前回からの続きです。
つい先日「ブリティッシュ・サウンド」好きのオーディオ仲間と電話で話していたら「今どきの人はグッドマンと言ってもピンときませんよ」とのことで、自分がグッドマンに持っているイメージとは大きな乖離があることに気づかされた。
したがってSPユニット「トライアクショム」を「貴重な歴史的文化遺産」(前回のブログ)と決めつけるのは時代錯誤も甚だしいのかもしれない(笑)。
そのことを念頭に置きながら、以下、自説を展開してみよう。
さて、修理先から戻ってきた「トライアクショム」(英国:グッドマン)を、どう料理しようか~。
何しろSPユニットはエンクロージャー次第で音がコロっと変わるが、その変わり方がアンプなどの入れ替えによる変化とは質が違うように感じている。何か根源的な変化とでもいうのかな。
昨日、メル友さん(東海地方)からコメントが届いて、「スピーカー絡みの記事は面白いです。」とのことで、誰もが簡単に実験できないところに興味が湧くのかもしれない。
それはさておき、結局涙ながらにAXIOM80を外しその箱に容れることにしたのが前回のブログの結末だった。
「な~に、命まで取られるわけではなし、拙かったらすぐに元に戻そう」との気持ちで、1時間ほどの作業を終えて無事完成。
初めに左チャンネルだけ「トライアクショム」にして、右チャンネルは「AXIOM150マークⅡ」のままにして音の傾向を探ってみた。
ちなみに、箱の左上にちょこんと載っているのは高域用のアッテネーターです。箱から引っ張り出すのに「ほんの少しの工夫」が要りますよ~。
さて、こうやって左右別々に鳴らすととても分かりやすい。
以下、何しろ「持ち主」の感想ですから当然「身びいき」もあることでしょう。どうか話半分に聞いてくださいね(笑)。
まず音のレスポンスの速さや分解能、透明感はトライアクショムが一枚上、しかし響きの重厚さは「150マークⅡ」が上で、こうなると好き好きだが新しもの好きなので総合的には「トライアクショム」に軍配を上げた。
強力な援軍を得た思いで欣喜雀躍して右チャンネル側も「トライアクショム」に入れ替えたところ、同軸3ウェイという「点音源」の音像定位の素晴らしさに思わず鳥肌が立った!
複数音源だと周波数レンジは広がるが音像定位はどうしても甘くなる。まあ、分かりきったことだがオーディオはプラスとマイナスの世界だから「あちら立てればこちら立たず」ですか。
音像定位がいいとどうなるかといえば、左右両方のスピーカーの間に綺麗にステージ(舞台)が出来上がり、その果てしない暗闇の奥行き感のもとで歌手や演奏される楽器の立ち位置が見事に再生されるのだ。
思わず息を呑むような立体感で理想のオーディオはこうあるべきかもしれないと考えさせられた。
しかも音の色艶が素晴らしい。木村好夫のムードギターがとてもうまく響いてくれるし、音の勢いが必要なジャズだってこれほど鳴ってくれればケチのつけようがない。
何だか際限なく音の魅力に引きずりこまれるような魔力的な音で正直言って我が家でこれほど質感のいい音をこれまで聴いたことがない。
あえて表現すれば「AXIOM80」と「AXIOM150マークⅡ」を足して2で割ったような音といえばいいのかな。
つまり「鬼に金棒」というわけですか(笑)。
この「薄い板厚1.5cm」のエンクロージャーとよほど相性が良かったとみえる。
以前のブログ「スピーカーの板厚による音の違い」(2017.5.27)にも記したように、イギリス系のユニットの場合は箱鳴りをうまく利用する傾向にあるので板厚は凄く重要になる。
いずれにしても、こういう新しい魅力の発見は何よりもトライアクショムが故障したおかげである。この故障無くして「AXIOM80」の箱に容れようという思いつきは有り得なかった。
「ピンチはチャンス」という我が家のジンクスは見事に生きていたことになるが、こうなると結果オーライで修理代なんてまったく些末(さまつ)な出来事だったなあ(笑)。
騒動が一段落すると、今度はベストアンプの選定作業に移った。
候補は「PX25シングル」「371シングル」そして常用中の「371Aプッシュプル」の3台。
いずれも一騎当千の強者といきたいところだが、それぞれ弱点はある(笑)。
今回は久しぶりに画像の「PX25シングル」(インターステージトランス内蔵)の出番といきますか。 同じイギリス勢同士の強味がありそうだ。
近々、北海道からお客さんが試聴にお見えになる予定なので、エース級を温存させておくわけにもいくまいて(笑)。