「音楽&オーディオ」の小部屋

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読書コーナー~女子の本懐~

2008年01月09日 | 読書コーナー

「女子の本懐」~市ヶ谷の55日~(2007.10.20、文春新書、文藝春秋刊)

著者:小池百合子(1952~ )

エジプト国立カイロ大学卒。テレビのニュースキャスターを経て1992年参議院議員当選。その後衆議院議員として活躍、環境大臣、防衛大臣等を歴任。

ブックカバーには防衛省(庁時代を通じて)初の女性大臣として防衛事務次官や首相官邸などを巻き込んだ攻防の末、辞職、その際「女子の本懐」の言葉とともに55日間の防衛大臣を退いた著者が
今だから明かせる胸の内を緊急出版と書かれてある。

表題の「女子の本懐」は昨年2月に亡くなられた
城山三郎さんの名著「男子の本懐」が念頭にあることはいうまでもない。

自分がこの本に持った興味は、唯一つ、小池さんが前次官の守屋氏を退任させる攻防の内幕を知りたいことに尽きる。

この本は防衛大臣就任の1日前の2007年7月3日から8月27日まで56日間、毎日克明に記載された日記(風?)によって展開される。

それぞれの日ごとに内容があってよくもまあ、こう毎日いろんな行事があるものだと驚いてしまうが、女性に似合わず(?)あまり感情的にならずに淡々と綴ってあるところに小池さんのバランス感覚を見る思いがした。

さて、現在収賄容疑で逮捕拘留されている前次官の守屋氏、在職中から業者とズブズブの関係を結びつつゴルフ三昧で役人最高位のポスト事務次官に就任するなど防衛省は一体どういう役所なのかと驚いてしまう。

こういうところが財務、通産、自治(現総務省)といった一流官庁に比べて三流官庁と揶揄される所以で、人材不足も背景にあったと思うがこういう人物を要職(官房長、次官)につけた当時の上司にも責任の一端があるように思う。

もちろん、「防衛庁」から「防衛省」への昇格にあたって守屋氏の功績があったことはたしかだろうが、役所はポストで仕事をする面が多分にある。守屋氏でなければ出来なかったということではなかろう。

通常2年、長くても3年とされる事務次官の在任期間を5年も勤めるという常識では考えられない守屋氏を退任に追い込むくだりはやはり面白かった。

2007年9月1日からスタートする新しい防衛省の組織の活性化のために事なかれ主義を排して、あえて次官人事に手をつけた小池さんの勇気と英断はもっと評価されてしかるべきと思う。

前任の自民党のボスだった久間大臣のときには退任を固めていた守屋氏が小池さんが大臣に就任したところ「女性大臣組み易し」とみて一転、留任の意思を固めちゃっかり自分は次官留任として小池さんに人事案を提出するところは、役人の浅ましい自己保身の姿が生き写しとなって何だか見苦しい。

小池さんが環境大臣のときの炭谷茂次官のときは、まず自らのクビを差し出した上で人事案を作ってきたそうで、同じ役人といっても人となりがこれほど違う。

”企業は人なり”という言葉があるが、役所もまたそうなのだろう。

ところで、このバトルの結果だが、結果的には喧嘩両成敗のような形に終わった。小池さんは内閣改造で閣外に去り、守屋さんは次官を退任、そしてそのあとは周知のとおりの大転落。

さて、今やアメリカでは女性初の大統領を目指してヒラリー・クリントンさんが頑張っている。先日のアイオワ州の党員集会の指名では第3位に甘んじたがこのままでは終わるまい。

小池さんが総理の器かどうかはよく分からないが、現在の時点で「もし」という言葉が許されれば実績からして女性としては一番近い位置にあるのかもしれない。まだ50代の若さだから、今後の活躍を見てみたい。

                                
 


 

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