「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

音を表現する言葉の難しさ

2024年06月18日 | オーディオ談義

昨日(17日)のこと、このブログの読者でお馴染みの「K」さん(横浜市)からメールが届いた。

「日々精力的な試行、その体力と精神力に敬服してますが、各改造ユニットの音が想像できず何とも歯がゆい限り(実際聴かねばわからぬと?)

そこで実験に例えばヴァイオリンの絹の響きが…、オーケストラのダブルベースのうなりが・・・、ピアノの左手の響きが・・・、など演奏とSPの特徴を合わせて解説頂けると「凡人」もさらに楽しめる(見える)のですが。」

なるべく読者に理解してもらい喜んでもらえるようにブログを書いてるつもりですが、 舌足らず でまことに申し訳ありません‥(笑)。

たしかに思い当たる節があって、このところのオーディオ実験では、「これは素晴らしい!」といった調子で「音に対する表現」を端折(はしょ)っていたことに気が付いた。

その理由についてだが、たしかにKさんが仰るように「どうせ実際に聴いてもらわないと読者に理解してもらえないので、どんなに美辞麗句を並べようと所詮は無駄~」という魂胆が根底にあることは間違いない・・。

言葉(文章)で表現できないのが音楽なんだから、そもそも無理な話ですよと言うと、身も蓋もないけれど・・(笑)。

あっ、そういえば、音に対する表現の難しさについて、3年ほど前に同じ「AXIOM80」愛好家の「S」さん(愛媛県)から次のようなメールをいただいたことがある。

「音の表現ほど難しいものはないと思っています

ワインのソムリエが「干し草のような」「キノコのような」と表現すると

そこには一種の共通認識があるおかげで 言葉からある程度イメージが可能なのですが 音の表現となると・・・ 

Axiom80の音を言葉で表現した若き瀬川冬樹氏はやはり名を成しただけあって 言語化が上手だったと思います 

モナリザだって嫌いな人もいるでしょうから 皆 それぞれ 自分の好きなものを追い求めるしかないようで 理想の音は こうありたい自分を反映しているかもしれません 

感覚過敏気味の自分にはaxiom80が相性が良かったのかもしれませんが

おおらかに ゆったりと余裕のあるヒトになりたくもあり 普通の音を目指しつつ 毒(狂気)が同類には匂いでわかるといったところでしょうか」

というわけです。

「ワイン」の話が出てきたので、わかりやすく対比するために「思索紀行」(立花隆)の中の一文を抜き書き出してみると、

 ワインのプロの間では試飲の仕方が完全に様式として確立されている。そして言葉で匂いと味わいを表現しなければならない。さらには、その表現力をどれだけ身に付けているかで「匂いと味きき」の能力が試される。

✰ 匂いの表現方法にはなんと百種以上ある。たとえば天然の香りが次々にあげられ、初めはたいてい花の香りから始まる。スミレ、ジャスミンなど、あらゆる花の名前が登場してきて、次に果物の香りとしてリンゴ、イチゴさらにはアーモンドなどのナッツ類も登場する

ほかにも、本書では「味覚」「嗅覚」の表現の豊かさについて事細かに述べられているが、それに比べると「聴覚=音」の表現の貧しさについては嘆かざるを得ない。

たとえば「スミレの香りみたいな音」といってもチンプンカンプンですよね(笑)。

したがって「音の表現」についてもワインのように様式として確立し、もっと豊かで感覚的に分かりやすい表現ができないものかといつも思う。

ちなみに、「音」の表現に関して常用される言葉としてはアトランダムに「光沢」「色艶」「彫琢」「奥行き感」「スケール感」「透明感」「いぶし銀」「色気」などで、ほかにもいろいろありそうだが、所詮は「群盲像を撫でる」ようなもので抽象的の域を出ない。

で、近年我が家のオーディオでいちばん重視しているのが両方のスピーカーの間に舞台(ステージ)が出来上がり、その上に演奏者がきちんと奥まって定位していること。

音が前に出てきているはずなのに、なぜか聴感上は音がスピーカーの奥に引っ込んで聴こえるのが不思議・・、クラシックを聴くうえでこの鳴り方が大いに気に入っているのでアンプとスピーカーのバランスを推し測るいちばんの目安にしている。

最後に・・、音の表現に関連して以前のブログで「ドレミの7音は虹の色」と題して投稿したことがある。



要約すると「音を聴くと色を思い浮かべる特殊な知覚「共感覚」の持ち主が感じる「ドレミファソラシ」の7音の名前が虹の色「赤・橙(だいだい)・黄・緑・青・藍(あい)・紫」と、ほぼ順序よく対応しているとの調査結果を新潟大学のチームがまとめ、英科学誌電子版に発表した。

つまり「ドは赤」「ミは黄」「ソは青」「シは紫」といった具合。

メカニズムは不明だが「なぜ音楽に心を動かされるのかという未解明の問題にヒントを与えてくれるかもしれない。

共感覚とは「音に色を感じる」、「味に形を感じる」といった二つ以上の感覚が結びつく知覚現象のことで、音楽家ではシベリウスやリストが知られている。」

というわけで、低音域の豊かな音は「赤系の音」、中音域では「緑系の音」、高音域の音は「紫系の音」といった具合だが、それでもまだ正確に言い表せない気がする。

味覚細胞や嗅覚細胞には対象となる微粒子が直接触れてくるが、聴覚細胞に届くのはせいぜい「空気の波」に過ぎないのだから仕方がないのかもしれませんね。


どなたか、表現方法でいい知恵をお持ちじゃないですかね?(笑)


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