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見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

リニューアル・オープン!福井県立若狭歴史博物館に行ってきた

2014-07-24 21:34:05 | 行ったもの(美術館・見仏)
福井県立若狭歴史博物館 リニューアル記念展(第1部)『仏教絵画の華-大型仏画による荘厳-』(2014年7月18日~8月31日)ほか

 7/20(日)、前日7/19にリニューアル・オープンしたばかりの若狭歴史博物館に行ってきた。出発は大阪から。9:12発のサンダーバード9号で敦賀に行き、小浜線に乗り換え、東小浜11:41着という予定を立てていた。ところが敦賀に到着すると、小浜線が大雨の影響で止まっているという。えっ敦賀は海水浴日和の青空なのに? まもなく復旧しますと言われたが、結局、発車が1時間近く遅れ、さらに途中の行き違い列車待ちなどで、東小浜到着は1時間半くらい遅れた。

 若狭歴史博物館の前身である若狭歴史民俗資料館に初めて来たのは、2009年の冬で、このときは帰りの列車が雪の影響で大きく遅れたことを思い出した。旅の難儀は、あとから振り返れば、懐かしい思い出。当時も東小浜駅の周辺には何もなかったが、やっぱり今でも何もなかった。



 博物館の外観はそれほど変わっていない(と思う)が、駐車場に真新しいサインが設置されていた。博物館の壁には誇らしげに「若狭最大の博物館誕生!」の垂れ幕が下がっている。中に入ると、明るいエントランスホールの壁が書架になっていて、手に取れる参考資料が並んでいる。へえ、図書館みたいで面白い。



 2階へ。常設展示の第1室は、以前と同じ「若狭のみほとけ」である。まず黒駒地区の大日堂で秘仏として信仰されていた若狭地方最古の木造大日如来座像。これは初公開だそうだ(産経ニュースなど)。たぶん後代の補修で手元が妙な印相になっている上に、地蔵盆のお地蔵さんみたいな彩色を施され、ぎょろ目の顔が怖い。しかし、見る人が見れば、11世紀の古仏と分かるのだろう。

 続いて、円照寺の不動明王、奥の堂(おおい町大島)の阿弥陀如来、常禅寺の不動明王、長慶院の観音菩薩像、馬居寺の馬頭観音像、西福寺(敦賀?)の阿弥陀如来。これらは全て複製で(しかしよく出来ている)、撮影禁止の表示がなかったので、もしかしたら撮らせてくれる?と思って、室内の係員さんに聞いてみたが「室内全て禁止です」と言われてしまった。以上は展示ケースなしの露出展示。

 奥の壁沿いの展示ケースに収まった仏像は本物である。右から、長福寺の十一面観音。固い姿勢で棒立ちしているが、その左右をリズミカルに流れ落ちる、リボンのような条帛が面白い。隣りは、加茂神社為生寺の千手観音。昨年、バスツアーで訪ねた秘仏である。今年も秘仏めぐりの対象になっていたはずなので、複製…じゃないよね?と何度もプレートを見直す。次は、蓮華寺の阿弥陀如来と両脇侍像。眠そうな細い目が優しい。次は、円照寺の地蔵菩薩。小さくてかわいい。

 このほか、単立の展示ケースが2点。仏谷区の阿弥陀如来坐像は、全身がおにぎりみたいな三角形にまとまっている。求心力が感じられて、好きだ。青蓮寺の観音菩薩立像は、彫りの鋭い、壇像風。以上、13件。ほかにパネル写真で7体が紹介されている。うち2体が千手観音、馬頭観音が1体。法順寺の十一面観音がフツーだけど好き。

 気になったのは、以前見た「烏将軍」が不在だったこと。小浜市の浜辺に漂着した仏像で、若狭歴史博物館facebookのアイコンにもなっているのに、何故いない~と思った。

 さて、第2室「若狭の祭りと芸能」へ。こういうの大好きなので、「若狭のみほとけ」の部屋にいた係員さんに「向こうの部屋は写真を撮ってもいいですか?」と確認し、バシバシ撮りまくる。↓写真は、小浜放生祭の「棒振」の人形など。背後の壁面には、写真では見にくいけど、『小浜祇園祭礼絵巻』を典拠とする楽しいイラストが描かれている。



 そして、向かい側には「王の舞」の人形。壁面のイラストは、ひゃー『年中行事絵巻』じゃないか。大好き、大好き!とひとりで興奮してしまった。若狭の民俗や芸能には、古代の宮廷行事の趣きを伝えるものが多いことからの選択だろう。展示室の冒頭にあった、小正月の祝い棒・祝い槌を見たときも(枕草子に出てくる)卯杖を思い出した。 



 隣室「若狭のなりたち」から「若狭から都への道」へと見て行く。絵巻作品(複製)が2点。『若狭国鎮守神人絵系図』(鎌倉時代)は、白馬に跨った若狭彦の神と徒歩で従う節文(若狭彦神社の神職の祖)が雲に乗って、山の上を飛び越えていく図。これは、つい最近見たばかりだ、と思って、記憶をたぐるが、どの展覧会だったか思い出せず。冷静に考えたら、古本市で買った『芸術新潮』1991年12月号の展覧会案内に写真が載っていたのだった。しかし、そのくらい一目見たら忘れられない魅力がある。『彦火火出見尊絵巻』は、江戸時代の模写(明通寺蔵)のさらに複製だが、かなり平安時代っぽい。『吉備大臣入唐絵巻』や『伴大納言絵詞』を彷彿とさせる絵柄である。

 「若狭への海の道」の部屋では、李朝の『海東諸国記』に「小浜浦」の記述があるとか、象の日本初上陸の記録が残るのは小浜であるとか、高浜の日引石は日本海沿いの海上交易拠点に広く分布しており、積荷をおろした船がパラストとして持ち帰ったのではないか等、興味深い事例がいくつも紹介されていた。漂着仏(?)の「烏将軍」はこの部屋にあり。

 また、小浜藩医・杉田玄白による『解体新書』全4巻も展示されていたが、「表紙に記載されている天真楼」というのがどれを指すのか分かりにくかったり、朱筆の書入れ(文体が口語っぽい?)が玄白の筆なのかなど、やや説明が不足しているように感じた。最後に企画展示室の『仏教絵画の華』を見て行く。明通寺の『三千仏図』3幅が面白かった。

 だいたい2時間くらい遊んで、東小浜駅に戻った。幸い、列車のダイヤは復旧していたので、小浜駅まで1駅乗り、いつもの若江線バス→湖西線で京都へ。次回、バスで東小浜に来るときは「遠敷(おにゅう)」バス停で下りればよいことを確認。バス通り沿いだと、スーパーマーケットやファストフードのお店があって、食料調達に困らなくて済むようだ。

 次回は9月か10月に。木簡パスポートもいただきました!
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