ってみた。

 第1室に入ると、高僧の肖像、いわゆる頂相図がぐるりと掛っている。称名寺の開祖・審海上人像は、前に見た記憶がよみがえった。椅子の掛け布(→「法被」というらしい)の華やかな文様はよく残っているのに、顔の目鼻が全く消えて、のっぺらぼうみたいになってしまっている、ちょっと怖い肖像画である。西大寺ゆかりの忍性大師、興正菩薩(叡尊)の肖像を見て、そうだ、称名寺って真言律宗系だったな、と思い出す。変わったところでは、華厳宗祖の香象大師像。小花がふりそそぎ、リリカルな雰囲気。ほか、弘法大師像、伝・慈恩大師像、伝・鑑真和上像など、なんでもあり。ひとつの寺というより、東国の仏教文化センターだったことが大きいのかも知れない。

 不思議に思ったのは、どの肖像画にも、ほとんど書き入れがないこと(上述の審海像にだけ、申し訳のような書き入れがある)。京都の禅寺に伝わる頂相図は、だいたい賛や法語の文字だらけのイメージがあるのに。

 後半、第二室は、仏画が中心。巨大な仏涅槃図(鎌倉時代)は初見のような気がする。こんなにたびたび金沢文庫には来ているのに…。たった1羽で上空を舞う迦陵頻伽が、寂しそうで美しい。十二神将像(鎌倉時代)も記憶にないなあ。沈んだ青色を背景に、寒色を基調にした沈鬱で美しい作品。前期展示は亥神と辰神。ポスターになっている寅神は後期の登場である。禅月様と呼ばれる、奇ッ怪な羅漢像が2点。これは一度見たら忘れられないので、よく記憶に残っている。

 公式サイトには「主要展示品」及び「展示替え一覧」が掲載されているが、できれば時代を付記してほしかった。実際に行ってみると、鎌倉~南北朝、室町時代のものがほとんどで、時代の古さに圧倒される。でも、最後の「西王母図」と「達磨図」(長谷川雪旦筆)は、江戸~明治もので、新しいけど、好きだ。

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