つい先日、高校時代の同級生(福岡在住3名)から連絡があって、我が家での試聴会の日程が6月好日に決まった。
メールのやり取りは別にして、およそ3年ぶりぐらいの再会になる。在学中はそれほど親しい仲でもなかったが、ブログを通じてお互いに音楽好きだと分かりお付き合いが始まった。
ただし、よく考えてみると3名とも理系出身である。卒業後の進路は建築科、機械科、電気科と見事に色分けされるし、自分だって理系の“端くれ”なのでいわば4人すべてが理系を専攻している。
”たまたま”かもしれないが、「4人そろって」となると確率的にみてどう考えても意味がありそうである。
全員がオーディオというよりも音楽の方を優先しているタイプで音楽を聴くときに、より興趣を深めるために仕方なくオーディオ機器に手を染めているというのが実状である。
つまり「音楽(クラシック)好きは理系人間に多い」。これは、なかなか興味深い事象である。
周知のとおり、ほとんどの人が高校時代に大学受験のため「文系と理系のどちらに進むか」の選択を迫られるが、これはその後の人生をかなり大きく左右する要素の一つとなっている。そのことは、一定の年齢に達した人たちのそれぞれが己の胸に問いかけてみるとお分かりだろう。
「自分がはたして理系、文系のどちらに向いているか」なんて、多感な青春時代の一時期に最終判断を求めるのは何だか酷のような気もするが、生涯に亘る総合的な幸福度を勘案するとなれば、なるべくここで誤った選択をしないに越したことはない。
現代でも進路を決める際の大きな選択肢の一つとなっているのは、おそらく本人の好きな科目が拠り所になっているはずで、たとえば、数学、理科が好きな子は理系を志望し、国語、英語、社会などが好きな子は文系志望ということになる。もちろんその中には「数学は好き」という子がいても不思議ではない。
それで概ね大きなミスはないのだろうが、さて、ここからいよいよ本論に入るとして、なぜ、音楽好きは理系人間に多いのだろうか。
その理由について実に示唆に富んだ興味深い本がある。
「音楽と数学の交差」(2011.5.20、桜井進、坂口博樹共著)
音楽と数学の専門家によって書かれた本書の目次の一部を紹介してみよう。
1章 響き合う音楽と数学
1 音を数えることから音楽は始まった
2 数とは何か
3 宇宙の調和 根本原理を求めて
4 音律と数列
5 数学の中の音楽 素数の神秘
6 音楽と数学の中の「無限」
といった調子だが、序文「はじめに」の中で音楽と数学の関わり合いについてこう述べられている。
「私たちは、数の世界の背後には深い抽象性があることを、ほとんど無意識で感じています。音楽によって与えられる快感は、ときにはこの抽象世界の中を感覚的に漂う心地よさで高まり、それは広がっていく心の小宇宙に浮遊し、魂が解放されるような感動まで到達することがあります。~中略~。音楽は数の比によって成り立っており、それを考える数学の一分野です。」(抜粋)
抽象的だけどなかなか含蓄のある文章だと思うが、要するに音楽は数の比によって成り立っており数学の一分野というわけ。
以下、さらに分け入ってみよう。
~次回へ続く~