見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

夏は沖縄/日本民藝館

2005-09-25 01:22:21 | 行ったもの(美術館・見仏)
○日本民藝館 特別展『琉球の美』

http://www.mingeikan.or.jp/

 7月から始まっていた特別展「琉球の美」を、ようやく見に行った。チケット売り場の前に、「館内でご自由にお使いください」と書かれた団扇が用意されていたので、これを使いながら見学する。冷房は、ごく弱めにしか入っていない。キシキシ音を立てる板張りの床、明り障子を通して射し込む光、窓の外の蝉の声を聴いていると、むかしの夏休みに帰ったような気がする。

 やっぱり、夏は沖縄。特別展の中心となるのは、着物と古陶である。古陶は、釉(うわぐすり)を大胆に流したものが面白いと思った。染付けも、なんでもない花鳥文のようでいて、よく見ると色づかいが珍しい。いちばん気に入った2点の解説が、案内パンフに載っていることに、あとで気づいて、嬉しかった。前者の代表作は「白掛色釉流抱瓶(だちびん)」。後者は、かわいらしい梅の枝を描いた「白掛色絵梅竹文碗」(枝が水色!)である。

 着物は、華やかな紅型(びんがた)のほか、絣(かすり)や縞、無地の織物もある。いずれも麻や芭蕉を材料にしていて、涼しげである。紅型は花鳥文が圧倒的に多いが、波間に浮かぶ舟の帆をデザインしたものが印象的だった。しかし、着物というのは人間の体型そのままなので、高い壁に掛かっていると、幽霊が浮いているようで、ちょっと怖い。

 そういえば、床にたくさん、さりげなく置かれていた、家の形をした陶器、厨子甕(ジーシーガミ)って骨壷なのよね。実際に使われたものなのだろうか。ほかに、昭和15年頃の白黒写真が展示されていて、古着市場の様子など、興味深かった。

 特別展とは無関係の部屋も、今回は全体に夏仕様だった。世界各地のガラス製品を集めた部屋には、中国製の「硝子絵」が出ていたが、中国美術の固定イメージを覆す可愛らしさである。若い女性のお客さんが「これってガラスの裏から描くんだよね、近景から順番に塗り重ねていくの」と話していた。なるほど。
コメント
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