「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

真空管「SV300B」の実力

2019年03月03日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

遂にネットアンテナの網にかかったスヴェトラーナ製の「SV300B」。

   

巷では「WE300B」に優るとも劣らない緻密なツクリで音もすこぶるいいという評判である。

(即決で)落札しようか、それとも潔く諦めようか。

肝心の懐具合もいささか心もとないし「To be or not to be」と、まるでハムレット並みの心境だ(笑)。

そこで、前回のブログで記載したとおりオークションでの画像と解説の是非について我が家の真空管の主治医である「北国の真空管博士」のご意見を求めたところ次のような回答が戻ってきた。

「スヴェトラーナ製の300Bは初期の頃のものが一番いいです。その中でもSVブランドがより上位とされていますが、画像を見る限りとても程度がよさそうですよ。

真空管の命ともいえるフィラメントは音色と耐久性を大きく支配しますがこの球はとてもいいツクリがなされています。

   

(即決の)お値段からするといいお買い物だと思います。海外のオークションでも人気があってもっと高値で出品されています。

ただし良い球になればなるほどエージングに時間がかかる傾向があります。本領を発揮させるには2週間程度必要でしょう。もし、購入されたとしたら初めに半日ぐらいは整流管を引っこ抜いてエージングしてください。」

いつも否定的な博士にしては珍しく前向きなコメントに勇気百倍の思いで踏ん切りがついたのは言うまでもない(笑)。

「SV300B」が到着したのは落札してから二日後だった。見るからに程度が良さそうだ。

さっそくアンプに挿しこみ、博士の指示通り整流管を引っこ抜いて一晩エージングしてから音出しをしたのは翌朝のことだった。

スピーカーはウェストミンスター(改)。

   

ハラハラドキドキワクワク、この歳になってもこういう緊張感と胸弾む感覚を覚えるのだからオーディオさまさまである。

そして第一印象は・・。

音が前に出てくるのではなくて奥の方に広がるタイプなので、これは明らかにヨーロッパ系の音である。これなら長く付き合えそうだと、ほっとひと安心。

さあ、あとは手持ちの「WE300B」とどのくらい違うのか、試聴テストである。

さっそく大好きな愛聴盤のオペラ「魔笛」(モーツァルト)で聴き比べてみた。

左右両方のスピーカーの間にステージ(舞台)が展開されているとすると、魔笛の登場人物が遠ざかっていくときの足音が無限の漆黒の闇に溶け込んでいくように聴こえるのが「WE300B」である。

その点「SV300B」は遠ざかっていく足音が早めに消えてしまうのでステージの奥行き感が短いように感じた。ちょっと余韻が足りないかな~。

とはいえ自分の耳だけでは心もとないので近隣のオーディオ仲間に来てもらって再度聴き比べたのは昨日(2日)の午後のことだった

テスト盤はジャズの方がクラシックよりも音質の差が出やすいので、「枯葉」にした。

   

アルトサックス、トランペット、ピアノ、ベース、シンバルなど多彩な楽器のそれぞれの響き具合を確かめれば真空管の音の差は一目瞭然だろう。おっと、「一聴瞭然」かもね(笑)。

オーディオ仲間の感想によると「WE300Bはとてもリッチな音です。響きが豊かでもう言うことないです。その点SV300Bはネクタイを締めた実直なサラリーマンみたいでちょっとかしこまった感じですかね。

しかし、大いに素性の良さを感じますのでエージングが進むともっと良くなることでしょう。

後で聴かせていただいたゲリー・カーのコントラバスは素晴らしい音色でしたし、しかもオルガンがまるでスーパーウーファーを使ったみたいに深々とした低音を響かせるのには驚きました。」

「同感です
。」と、自分。

「SV300B」の実力に「お値段」以上の手ごたえを感じた次第で、どうやら購入して正解だったようだ(笑)。

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名管「WE300B」に肉薄した真空管

2019年03月01日 | オーディオ談義

我が家の真空管アンプ群の中で、もし「ベスト1はどれですか?」と問われれば、どう答えようかと思うことがときどきある。

その日の気分次第に左右されるところもあるし、聴く音楽ソースによっても違うが、それらをいっさいおしなべて均してみたとするとやはり「300B」アンプに落ち着きそうだ。

   

現在、出力管を「WE300B」(1988年製)と「6A3」(1930年代製刻印付き)を交互に挿し代えながら楽しんでいるが、ケーブル類の交換などの周辺環境の変化に伴い、ますます存在価値を増しているのがWE300B。

「WE300Bはとても丈夫な真空管です。ごく控えめの動作に設定していますので、少なくともあなたが生きているうちは寿命が持つと思いますよ。」とは、このアンプを改造していただいた北国の真空管博士の弁だが、やはり高価な「WE300B」を常時使うのはちょっと抵抗感がある。

「高嶺の花はそれなりにそっとしておきたい」
、マニアならこの心理お分かりですよね~(笑)。

そこで、「WE300B」に肉薄した真空管を新たに手に入れて常時使用にすれば精神衛生上すこぶるよさそうだ。

さて「WE300B」の類似管として製作された球は山ほどあると言っても過言ではない。中国製、チェコ製、ドイツ製、日本製などいろいろだが、それらの中で比較的音がいいとされているのは「スヴェトラーナ」(ロシア)である。

第二次大戦後、ドイツの技術者を連れて帰って軍事用の球を作っていたという由緒あるメーカーなので信頼度は上の部である。民生用と違って軍事用は人間の命がかかっているのでよりシビアなツクリが求められる。

そこで、めったにオークションに出品されないスヴェトラーナ製の300Bに対してアンテナを張っていたところ、ついに引っかかったのが次の球。

   

   

真空管の点灯時に「紫色の光」がほのかに垣間見えるのは真空度が高い証拠で、これでほぼ新品同様であることがわかる。

オークションの解説にはこうある。

「Svetlana スベトラーナ SV300B マッチドペア 釣鐘式 Sロゴ レア品の新品同様品です。98年5月のペア管です。

資料も少なくレア品の理由をご存知の方は非常に少ないと思いますが、
このSV300B(Svetlana)は旧ロシア・サンクトペテルブルグにあるスヴェトラーナの工場で製造された300Bです。

写真の本体自体の構造を見て頂ければ判断頂けると思います。
WE300B(ウエスタンエレクトリック)を忠実にコピーしたレプリカで上部のオムスビマイカや釣竿型フィラメント固定具まで再現しています。

ウエスタンエレクトリックWE300Bにも劣らない丁寧なつくりで繊細で透明感のある音質がとても素晴らしい真空管です。コレクターの方や音質の優れた300Bをお探しの方には是非手にして頂きたい品物です。

新品をおろして数十時間しか使用しておりませんのでまだエージングの段階かもしれませんが動作は良好な状態でございます。

フィラメントの断線も一切なくゲッターの残量も良好でございますので写真を御確認下さい。プリントの印字のかすれもありません。残念ながら箱とデータシートはありませんが、間違いなくマッチドペアのVS300Bでございます。」

以上のとおりだった。

出品者の説明を鵜呑みにするほど「お人好し」ではないつもりなので(笑)、さっそく「北国の真空管博士」に連絡してご判断を仰いだのは言うまでもない。

「今は手いっぱいなので夜中でも見ておきましょう。」

そして、その翌朝のこと・・。

以下続く。

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