釣り紀行♯37~想い出の釣り場~
と き 2008年11月5日(水) 快晴 海上やや風あり
と こ ろ S市O島
釣 り 時間 8時35分~13時
潮 小潮(満潮14時前後)
釣 果 クロ15匹(手の平クラス~)、アジ10cm~20cm30匹前後
最近、Y半島での釣果が思わしくないので久しぶりにS市のO島に渡ってみた。離島といってもフェリーであっという間に着くのでたいへん便利だが、料金が日本一高いといわれている。片道が1600円というのはさほどでもないが、乗船時間がわずか5分間というのがその理由。
本土との距離が短いため橋を架ける話が昔から絶え間なく起っては消えているが、これは地元住民の間で話がなかなかまとまらないため。環境保護派と経済促進派との対立は全国いたるところでよく見受けられるパターン。
橋が架かると便利は良くなるが、この島は絶好の釣り場が点在していて大勢の釣り人がクルマでやってきそうで”場荒れ”するのは確実、そういう意味では一長一短あって自分としては複雑な気持ち。北九州、熊本、宮崎など他県から泊り込みでやってくる釣り人が多いのでも有名。
このO島には40代の頃に頻繁に通ったがその頃は節約のため料金が安い(片道600円)が時間の方は20分以上もかかる小さな乗り合いの舟で渡っていた。
釣るポイントは1箇所にしぼりこんでおり、A地区の防波堤の角になって突き出た部分がそうで、地形のせいで潮流が複雑な流れをするためよどみが出来、そのポイントにマキエをして魚を集めるのがコツ。一見するととても釣れそうにない場所で自分以外の釣り人はまず見受けない。秘密のポイントである。
このポイントで約20年ほど前にチヌ(黒鯛)を半日で13匹(平均40cm前後)釣ったことがあり、今のところ生涯のレコードとして想い出深い場所である。今でも当日のことは忘れていない。振り返ってみよう。
期日は3月21日(春分の日)で、丁度チヌの乗っ込み(産卵)の時期にあたり1年のうちで最も荒食いをする季節。数日間ほどは、そのときの”竿のしなり具合”の感触が掌(てのひら)をはじめ身体全体に生々しく刻み込まれていて生涯最高の好釣果にボーっと浮かれていたら直後の定例の人事異動内示でいきなり一番イヤな部署に発令されてしまい、落差の大きい二つの対照的な思い出が見事に折り重なっている。
さて前置きが長くなってしまった。当日は朝6時50分に出発。「大分国体」の開催時期に合わせてこのほど完成したS市までの高速道を一気に突っ走った。時間にして35分。一般道であればどう見積もっても最短で1時間半はかかるところ。料金1800円を早朝割引で半額の900円というのは実にありがたい。
S市内の馴染みのE釣具店に立ち寄ると、店主が「やあ、珍しい、元気にしていましたか」と懐かしそうに話しかけてきた。「お久しぶりです、おじさんも元気そうですね、なかなかこちらまで足を伸ばせないのでツイご無沙汰してました」。
マキエを調達して港に到着したのが8時5分。8時15分発のフェリーにピタリと間に合った。いつもの釣り場に到着したのが10分後で釣り人は皆目見当たらない。足場も良く釣るポイントの間際までクルマを寄せられるので非常に楽。
「確実な釣果が見込める時期になれば釣り好きの友人と来るには持ってこいの場所だが・・・」などと考えながら竿出しの準備。中途半端な離島に過ぎないが、それでも確実に都会の喧騒から離れて解放気分を味わえるのが「島」というものが持つ大きな魅力。
さて、マキエの第一投からエサ取りが湧き出てきた。なかなか活性度が高いと思いながら10分間ほどマキエに専念。通常、チヌが出てくるのはマキエをしてしばらく経ち仕掛けの投入回数が少ないときであまり警戒心をもたれないときが多い。
しばし、神経を張り詰めていたが今回は無理だった。もう少し季節が寒くなってエサ取りの数が激減し海底までマキエが届くようになったときが本当の狙い目。
そうこうするうちにウキ下3mの仕掛けのウキが派手に沈み込んだ。大物は概ねジワッとウキを押さえ込むようにゆっくり沈んでいくので、おそらく小魚だと見当がついたが案の定、小アジだった。
それからは小アジから中アジがまんべんなくかかりだし、時折クロが混じるようになった。しかしサイズはせいぜい手の平よりもちょっと大きめのクラス。それでも最近のY半島よりはましだった。
魚には結構学習能力があって、同じ仕掛けで繰り返していると騙されないようになってくるので、自分の場合常にウキ下3m前後とウキ下60cm前後の二つの竿を用意して適当に切り換えているが、そのうちウキ下60cmの仕掛けにボラがかかった。
時間をかけて十分走らせ弱るのをまって手前に寄せたが最後に暴れて針を外されてしまった。こういうことが連続2回も。残念!もっとも、カミさんによると料理が面倒なので逃げられた方が良かったとのこと。
エサ取りが多かったためマキエが尽きたのが13時。約4時間半の釣りだったが結構楽しんだ。もっと寒くなると確実に楽しめる釣り場で往年の釣果は望めそうもないが選択肢が増えたのはありがたい。
14時のフェリーで戻って港近くの「活き魚店」を覗いたところ「モイカ」が1匹だけ残っていたので購入したが、自分が釣ったサイズ程度のクロが1匹500円もしていたのには驚いた。「釣り」に「経済感覚」を持ち込むのは好ましくないが、結局本日の収支はトントンといったところ。