このところオーディオ関連の記事が連続しているせいか全般的にブログへのアクセス数が下降気味になっている。
「どうも専門過ぎてよう分からん!」という読者の悲鳴が聞こえてくるようだ(笑)。
別に読者に媚びる必要もないのだが、たまにはオーディオ以外の記事をと考えていたところ、過去記事の中で「人生と音楽の楽しみ方はいろいろ」という記事がたまたまランクインしていた。
およそ5年前の記事だったので内容の方はサッパリ忘却の彼方だったが、一読してみると「そうだよねえ。」と思ったので、この機会に同記事を再編して登載させてもらうことにした。
なお、文中に登場していただく「老先生」は福岡県のご出身で黒田藩の藩校の流れを汲む名門「修猷館高校」から「九大~三菱重工業(飛行機部門)~定年退職後に大学教授」という華麗な経歴をお持ちの方である。
それでは、以下のとおり。
先日、初めて我が家に試聴に来ていただいた地元別府市にお住いの老先生のご招待に応じて今度はこちらから訪問させていただくことにした。
老先生のご自宅は団地の中でかなり入り組んでいる場所だそうで、近くのスーパーの2階の駐車場で13時頃を目安にいったん落ち合ってから行くことになった。
初めて他家を訪問するときはいつもワクワクドキドキで、心が弾む。定刻通りピタリと落ち合って、10分ほど車で追尾して海を望む高台の邸宅に到着。
老先生に続いて家の中に入った途端に、かなり大きなワンコちゃんがワンワン。それも2匹!
「初めての方には吠えるのが仕事と思ってます。じきに収まりますから」。そのとおりだった。
初めにリヴィングルームに案内されると、天井近くの壁にイートン(タンノイ)がかけてあった。テレビをご覧になるときにイートンで聴かれるというわけで、もちろんCDも聴けるようになっている。
いかにもタンノイさんらしいまとまった音で聴きやすかった。このイートンと言えばタンノイの創始者G.R・ファウンテン(G.R.F)氏が愛用していたことでも有名。同社のフラッグシップモデルの「オートグラフ」ではなくて、一番小さなミニスピーカーを気に入っていたというのが非常に面白くてずっと記憶に残っている。
ちなみに、この挿話の出典だが「TANNOY~世界のオーディオ~」(ステレオサウンド別冊)の78頁に「わがタンノイを語る」の章で懐かしい瀬川冬樹さんのインタビュー記事の中に出てくる。
実は個人的にもタンノイのユニットは口径25センチクラスが一番バランスがいいように思っている。
さて、ひとしきり聴かせていただいて、今度は2階に移動した。
ここでは部屋が二つあって、片方の部屋にはナショナルのフルレンジ「8PWX1(通称ゲンコツ」が置いてあった。遠方から娘さんたちが帰省されたときにお休みされる部屋とのこと。
そして、あまり席を暖めることなく、今度は隣の部屋に移動。
この部屋がどうやらYAさんの本丸みたいで、いろんなユニットやアンプがズラリ。おまけに絵画もご趣味だそうで自分で描かれた玄人はだしの絵が飾ってあった!
左がダイアトーンのP610B(8Ω)で、右がJBLのLE8T。老先生はほんとうに小口径のフルレンジがお好きな方である。
ソースのメインはパソコンに取り込んだ「iTunes」で、ほかにもCDやレコードまで聴けるようになっている。老先生はかなりお年を召されているのにパソコンを自由自在に駆使されていることに驚いた。
現用中のアンプ「マランツ1150」が次の画像。
老先生は木工がご趣味だそうで収められているラック類やエンクロージャーはすべて手作り!実にプロ顔負けの仕上がりだった。
最後にご案内されたのが地下室に設けられた、その木工作業の専用室。
画像中央部分の右上にアンプ類が置いてあるのがお分かりだと思うが、この作業部屋でも音楽が聴けるようになっている。設計の方もパソコンを利用されているとのことで、ここでもiTunesが活躍。
あれやこれやで、あっという間に3時間以上経過してそろそろ夕食時が近くなったので辞去した。
その日のうちにお礼のメールを差し上げたところ、次のような返信メールが届いた。
「今日はお疲れさまでした。こんなスタイルの生活をしています。音楽を楽しむ方法は邪道を含めて色々あります。人生を楽しむ方法も色々あります。音楽が聴けないのは浴室と寝室です。いかに好きでも隙間は必要です。新スピーカーの構想ができたらお知らせ下さい。出来る範囲の支援をします。新しいPre-Ampの組合せにも興味があります。又連絡させて下さい。」
多彩な趣味を自然体で謳歌されている老先生は、当方が思うに理想的な老後の過ごし方を実践されているようだ。
ほんとうに、人生と音楽の楽しみ方はいろいろですねえ!
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