6月釧路市議会も委員会審査が行われ、大きな山場になっている。
昨年来、市政を揺るがしている新図書館の建設。今議会で基本設
計と工事費の概算8億円と算出した。
建設場所は、まだ「さら地」の状態である。
通常30億円ともいわれる大型公共施設だが、民間ビルの賃貸料が
発生するため、市独自の建設による建設費、管理費を30年単位の
トータルで比較するとそんなに大きな差はない。
民間会社にとっては、30年間間違いなく賃貸料が確実に入るため、
通常のオフィスビルと比べて、こんな良い条件はない。
当初、市の単独建設で話がすすみ、候補地も何カ所かあげられて
いた。しかし、「民間ビルの建設計画がある。そこに賃貸で入居
した方が安い」と突然提案してきた市長。この突然で意表をつく
提案に対して、議会は驚くとともに「待った」をかけ、検証して
きた。さらに市民的な反対運動も起きた。
そのなかで、図書館という釧路市の文化そのものをどうするか、
という議論もまきおこった。私はお金だけではなく、文化問題と
しての市民的議論の高まりを期待していたが、結局、経費の問題
にされてしまった。ある面、残念であった。
ところで、図書館の建設は市にとって大型の公共事業のひとつで
ある。約30億円といえば、透明性を確保するため、入札となる。
国土交通省をはじめ、公平性、透明性を確保するため、入札に関
してさまざまな法令が可決され、通達もだされている。
入札にならない「随意契約」も、公平・透明性を確保することが
求められている。
さて、今回の釧路市の新図書館はどうであったのか。
図書館という大型の公共施設の建設が、市長と民間会社との口約
束からはじまった。いわゆる「随意契約」と同じ経過をたどり、
入札なしの建設に踏み出している。
民間資金による公共施設の建設には、PFIという手法が行われて
いるが、これも当初、入札なしの「随意契約」のおそれがあるた
め、国会でも議論となり、PFIの入札をしっかりやるようになっ
ている。
今回の図書館建設は市民の立場からみると、大型公共事業の建設
にかかわって、入札という公平・透明性はまったくなく、一民間
企業が最初から決まっていた。
この「賃貸契約」という手法を使えば、大型公共施設の建設が
「入札なし」で、どんどん建設されることになる。既存のビルで
はなく、白紙のさら地からも適用できる。当然、民間企業と政治
家としての市長との不透明性が高まり、かって歩んだ腐敗の温床
になる恐れがある。
杞憂が現実のものとならないように。
私は、公平性・透明性の確保にむけて、現存のビルだけでなく、
未建設ビルへの「賃貸契約」という方式に「入札」をおりこむ
しっかりとした制度設計が必要と考える。
でなければ、住民からの「訴訟」も起きかねない。