「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ巡回記~その1~

2015年05月26日 | オーディオ談義

オーディオの愉しみは自分のシステムが気に入った音を出してくれるのはもちろんだが、仲間が「いい音」を出しているのを体験することもそれに優るとも劣らずほど楽しい。

去る23日(土)、福岡のオーディオ仲間たちを3軒“はしご”したところ、それぞれに持ち味があって「素晴らしい音」ばっかり。ずっと記憶に残るほどの愉しい時間を過ごさせてもらったが、まずこの訪問実現の経緯から記しておこう。

去る9日(土)に福岡からはるばる我が家にお見えになった同じ「AXIOM80」仲間のKさんとSさん。取り分け、Sさんが一番感心されたのが「PP5/400」(英国マツダ)のシングルアンプだったが、美音もさることながらスピーカーに耳をピタリとくっつけてもまったく雑音がウンともスンとも言わない「SN比」の優秀さにも驚かれた。

「これはどなたが製作されたのですか?実は我が家のPP5
/400アンプが古くなったせいかこのところハム音が少し目立つようになりました。あまり急ぐことはないのですが、よろしかったら修繕をお願いしたいので製作された方を紹介していただけませんか。」

「ああ、それはお安い御用ですよ。製作したのはGさんですがSさんのご近所に住まわれている方です。いきなり顔を知らないままに修繕をお願いするのも何ですから、その前にお互いに顔見知りになっておいた方がいいでしょう。私が日程のやりくりをしてみましょう。」ということで、連絡調整をした結果、この23日(土)に落ち着いた。

当日の巡回コースは「Kさん宅」(試聴者2名) → 「Sさん宅」経由 → 「Gさん宅」(試聴者4名) → 「Sさん宅」(試聴者4名)という順番。

前日までの晴天とは打って変わって、この日は朝からどんよりとした曇り空だった。福岡の雨の確率は50%というから当人の日頃の行いが悪いのだろう(笑)。自宅を出発したのが早朝の7時45分で、がら空きの高速道路をビュンビュン飛ばしてGさん宅に到着したのが1時間20分後の9時頃だった。

どうもどうもと、ご挨拶もそこそこにさっそく試聴に入った。興味の的はつい最近導入されたという「ローサーのPM6A」である。

         

始めに一番右側の「AXIOM80」から聴かせていただいたが、「AXIOM80」には似つかわしくない底力のある低音が切れ味鋭く出ていたので驚いた。

「アンプはいったいどれを使っているんですか?」

「KT〇〇のシングルですよ。このところよく使っているアンプです。」

「直熱管と比べると傍熱管の粘りというか、力強さを感じますね。傍熱管といっても適材適所で使ってやるとこんなにいい音がするんですね~。このKT〇〇という真空管は手に入りやすいんですか?」

「KT66やKT88に比べて製造期間が短かったものですから滅多に市場に出回っていませんね。苦労してやっとのことで東京の馴染みのショップから分けてもらいました。」

稀少な真空管となるとどうしてもオークションで調達するには限界がある。最後の“泣き付き場”を持っていると随分心強い。自分の最後の拠り所は同じ別府市内在住のMさんである。古典管の宝庫だし、すべて測定結果付きだから安心できることこの上ない。

さて、ひとしきり「AXIOM80」を堪能させていただいてから次にいよいよお目当ての「ローサーのPM6A」に切り替えてもらった。画像の「AXIOM80」の左側にある中央寄りのスピーカーである。

瑞々しいヴァイオリンの響きが部屋全体に広がった。「これは素晴らしい。これまでヴィオリンの音色にかけてはAXIOM80が一番だと思っていましたが、このローサーはその上を行きますね。それに低音を出すのがメチャ難しいスピーカーですがこれだけ出てくれると不足を感じませんね。アンプとの相性もいいようですよ。」

「この二か月ほど、毎日24時間体制でエージングを重ねた結果ようやくユニットが馴染んできました。アンプはRCAの50で駆動していますが、おそらくベストマッチだと思います。レイセオンの50(ナス管)を使うとさらに良くなりますが、日常使うのはとても勿体なくて盆と正月くらいしか鳴らしていません(笑)。AXIOM80とこのローサーがあれば私のオーディオ人生はもう十分だと思ってます。」

            

実を言うと、美音で名高いローサーの「PM6A」(イギリス)は自分も以前所有していたのだが、未熟なこともあってとうとう十分に鳴らしきれないまま手放してしまったことがある。

この気難しいローサーをここまで見事に調教されるのだから、Gさんの根気と熱意には心の底から脱帽した(笑)。何よりも音のスピード感を重視され、むやみに膨らんだ低音を忌避されるKさんのことだからこの二つのスピーカーがあれば十分という話も頷ける。

あっという間に出発予定時刻の11時になってしまったが、Gさんはアンプのスイッチを切らないままボリュームをやや絞り気味にして、インターネットラジオの音を流しながらそのまま部屋を出ていこうとされる。

「アンプのスイッチを切らないんですか?危険ではありませんか」

「ローサーにはまだエージングが必要ですからね~。このアンプはたとえ1週間ぶっ続けでスイッチを入れっぱなしにしても壊れません、そういうツクリにしてありますと製作者が言ってました。」

「ほう~」!

今度は「Sさん宅」経由で一路「Gさん宅」を目指して出発~。

次回へ続く。


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