「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~CDレンズのクリーニング~

2008年01月25日 | オーディオ談義

今回は、ふとした過失が結果的には「どんど晴れ(めでたし、めでたし)」となった話。

現在使っているCDトランスポートの
「ワディア270」(アメリカ製)を購入してから2年半ほど経つが、まだ一度もレンズをクリーニングしたことがない。オーディオ仲間によるとレンズはCD盤の信号を読み取る極めて重要な役割を果たしているので、少なくとも1年に1度くらいはこまめに綿棒でクリーニングをする必要があるとのこと。

必要性は充分わかるのだが、残念なことにこの「270」はレンズが簡単には拭けそうにない場所に位置しており、引き出し式のトレイなので外部からは見えず、もしクリーニングとなると機器の上蓋を取らねばならない。

ところが、この精密機器は極めて厳重に密封してあり、表側にはネジ一つさえも見えず、とにかくとっかかりが分からずとても素人では手が出せそうにない堅牢な感じ。

そうなると結局のところ、機器をメーカーあて送付することになるが、クリーニングだけのためにというのも何だかもったいない。おそらく送付、返送の期間も含めて2週間程度では済まないと思うし、その間は音楽が聴けない。ずっと以前に同じワデイアのDAコンバーターのヴァージョン・アップをしたときは3ヶ月ほどかかってしまった苦い記憶が染み付いている。

音が飛ぶとか、音がこもって聞こえてどうしようもないといったときぐらいまではまあ我慢するかと諦めていたところ、怪我の功名というかまったく偶然の機会が訪れた。

それは22日の午後のこと。ちょうど仲間のMさんも来ていて二人でいろいろとアンプにとって必要悪とされるコンデンサーを部分的にカットしたりして試聴している最中のこと、急ぐあまりトレイにCD盤をややぞんざいに置いて蓋を閉めたところ、これが原因となって何と、内部で噛みこんでしまったようで、ウンともスンともいわなくなった。これは大変、購入以来、初めてのトラブルである。これも自分の軽率さが招いたもの。

早速、オーディオ・ラックから重たい「270」をふうふういいながら引っ張り出してコツコツと叩いたり、縦、横、斜めにしてみてもCD盤がどうしても出てこない。

こうなればもう仕方がない。残された手段は一つ、壊れてもともとと機器の分解に思い切ってチャレンジすることにした。こういうときに分解修理に手馴れたMさんがいてくれるので実に助かる。

最初どこから手をつけていいのか分からず、いろいろと試行錯誤が続く。迷った挙句底面の4隅のスパイクを取ってみたところ、あったあった!キーとなるネジが隠されていた。それも下から上まで貫通する16cmほどの長さのネジ。早速、4本とも6角レンチで取り外したがそれでも上蓋が開かない、よく見てみるとさらに同じ直径のネジ穴が縦、横の中央付近に4箇所ある。このネジも同じ長さの貫通ネジ。

全て取り外すと、ようやく上蓋が外れた。初めて見る内部である。さすがにワディアだけあってなかなか丁寧なツクリで大事な回転部分のベースには磁気を帯びないように見事な銅板が必要箇所にきちんと貼ってある。

次にトレイの部分に注目。CD盤が簡単に外れないはずでスタビライザーとトレイの間で不自然な格好で、きつく噛みこんでいるのが良く見える。指で強く押すと正常な位置に戻った。これでようやく機器が正常に作動してCD盤が出てきた。

折角開けたのだから、ついでに
レンズの掃除に移った。Mさんが拡大鏡でレンズを覗いてみたところ、”やっぱり曇っている”との一言。乾いたままの綿棒でそっと拭いてもらった。こういう場合でも「無水エタノール」は使わない方がベターとのこと。これでようやく懸案事項が解決し愁眉が晴れた。思わぬトラブルが結果的には良い方に導いてくれた。本当にツイている!

ネジを全て入れ込んで組み立てなおして、「270」を再びラックに入れ直して、早速試聴に移った。

今日の作業は、次の2点でその効果の確認である。
真空管アンプの諸悪の根源といわれるコンデンサーをカットしてゲインを下げた
 PX25アンプとWE300Bアンプの2台
レンズのクリーニング


☆ヴィバルディの「ヴィオラ・ダ・モーレ」
ヴァイオリンとヴィオラとチェロの演奏位置の確認と高域の素直さがポイントだが、見事合格。

☆ゲーリー・カー「日本の調べ」(コントラバス)
6番目の「椰子の実」が実に良かった。「これはバッハ、ベートーベンなどと同じレベルで鑑賞できるほどの名曲だな~」とMさん、「この曲はもともと歌詞の方も実にいいですよね~」とワタシ。(作詞:島崎藤村、歌詞→末尾参照)。

音の良し悪しを離れて曲の鑑賞に入れるのは、いい音が出ている証拠。今日の作業の効果は絶大だったようだ。

日頃、辛口のMさんが「これほどの音はなかなか聴けない」と初めて肯定的な言葉を洩らされた。
後日、たまたまお見えになった湯布院のAさんも「音の佇まいが随分良くなった~」とコメントされた。

どうやら我が家の音も人さまから少しは認められるような音質に近づいてきたようだ。現状の範囲で、お金を使わないで残されている音質向上対策があるとすれば、機器同士を結ぶピンコードの接続部分のハンダ付けぐらいだが、これはかなりの思い切りを要するので保留中。

こうして音質環境が向上したのでこれからは迷いを捨ててひたすら音楽に没入するのみだが、さて、これ以上の欲が出なければいいのだが・・・・。

                                                             
                                                             引き出し型トレイ

最後に「椰子の実」の名歌詞を。

名も知らぬ 遠き島より 流れ寄る 椰子の実一つ

故郷(ふるさと)の岸を 離れて 汝(なれ)はそも 波に幾月(いくつき)

(もと)の木は 生(お)いや茂れる 枝はなお 影をやなせる

われもまた 渚(なぎさ)を枕 孤身(ひとりみ)の 浮寝(うきね)の旅ぞ

実をとりて 胸にあつれば 新(あらた)なり 流離(りゅうり)の憂(うれい)

海の日の 沈むを見れば 激(たぎ)り落つ 異郷(いきょう)の涙

思いやる 八重(やえ)の汐々(しおじお) いずれの日にか 国に帰らん


 


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