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芥川賞・直木賞受賞作にみる純文学と大衆文学の文章の特徴―文字数,読点数,読点の直前の品詞から―

2014-01-19 16:28:21 | 研究演習2013
要旨
本研究は、芥川賞・直木賞受賞作から純文学と大衆文学の文章の特徴を分析するものである。両受賞作のそれぞれ20作品を選び、地の文100文における文字数、読点数、読点の直前の各品詞数、読点の直前の助詞の内訳を調査した。
その結果、文字数については、芥川賞受賞作では各作品ごとの差がかなりあり、直木賞受賞作ではあまり差がなかった。文字数と読点数の関係については、先行研究でも指摘されているように、両受賞作ともに相関関係がみられた。
読点の直前の各品詞の割合については、両受賞作ともに助詞の割合が高かった。そのうち、直木賞受賞作において、年代が新しくなるにつれて、助詞の割合が若干減り、名詞の割合が若干高くなっている。読点の直前の助詞の割合では、接続助詞、格助詞、係助詞「は」の使用率が高い。文字数と読点の直前の助詞、とりわけ接続助詞との関係については、新聞記事において相関関係が認められるとした先行研究とは異なり、本研究の小説においては、相関関係が認められなかった。
これらの結果は、両受賞作が性格の異なる文学(純文学と大衆文学)に分類されるものであること、両受賞作が小説という「作品」であることなどに起因していると考えられる。
本研究では、先行研究で指摘されている内容の裏付けができ、反対に、指摘されている内容とは異なる結果が得られるなど収穫はあったが、純文学と大衆文学の文章の特徴を分析するにはもの足りないものとなった。今後は、新しい視点と、より詳細に分析する視点の両方から調査する必要があると考える。
*****
読点の直前の品詞について、芥川賞受賞作の方が直木賞受賞作より動詞の使用率が高い傾向があった。これは、芥川賞受賞作が直木賞受賞作に比べて、「硬質」な印象を与える作品が多いことに起因すると考えられる。読点の直前の助詞のうち、格助詞については、両賞受賞作とも、「に」の使用率が高い傾向にあり、時代の変化によるその特徴の変化はあまりみられない。接続助詞については、両賞受賞作とも、「て」や「が」の使用率が高い傾向にあり、時代の変化によるその特徴の変化はあまりみられない
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