「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

後悔先に立たず

2024年03月03日 | オーディオ談義

「必要悪」という言葉がある。

「広辞苑」によると「悪ではあるが、社会の現状からいって、やむを得ず必要とされるような事柄」とある。けっして明るい前向きなイメージをもたらす言葉ではなく、どちらかと言えば「後ろめたい存在」であることが分かる。

実は「オーディオ」にも「必要悪」がいろいろありまして・・(笑)。

極端な話、生演奏と比べるとオーディオ機器はすべて必要悪みたいなものだが、それではまったく話が進まないのでシンプル・イズ・ベストの観点からいくと、さしずめ「スピーカー・ネットワーク」(以下、「ネットワーク」)あたりはその必要悪の代表選手ではなかろうか。

「ネットワークって何?」と訊かれても一言で説明するのは難しいが、簡単に言うと周波数帯域(人間の可聴帯域は20~2万ヘルツ)を低音域、中音域、高音域などの所定の帯域に分割し、その音声信号を各SPユニットに送り届ける役目を持った道具とでもいうのかな。

興味のある方は別途ググってもらうことにして、とにかくこれを“付ける”と確実に音が劣化するのはたしかで、それ以外にもそういう機能を果すチャンネル・デバイダーという代物もあるがこれも所詮は音を悪くする部品の塊りなので使わないに越したことはない。

フルレンジ型のスピーカーをひたすら愛する人たちがいるが、使う理由の一つとして「音を悪くするネットワークを使わないで済むから」という答えが必ず返ってくる。実は自分もその一人~(笑)。

ちなみに、タンノイの同軸型ユニットだって2ウェイなので当然の如くネットワークが使ってある。

手元のウェストミンスターの仕様は「クロスオーバー1000ヘルツ、12db/oct」となっており、以前、裏蓋をこじ開けてじっくり観察したことがあるが、見るからに音を悪くしそうなコイルやコンデンサーが使ってあった。

もちろん、いい悪いは別の話でメーカー側の「音づくり」の一環なのでこればかりは部外者があれこれ口を挟む余地はない・・、まあ無難な物言いにしておきましょうね(笑)


フルレンジ型スピーカーの再生帯域に物足りない人が、2ウェイ、3ウェイ型のSPシステムに移行していくわけだが、そのメリットは十分あるもののネットワークを使うマイナス部分をどれだけ意識しているのだろうかと、ときどき思うことがある。

オーディオは常にプラス部分とマイナス部分の差し引き勘定で考えるクセをつけた方がいいように思えて仕方がない。なぜなら無駄遣いの歯止めになるから・・、これまで散々辛酸を舐めてきた当の本人が言うのだから間違いない(笑)。

前置きが長くなったが実践例を述べてみよう。

県外からお見えになったお客様たちの交歓を終えてほっと一息・・、いつもの「音楽&オーディオ」三昧の日常が戻ってきた。

で、その翌日(1日)のこと、オークションに出品されていたスピーカーの画像を観ていたところ思わずハッとさせられたのがこれ。



ボックスの中ほどに「お盆」みたいな板を取り付けているのが目を引いた! 半分素人の人間の想像の域を出ないがユニットの後ろ側に出る逆相の音(背圧)をある程度妨害してタメをつくり、量感とスピード感を向上させるためだろうか・・。

長年の習性で理論よりもカンと実践を優先する癖がついているので、我が家のスピーカーにも応用が利かないかな~と、即「行動」に移った(笑)。

実は対象となるボックスが一つだけあるんですよねえ。



あり合わせの板を使って、きちんと寸法を測って取り付けてみた。もちろん適当な隙間(背圧の逃げ道)を開けておくことが肝要。

完成後の姿がこれ。口径25cmのウーファー専用のユニットが入っている。175ドライバーを載せて2000ヘルツ以上を受け持たせた。



ワクワクしながら鳴らしてみたところ、期待したほどではなかったがたしかに量感が増えている気がする・・。まあ、1円も経費が掛かってないんだから上出来だろう。

ところが「好事魔多し」というのか・・、量感が増えた分「175ドライバー」(2000ヘルツ以上を担当)との帯域のダブりが目立ってきた。

仕方がない・・、背に腹は代えられないので止む無くコイル(ムンドルフ)を使って700ヘルツでハイカットした姿がこれ。



ところがこれが見事に功を奏したんですよねえ・・、お気に入りのスッキリ爽やかなサウンドに豹変したのでまったく言うことなし~。

しかもサブウーファーの必要を感じさせないほどの低音域の充実ぶりに喜びもひとしお・・。

もちろんコイルが及ぼすマイナス面もあるんだろうが、プラス面の方がはるかに上回っている! 

シマッタ・・、2月29日の試聴会に間に合うと良かったんだけどなあ、いつも「後悔先に立たず」なんだから~(笑)。



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