「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~西方の音~

2006年10月26日 | オーディオ談義

芥川賞受賞作家で柳生武芸帳などの剣豪小説で有名だった五味康祐氏の著作「西方の音」は、自分の音楽鑑賞に当たってのバイブルとなっている。

出版当時、「専門の教育を受けたプロの音楽評論家に何故このような優れた音楽評論が書けないのだろうか」という指摘の記事を読んだ記憶が残っているが、とにかく20代の頃は続編の「天の聲」とともに座右の書として繰り返し読んだ。

魅かれたのは人生と音楽との関わり合いが面白く、たとえばベートーベンのピアノソナタ作品111を聴いていると妻と離婚すべきかどうかといった想念が浮かんできたりする、そういう人間の倫理観にまで及ぶ聴き方が新鮮だった。

自分もこれから音楽を聴くときはこういう聴き方をしようと心に決めた。すぐにバックハウスのレコード盤を求め、耳を澄まして聴いたことを今でも想い出す。

また、氏はオーディオにも熱心でアンプは真空管党、あのマッキントッシュ(ステレオサウンド誌で”ネス湖の怪物”みたいなといわれた
MC22とMC275、そしてSPはタンノイの回し者といわれたほどのタンノイファンであのオートグラフ。

自分もその影響を受けて、SPはタンノイⅢLZからインパルス15そしてウェストミンスターといった変遷を重ねた。その後タンノイの音が自分に合っていないことが分かりユニットを放逐しJBLに取り替えた(ウェストミンスターのBOXはそのまま使用)が、アンプの方はいまだにトランジスターが信じられず真空管党である。

S社発行の「管球王国」は「真空管アンプ大研究」に始まって第1巻から2006年8月発行の第41巻まで全巻そろえているが、オークションの調査用として重宝している。

とにかく、自分は、いい音といい音楽は相関関係にあると考えており、その辺のバランスに言及した著作が好きだ。その意味で勉強させてもらったのは「西方の音」「天の聲」であり、それ以降では菅原昭二氏の名著「ベーシーの選択」だった。


            
  


 


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