「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

仏(ほとけ)作って魂入れず

2024年06月08日 | 音楽談義

このところドップリ嵌っているのがブルッフの「ヴァイオリン協奏曲」・・、演奏者はあの「ヒラリー・ハーン」、そして音源は「You Tube」。

使用スピーカーは「AXIOM80」・・。



起きてすぐに1回、午後に1回、寝る前に1回と1日のうちで3回も聴いているほどの凝り性ぶり~(笑)。

もちろん演奏も特上だが、筆舌に尽くし難いほどのヴァイオリンの音色と響きが深く心に沁み入ってくる。

やはり楽器の王様は「ヴァイオリンに尽きる」との思いを改めて確認したが、彼女ほどの達人が弾いているヴァイオリンとなると、おそらく「ストラディヴァリ」に違いない。

現代の技術をもってしても再現できないヴァイオリンの名器として、つとに有名だが、そのことから ふと高校時代の同級生「O」君のメールを思い出した。

「O」君は
桐朋学園大学を卒業して指揮者として武者修行のため渡欧した音楽家(現在は福岡で音楽アカデミーを開設)。

「私の留学はザルツブルグ・モーツアルテウム音楽院の夏期講習から始まったのですが、ザルツブルグ音楽祭を初めて聴いたのがカラヤン指揮の<アイーダ>でした。(幸いなことに、宿の主人がチケットをゆずってくれたのです)

全ての点で余りにもスゴくて《ブッ飛ばされた》ことを覚えています。この時、舞台上で演奏された(古代の)トランペットがYAMAHA製だと聞きました。ヤマハが管楽器を手がけた最初の事例でしたが、結果は良かったと思います。

この時、ヤマハはヨーロッパの金管楽器の名器を入手して、全ての部分の厚みの変化や、金属の質などをコンピューターで分析しながら開発したと聞きました。この方法で、それ以後のヤマハの金管は優れたものを作っています。

その後、ウィーンの指揮者スイートナーのクラスで学んだのですが、あるとき日本から帰国したばかりのスイートナーがヴァイオリンを抱えて教室にやってきました。

“使ってみて欲しいと言われて、ヤマハから預かって来た”と言って楽器を生徒に見せ、ヴァイオリンの生徒が弾いて“うん、いいイイ”と言っていました。

後で聞いた話ですが、ヴァイオリンの銘器をコンピューターで詳しく分析して、そのように作ろうとしたそうです。しかし、どうしても本物に近い楽器にまでは作れなかったようです。金属では成功したのですが、(自然の)木が相手ではコンピューターも分析しきれなかったように思います。


また、ヤマハの工場に行った時、聞いた話ですが、スタインウェイを入手して、全てバラバラに分解してから、組み立て直すと<ヤマハの音>になってしまったそうです・・・やはり職人(名工)の『感性』が重要な鍵を握っているのでしょうか。」


そういえば、人間の感性技が重要なカギを握っている例としてオーディオ機器も例外ではない・・、たとえば往年の名器とされる「マランツ7」にまつわる話がある。



「マランツ7」といえば、1950年代の初めに市販のアンプにどうしても飽き足りなかった大の音楽好きのデザイナー「ソウル・B・マランツ」氏(アメリカ)がやむなく自作したプリアンプの逸品である。

デザイン的にも日本のオーディオ業界に多大の影響を与えたことが知られている。

そこでの話だが、ある専門家がそっくり同じ回路と同じ定格の部品を使って組み立ててもどうしてもオリジナルの音の再現が出来なかった曰くつきの名器だと、ずっと以前のオーディオ誌で読んだことがある。


感性技が求められるオーディオ機器の典型的な例として挙げてみたわけだが、このことから一つの課題らしきものが導き出される。

それは「オーディオ機器の製作に携わる方は少なくとも音楽的感性に満ち溢れた人であって欲しい!」

大学の電子工学関係科を卒業したというだけで音楽に興味を持たない人たちが(メーカーで)機器づくりに携わることは、まるで
「仏(ほとけ)作って魂入れず」、使用する側のマニアにとってはもはや悲劇としか言いようがない・・。

その事例を代表するメーカーといえば、やたらに高価なあの〇〇〇かな~、物議をかもすので具体名は控えておこう・・、このブログの読者ならもうお分かりですよね(笑)。



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