「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「忖度(そんたく)する」真空管アンプ

2019年04月15日 | オーディオ談義

近年、「忖度する」という言葉が大流行である。

意味は周知のとおり「他人の心中を推し量ること」だからけっして悪い言葉ではない。いや、むしろ他人に対する思いやりという意味で使われるべき良い言葉である。

発信元は「安倍一強」のもとでの政界だが、九州の片田舎にある我が家でもこの言葉が飛び交った。

まったくピンからキリまで使用されている感があるが(笑)、その経緯を述べてみよう。つい先日の13日(土)のことだった。

「修繕に出していたトライアクショムがようやく戻ってきました。これまでと違う箱に容れたところ見違えるほどいい音になりましたよ。ちょっと聴いてもらえませんか?」

と、近隣のオーディオ仲間にお願いしたところ、すぐに駆けつけてくれた。

顔を見合わせるなり、開口一番「今回の実験は二つのテーマを予定していますのでよろしくお願いします」

その二つとは、

1 「トライアクショム」に最も相性のいいアンプの選定

2 ウェストミンスター(改)の上に載せている「AXIOM80 」(1200ヘルツ~)を復刻版から最初期版に代えたのでその試聴

まずは1から実験開始。

主な試聴盤は仲間が持参してくれたダイアナ・クラールのCD盤。

   

第11トラックの「My Love Is」で指と指で「パチっ」と弾く音が冒頭からずっと続いていくが、それがどれだけリアルに響くかというテスト。

試聴したシステムの概要は、CDシステムが「dCS」のコンビで、プリアンプは真空管式(12AU7×6本)、スピーカーは言わずもがなの「トライアキショム」。

   

パワーアンプは初めに「PX25シングル」を、次いで「371Aプッシュプル」の順に聴いていただいた。

    

   

試聴後のコメントは「いやあ、これはまったく正反対の音ですね。どちらがいいとか悪いとか簡単に言えませんがPX25の方はキチっとネクタイを締めた紳士が相手のことを忖度して物を言っている感じがします。

一方、371APPの方はあっけらかんとありのままの音をくったくなくストレートに出している印象です。まあ、強いて言えば私はこちらの方が好きです。

それにしても素晴らしいスピーカーですね。原音再生の観点からすると、リアルな表現力はAXIOM80並ですよ。低音域が豊かな分だけこちらの方が上のような気もします。箱を変えただけでこんなに音が変わるものですか。」と、仲間。

忖度する音というのは言い得て妙ですね」と、ひとしきり笑ってしまった。

古典管ともなると、お国柄を実によく反映する。PX25は明らかに渋い英国紳士を象徴する音であり、371Aはアメリカ人の明るくて開放的な雰囲気をうまく表現する。

クラシックだけなら「PX25」に尽きるのだろうが、クラシックもジャズもと欲張ると「371APP」ということになるのだろう。

実に楽しくなる選択ですねえ(笑)。

これで1の実験を終了し、2の実験に移ったがここでは理想的な展開が待っていた。

以下、続く。


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