「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

読書コーナー~ダ・ヴィンチ・コード~

2007年02月26日 | 読書コーナー

「お父さん、ここ数年で一番面白いミステリーだったから読んでみて」といって今年の正月に娘から手渡されたのが、ダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」。何でも綾辻行人の「時計館の殺人」以来の面白さとのこと。

世界中の大ベストセラーなので、今更という気もあるし、何せその分厚さに気後れして読むのがつい億劫になってしまい部屋の片隅に置いたままにしていたのだが、ようやく気候も良くなり日向ぼっこでもしながらと気分が乗ってきたので読み始めてみた。

冒頭の部分からしばらくはストーりーの展開が何が何だかよく分からず、やや退屈だがしばらく我慢していると主人公2人が逃避行を始めるところから俄然面白くなってきてもう止まらない。

なにしろ、食べること大好きの自分だが、「ご飯よ~」という食事の催促がうるさく感じるほどで、二日掛かりで楽しみながら読み終えた。

推理小説紹介のマナーとして筋やトリックについての話はご法度だがキリストに妻がいて子供までいたという話が核となっており、仏教徒にとっては新鮮で耳新しい話ばかり。しかし、聖職者の異性問題は古今東西不変の興味あるテーマなのだろう。

カトリック教会では古来、信仰上の問題からキリストに妻がいたことをタブーとし厳重に隠蔽し封印してきたことに対して、真実を追究する芸術家が「隠された女性を探し出して顕にする」というテーマのもとにあえて自分の作品の中で暗示しようと試みているとされている。

レオナルド・ダ・ヴィンチがその最たるものだがそれは、モーツァルトの音楽にも現れているとされ、オペラ「魔笛」が例として上げられていた。

確かにこのオペラでは「誘拐された王女を王子が助けに行く」ことがストーリーの中心となっているので、成る程そういう暗示も考えられるのかと一つ知識が増えた。

筋立ての展開もあまりウソらしさが少くごく自然な成り行きで筆者の筆力を感じるし、キリスト教に対する深い研究が裏づけになっているので、結構知的な世界にも浸れる。

最後の方でややドタバタしすぎる感がありエンディングもやや甘いが、やはりこれはとても上質なミステリーである。まだご覧になっていない方は一度読んでおいても損はしない作品。


                       









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