見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

気分は仏教美術/大倉集古館

2004-07-05 00:20:53 | 行ったもの(美術館・見仏)
○大倉集古館 大倉喜三郎コレクションⅠ『仏教美術ってムズカシイ?』

http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/shukokan/

 4、5年前だと思うが、大倉集古館で、ふだんあまり展示会に出ることのない個人コレクションの仏像を集めた展示会があった。私は最終日ぎりぎりに行ったため、既に図録が売り切れで悔しい思いをした記憶がある。今回は、残念ながらあのときほど展示の内容に充実感はなかった。

 しかし、出品数は少ないが、大倉コレクションの仏像はいい。江戸や明・清の仏像がほとんどで、古いものは少ないのだが、これが江戸モノか?!とびっくりするくらい、いいものをセレクトしている。さすがだと思った。

 当時、美術コレクターといえば、絵画や墨跡、陶磁器がふつうで、大倉のように仏教美術に興味を示す者は少なかったらしい。なるほど。開館当時の大倉集古館の写真や錦絵が出ていたが、まるでお寺の講堂のように、大型の仏像がひしめき合っている図がおもしろかった。見たかったなー。残念ながら関東大震災で倒壊し、現在の、伊東忠太デザインの建物に建て替えられた。しばらくは旧館の名残りがローマの遺跡のように、小高い丘の上に残っていたようで、そうした古写真の類も興味深かった。

 今回の展示は、大倉集古館随一の名品である普賢菩薩像を象から下ろして解体して見せたり、館のシンボル的な巨大石仏が中国で発見・請来された当時の新聞記事を集めて展示したり、仏像の剥離止め、絹本絵画の修復工程の紹介など、いろいろ工夫を凝らした構成になっている。

 ただ、好みを言えば、ちょっとやりすぎの感もある。最近の流行りだとは思うが、妙に説明が饒舌である。ワープロ打ちの説明をマンガの吹き出しみたいに切り抜いて貼ってみたり。大倉集古館、おまえもか、という感じがした。

 ところで、建築家・伊東忠太と言えば、動物や怪物?を建物の随所に使用することで有名である。大倉集古館では階段の手すりにのっかっている丸々した獅子(仔犬?)がかわいい。携帯で写真を撮ってかえろうと思ったら「お客様っ!」と冷たく制止されてしまった。あのくらい、ダメなの?
コメント
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