「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

魔笛談義その3~鑑賞にあたって~

2006年10月22日 | オーディオ談義

モーツァルトは好きだけど魔笛はどうもよく分からないという事例をときどき見聞するが、このオペラを聴いて最初から好きになる人はよほどの音楽通であり、感性が豊かな人だろうと思う。

一般的にいって、このかなり馴染みにくいオペラを自分の中で消化し溶け込ませていくにはある程度の精神的なゆとりと時間が必要な気がする。つまり始めから身構えて「さあ魔笛を理解するぞ」とオーディオ装置とにらみ合うのは少々息苦しい感じが付きまとうし、そういう類の音楽ではないような気がする。まあ、人それぞれなのだろうが・・。

とにかく、そうやって万一退屈感を覚えればその人は二度と魔笛を聴こうとしないのが通例だ。この稀有の名曲に対してまことにもったいないと思う。

音楽にはズブの素人で、凡庸という言葉がよく似合うと自覚している自分の拙い経験で言わせてもらうと、35歳前後に片道1時間半の距離を2年間、車で通勤したが(一番不遇な時期だったが、今振り返ってみるともっとも豊穣な実りを与えてもらった)そのドライブの行き帰りに何回も、それこそ何回も魔笛をカーオーディオで何の気なしに聴いているうちに、まるで泉のようにこんこんと湧き出てくる妙(たえ)なるメロディが頭にこびりついてしまい自然に口ずさみながらとうとう深みにはまってしまった。

この2時間半に及ぶ壮大なオペラには、彼の晩年の作品が持つ澄み切った秋の空のような美しさ、晴朗さが顕著に現れておりとても筆舌に尽くしがたい。

こうして魔笛から入ってほかにも彼のいろんな作品を聴きこんだが、シンフォニーや協奏曲などの曲の一部分ではもうこれ以上は要らないというほど妙なる旋律もあるが、全体の構成からみると同じフレーズの繰り返しが気になって、せっかくの才能が十分に生かされていない感じがつきまとう(ただし、一連のピアノソナタは別格だと思うが・・・・)。

3楽章とか4楽章形式とかいう既存の枠組みの中で自由に羽ばたきが出来ないモーツァルトをつい連想してしまうのだ。

ドン・ジョバンニは魔笛と肩を並べる大傑作だと思うが、これらのオペラで感じる豊かな音楽言語(♪=言葉)がモーツァルトを読み解く鍵になるのだろう。どうしようもないほど好きというモーツァルト愛好家は例外なくオペラファンに多いという記事を見たことがあるがまったく同感。

やはり、あれほどの早熟の天才でも年の功というものは必要なのだなと妙な納得をしている。(ベートーベンの後期の作品も同様の趣があるが・・・・)。

ともかく、世間は広いので私以上に魔笛を深く鑑賞し、貴重な情報や盤をお持ちの方がいらっしゃると思う。このブログを通じて、そうした方々と魔笛に関する情報交換や音を聴かせていただければ幸いだと考えている。

なお、最近入手したCD盤『フルート四重奏によるモーツァルト「魔笛」』:ウォルフガング・シュルツ&ウィーン弦楽四重奏団(収録2001年)は録音もよく、シュルツ(ウィーンフィルの首席フルーティスト)のフルートの香りと気配が漂ってくるようで、まさに文字通りのMagic Flute(魔法の笛)。とにかく、魔笛ファン、フルートファンにはこたえられない1枚。

2006年2月に同様のスタイルで「ドン・ジョバンニ」盤の発売が検索で分かったので早速注文したところ在庫切れで今のところ入荷待ちの状態。やはり、オペラファンは根強くて多い。

             

 


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魔笛談義その2~視聴用の装置~

2006年10月22日 | オーディオ談義

音楽を鑑賞するときに、同一のCD盤でも視聴する機器や部屋によってまるっきり違う音楽に聴こえることがあるのは、音楽愛好家なら誰でも経験するところ。

この理由は、CD(レコード)盤と視聴機器の関係を楽譜とピアノに置き換えると比較的分かりやすい。

ピアノもアップライトのものからグランドピアノまでいろいろあるし、スタンウェイとベーゼンドルファーだって音色に違いがある。部屋の音響効果も無視できない。

したがって、ある人がいい録音といっているCDが自分の家ではさっぱりといった事例が頻繁に起こる。専門誌でのCD評も視聴機器を抜きにして一人歩きする傾向があるのでそのまま鵜呑みにすることは危険だ。

家庭で音楽を本格的に楽しもうと思えば、出費を含めて大変な労苦を伴うが、本当に音楽を愛するのであれば、オーディオに無関心というのは有り得ない話だと思っている。

「音楽をいい音で聴くと、より深い感動が味わえる」その一念で約40年近くオーディオにも随分熱心に取り組んできた。実に紆余曲折があって回り道をしてきたが、決して無駄な授業料ではなくて、その経験が何らかの形で現在の装置に生きていると自分を慰めている。

ただし、その割にはまだまだの音で、今のところ年令相応に8割方満足の一段落で推移しており、決して完全無欠な音とは思っていない。まだまだ改良の余地がある。それに音質を聴き分ける自分の耳もあまりいいほうではない。

留意していることはあまりに多すぎて、きりがないが、特に「音が減衰していくときの余韻と静けさ」を大切にしている。

現用装置で留意していることは次のとおり。

JBL(ジャズ向き)とタンノイ(クラシック向き)を併用(タンノイの箱にJBLのユニットを取り付け)して、クラシックもジャズも両方良く鳴るようにしたい。

3極管シングルアンプ3台によるマルチアンプ方式による3ウェイ

音の入り口を重視

≪システムの内容≫                    

CDトランスポート→ワディア270

DAコンバーターとはST端子でクロック・リンク。接続のほうはPADのドミナス・バランスコードを使用
 
DAコンバーター →ワディア27ixVer3.0

アッテネーター(FRのAS-1、2台)と接続 

パワーアンプ→真空管アンプ3台によるマルチアンプ方式
低域用VV52Bシングル、中域用PX25シングル、高域用WE300Bシングル、予備:2A3シングル 

スピーカー →3ウェイ方式
低域JBLー130A(箱はタンノイウェストミンスター)
中域JBLー375(ウッドホーンはサノ)
高域JBLー075(ステンレス製特注ホーン付き)

クロス・オーバー

低域の上限は330ヘルツ(6db/oct)
中域の下限は500ヘルツ(6db/oct)、上限は7000ヘルツ(6db/oct)
高域の下限は7000ヘルツ(6db/oct)            

DVD再生装置  →DV-HRD300(プレーヤー)

DAコンバーターとはサエクの光ケーブルで接続

画      面 →LC45GD1(45インチ液晶テレビ)

視  聴  室  →5m×6m

  
                    
                                

                    


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