「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

健康コーナー~「生きがい」と死亡のリスク~

2007年02月13日 | 健康コーナー

「ボランティアとは究極のエゴイズム」なのだそうだ。

これを象徴するような記事が2007年2月12日付読売新聞朝刊の「生きがいがないと死亡のリスクが1.5倍」だった。

無料で奉仕して自分が社会の役に立っているという意識が自然に自己陶酔感を呼び起こし、それが健康や長寿につながっていって結局は自分のために一番役立っているとのこと。

記事の中身は東北大の大学院が1994年に約4万人の男女を対象に生きがいの有無などを調査したものを保存しておき7年後の2001年末までに死亡した約3千人についてその死因などを分析したものだ。

その結果、生きがいが「ない」とした人は「ある」と答えた人に比べ脳血管疾患で死亡した割合が2.1倍高く、肺炎も1.8倍高かった。がんについては生きがいの有無による影響は見られなかった。

こうした病気のほか、自殺などを含めて死亡した人の割合を全体で見ると生きがいがない人はある人に比べ1.5倍高かった。調査担当の教授によると「良好な感情を持つことは感染症を防ぐ免疫系に良い効果があるといわれている。定年後も、社会活動への参加などで生きがいを持ち続けることが大事だ」とのこと。

なかなか意義深い調査だと思うが、さて、「生きがい」もいろいろあって個人差があり定義が難しそうだが、広辞苑で意味を引いてみると「生きる張り合い、生きていて良かったと思えるようなこと」とある。これでより身近な語感になった。

必ずしも社会活動ではなくても生きていて良かったと思えることなら誰にでも結構あると思う。そういうものをこまめに見つけることが大切なのだろうが、少なくとも熱中できる趣味を何か見つけておけば死亡のリスクが低くなるということだ。

さて、長生きの実例が身近にいる。我が家の90歳になる母である。69才のときに心筋梗塞で死の淵をさまよったが大手術で奇跡的に息を吹き返して21年も経過した。

長生きの原因を生きがいという面から観察してみると、どうもかかりつけのお医者さんに恵まれたことに尽きるようだ。

近くの大学関連病院の経験豊富なS先生だが、実にいい先生なのである。どこがいいかというと、この先生は患者の毎月一回の検診結果の数値にまるでわが事のように一喜一憂してくれるのだ。

母はS先生のがっかりした顔を見たくないといって日ごろから食生活をはじめ軽い運動など実によく節制をしている。血糖値が高かった場合は甘いものをピタリと断つ。

「その年齢だからおいしいもの優先でいい」と言っても、感心なくらいS先生に義理立てする。S先生のがっかりした顔を見たくないというのがまるで生きがいになっているみたいだ。

おそらく想像するに、S先生の一喜一憂には多少なりともお芝居が入っていると思うのだが、自然な形で患者の自助努力を促すこのやり方が実に堂に入っていて、名医とはこういう先生を指すのだとつくづく感じ入っている。

      
           

 



 




 


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