「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~「アキシオム80」の品とプライド~

2008年05月03日 | オーディオ談義

中域用のスピーカーJBL375をヴィンテージのSPユニット「アキシオム80」に取り替えて早くも1週間あまり経つが、聴いているといろんな可能性に満ちた音の世界へと案内してくれそうな予感がしてくる。

あのJBLのスカッと抜け切った青空のような爽快な音とはまた違った魅力が漂ってくる気配。

オーディオ評論家の瀬川冬樹氏(故人)の評価を再現すると、

~あくまでもふっくらと繊細で、エレガントで、透明で、やさしく、そしてえもいわれぬ色香の匂う艶やかな魅力~

これは自分が長年、スピーカーに求めている要素でありこれだけ満たしてくれれば理想の音といってよいほどで何もいうことはない。

もちろん現状は鳴らし始めたばかりなのでこれほどの域には達しておらず、これからこのユニットに対する
愛情の注ぎ方如何にかかっているといってよいだろう。

結局、現在のシステムの構成は次のとおりとなった。

スピーカー   超低域 ヤマハYSTーSW515サブウーファー(アンプ内臓)
               ~左右2台で40ヘルツ以下を再生~ 

         低域 JBL130A(エンクロージャーはタンノイ・ウェストミンスター)

         中高域 アキシオム80(平面バッフルに取り付け)
         
         低域と中高域のクロスオーバーは450ヘルツ前後

アンプ     低域用 ケンウッドL01-A(メイン・アンプに改造:トランジスター)
         
         中高域用 WE300Bシングル(モノ×2台:真空管)

アッテネーター FR AS-1

CDシステム  CDトランスポート ワディア270

          DAコンバーター ワディア27ixVer3.0 

ところで、つい最近NHK教育テレビの「人生の歩き方」という番組を見ていたら名優仲代達矢さんが映画俳優の演技と生き方にとって何よりも必要なのは
「品とプライド」だと語っていた。

フーン、
「品とプライド(矜持)」かあ・・・・、なかなか含蓄があっていい言葉。

このフィルターをかけて世の中を観察してみると普段気がつかないようなことでも、いろいろと違った見え方をしてくるように思う。

つい連想してしまったのが宮崎県の東国原知事。

タレント出身の知事として宮崎県の名前を一躍高め県産品の売り込みなどを通じて県民のために大いに役立っている(と思う)のは大変ご立派。

宮崎県民が選んだ知事なので、他県の人間がいろいろ言うことはないのだが、この人物には何だか大事なものが欠けていると以前から思っていたが、結局それは「品」というものだったと気がついた。(あくまでも自分の主観です)

とはいえ、実利があれば「品」なんて要らないという人もいるだろうから、結局それは各人の価値観、人生観の違いになるのだろうが。

とまあ、偉そうなことを言っているが「そういうお前に「品とプライド」はあるのか」と面と向かって問われると、いささか
たじろぐ思いで心もとない」が「少なくともそう心がけている」と答えざるを得ないところ。

さて、約40年近くオーディオをやってきたが音の世界にも大切な要素として
「品とプライド」が要るのではないかと思えてきた。

単なる文明の利器に過ぎない機械が奏でる音質に対して「大げさにも程がある、そんなものに品もプライドもあるもんかい」というご意見もあるだろうが、凝り性の自分にとっては結構大切にしたい事柄なのである。

オーディオの第一の目的はもちろん「原音再生」だが、あの大オーケストラの音を家庭で再現するのはもともと無理な話でまず不可能、とするとどうせ騙されるのなら少しでも「品」のある音で「品」よく騙されたいというのがこの歳になっての偽らざる本心である。

ここで「アキシオム80」の登場である。このユニットは何といってもその肝心の「品とプライド」が売りものなのである。

まず、「品」についてだが何といっても「生まれ」があの紳士の国イギリスである。タンノイもそうだが、イギリス製のスピーカーの音はいぶし銀のような奥ゆかしい趣があって総じて
節度と気品があるところに共通点があり、この「アキシオム80」もその例に漏れない。これは、いわゆるお国柄というヤツ。

次にプライド(矜持)。
とにかく簡単になびいてくれない独特のクセのあるユニットである。外径9.5インチ(約24センチ)というサイズは、過去どこの国にも例がなく相当に偏屈、しかも見た目がおそろしく変わっている。なにせ設計者があのジョーダン・ワッツの創始者E・J・ジョーダンなのである。

しかし、決して醜いわけではなく見慣れるにつれて惚れ惚れするほどの機能に徹した形の生み出す美しさが理解できるが、これほどうまく鳴らすのが難しいユニットもこれまた珍しい。

過去にもいろんな方々が、それもオーディオの猛者連中が果敢に挑戦しそして撤退している。それだけに「自分こそはいい音を出してみせる」と挑戦しがいのあるユニットといえる。結局、誰もが鳴らせるようなスピーカーははじめからレベルがしれているというのも紛れもない事実。

                      

とにかく反応が鋭いのが特徴で、少しどこかをいじっても敏感に応えるところがあって、それこそ毎日ご機嫌を伺うような気持ちで向き合わねばならない。ものすごくプライドが高いユニットといってよい。

ここ1週間でも次のようなことを試してみた。

 このユニットの位置をわずかに前後に移動させただけでも音質が変わる。やはり一番良かったのは、ウーファーのJBL130Aユニットと振動板の位置をおよその範囲で合わせたときが違和感がなかった。

2 現在使用しているアンプはWE300Bのシングルだがコンデンサーの一部を良質なものに交換し、それとプラグのターミナルを変わり映えのしない国産のものからWBTブランドに入れ替え。

 ユニットと平面バッフルの間の溝(約2.5cm)にフェルトを貼り付けて音の反射を抑制。

 アッテネーターのAS-1のカバーが鉄製のため磁気を帯び音質にワルサをしている可能性があったので、思い切って取り外してボリューム部分を剥きだしにしてコードを直接ハンダ付けしたところ音色が見事に改善し、鉄の臭いがしなくなった。

                 
溝の部分にフェルトを貼り付け  裏から見たアキシオム80      AS-1の改造     
            
以上のとおり、基本的な資質に恵まれているので少しでも良い音を出してやりたいといろんなことを試みたくなるSPユニットだが、どうやらこのままいくとアキシオム80の虜になりそうな勢いである。

ところで、29日(昭和天皇の日)には神戸から今は亡き次兄の長男夫婦が連休を利用して九州一周の道すがら立ち寄ってくれた。元気そうな様子を見てこちらもひと安心だが、当然のごとく我が家に来た以上オーディオ装置の音を聴いてもらったわけだがグリュミオーが弾くヴァイオリンを聴いて非常に音が澄んでいると感心した様子だった。

それはそれでいいのだが、どことなく次兄の面影を残した長男(甥)を見つめていると、ふと
”悠久の時間の流れ”を覚えてしまい、どうせこちらが先にクタバルのはわかりきっているので、”思い出”として「音楽とオーディオが大好きだった別府のおじさんのイメージが残るだけで十分」なんて普段考えたこともないような遠い先のことを想像してしまい何だか随分おかしな物思いに耽ってしまった。

さらに願わくは、あのとき聴いた音には「品」があってすごく「いい音」だったと記憶の片隅に残してくれるといいのだが、それはちょっと欲張りすぎというものかも・・・・・。


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