つい先日のブログ「大画面の迫力」の中で紹介させてもらったオーディオ仲間のYさん宅のシステム。
構成はエソテリックのCDトランスポート、TADのDAコンバーター、プリアンプは無しでマークレヴィンソンのパワーアンプ(モノ×2台)に直結。ちなみに前段機器は大型のバッテリー電源による駆動だ。
スピーカーもとても凝っている。5ウェイ方式で、スーパーウーファー、ウーファー(2発)、中音域は片チャンネル9個の小型ユニット、ツィーター、スーパーツィーターという構成。
以上のように、そんじょそこらにはない独特の5ウェイシステムを紹介したところ、すぐに敏感に反応されたのがメル友の「I」さん(東海地方)だった。その「I」さんから次のようなお問い合わせがあった。
「将来機会がありましたら、またYさん邸の取材をしていただけませんか。知りたいポイントがいくつかありますので。(本当に、機会があればで結構です)
「了解しました。お安い御用です。次回にYさんがお見えになったときに確認しておきましょう。」
その機会がすぐにやってきたので、Yさんにお訊ねしたところ、「分かりやすいように紙に書きましょう。」と、すぐにしたためてくれた。
これをパチリとやって添付ファイルで「I」さんに送信したところ、すぐに次のような返信メールが届いた。
もし九州に行けたとして、聴きたい音が一つ増えました。
これに対して次のように返信。
「仰る通りです。Yさんはかって長岡教の信者だった方です。音の変化がとても大きいSPいじりが45年にも及ぶベテランです。この5ウェイシステムの設計思想はミッドの9個のユニットがメインとなっておりコイルもコンデンサーも使わずにダイレクトにつなぐ、それに低音と高音を加えるものです。「I」様の4ウェイシステムと設計思想がまったく同じですね!
それでは失礼します。Yさんに感謝の言葉を伝えておきます。」
さて、「長岡鉄男さん(1926~2000年)て誰?」という方も多いかもしれない。手っ取り早くネットから引用すると、
「東京都出身。初めは放送・コント作家であったが、1959年(昭和34年)頃からオーディオ評論家として活動。作家ならではの筆力とユーモアあふれる文章でメーカーに媚びない辛口の批評を書くことによって人気を博した。
コストパフォーマンスを重視した廉価製品の評価、自作スピーカーの工作記事およびソフト紹介(主に外盤)でも知られ、生涯に600種類もの自作スピーカーの設計を発表、生涯に保有したレコード、CD、LDの数は総計5万枚に及ぶ。
晩年には究極のホームシアタールームを実現するため、埼玉県越谷市の自宅に「方舟(はこぶね)」と自称する建物を建てて話題となった。レコード評論家としても有名であった。趣味はアンティークカメラの蒐集。」
歴戦のオーディオ愛好家で「長岡鉄男」さんを知らない人はモグリといっていいかもしれないほど当時は有名。
「出来るだけ少ない投資額でいい音を出す」のがポリシーでオーディオ界に「コストパフォーマンス」という意識を深く浸透させた方である。
もちろん、「藝術を鑑賞するのにコストパフォーマンスという言葉はふさわしくない」と、反対派も多かったが、最後までその姿勢がブレることはなかった。
自分にとってはちょっと肌合いが違う評論家だったので信奉とまではいかなかったが、そのポリシーには大いに共感を覚えていた。
そもそも、高額の投資によって「いい音」が出たとしてもあまりうれしい気持ちがしない。はたして自分はビンボー性なんだろうか(笑)。
それにしても、長岡さんが亡くなられてからもう17年も経つがいまだに脈々と受け継がれる「長岡教」の影響力に今さらながら感心。