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見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2022年1月関西旅行:寅づくし(京都国立博物館)ほか

2022-01-14 17:20:35 | 行ったもの(美術館・見仏)

京都国立博物館 新春特集展示『寅づくし-干支を愛でる-』(2022年1月2日~2月13日);特集展示『新収品展』(2022年1月2日~22月6日);特集展示『後期古墳の実像-播磨の首長墓・西宮山古墳-』(2022年1月2日~2月13日)

 特集展示を冠していたのは、2階の『寅づくし』と1階の『新収品展』『後期古墳の実像』だけだが、その他の展示室も、それぞれユニークなテーマ設定で面白かった。京博の平常展を見たのは久しぶりである。いろいろ制約はあるのだろうが、特別展ばかりやっていないで、もう少し平常展に力を入れてほしい。

 2階『寅づくし』の冒頭には、おめでたい赤色を背景に、京博の公式キャラ・トラりんのモデル、光琳の『竹虎図』が掛っていた。京博が干支にちなんだ新春特集陳列を始めたのは、2015年の『さるづくし』からなので、トラりんが正月の主役になるのは初めてのことだ。よかったね。12年後も現役でいてほしい。雪村の『鍾馗図』は、鍾馗様の虎退治のように見えて、実はじゃれついているところ。妙心寺所蔵の『達磨・豊干・布袋図』3幅対(南宋時代)は、豊干禅師と一緒に虎が描かれているが、肩を怒らせた豊干と、背後で身構える虎の性格が似ていそう、という解説が面白かった。正伝寺の伝・李公麟筆『猛虎図』は、若冲の模写の原図として知られるもの。黄色というよりオレンジに近い虎の毛色が鮮やかで美しい。中国・秦~前漢の青銅虎符も出ていた。

 2階には『平清盛没後840年 盛者必衰-「平家物語」と源平の合戦-』(2022年1月2日~2月13日)も。京博の所蔵で『平家物語』の絵画化としては最古例と見られる『平家物語絵巻』(室町時代)が展示されていた。「小絵」のサイズで、色絵具は使わず、墨画のみ(しかし巧い)。将軍家や公家の子女の愛玩物であったと推定されているそうだが、贅沢品ではなく、「平家物語」が好きでたまらない人物が、自分か自分の親しい人の楽しみのために制作したように思えた。

 1階の『新収品展』の注目は、伊藤若冲の『百犬図』。これまで京博の寄託品であったと思うが、正式に京博の所蔵に帰したようだ。円山応挙筆『七難七福図巻画稿(福寿巻)』と『人物正写惣本補図』もあり。その場ではあまり意識しなかったが、リストを見ると、これらは全て「購入」なのだな。下世話な関心が起きたので、京博の「購入文化財情報」で公開されている購入価格を確認してしまった。なるほどなあ。

 一方、府中市美術館の江戸絵画まつりなどでおなじみ、徳川家光のゆるふわ『梟図』は寄贈で京博入り。寄贈者の稲葉正輝氏は、山城国淀稲葉家の末裔である。染織・陶磁・刀剣など、さまざまな新収資料が並ぶ中に、近代ものらしい、幼児用の『朝顔文様着物』『檜垣に菊花文様袖無羽織』それに『ボンネット帽子』があり、特に珍しくもないのに何だろう?と思ったら、昭和天皇が使用したものだった。

 大展示室(彫刻)の『四天王と毘沙門天』特集では、八瀬・妙傳寺の毘沙門天像(2躯あり)が好み。京都・国分寺(宮津市の丹後国分寺のことか)の『行道面:毘沙門天』(平安時代)は、よいものを見せてもらった。あと3階の陶磁室は、日本・中国・朝鮮の名品揃いで、一日眺めてても飽きないと思った。繰り返すけど、京博は、こういう充実した平常展をもっと見せてほしい。

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