日本語おもしろ発見

日々の生活から

「池」と「沼」、ついでに「湖」の違いは?

2009-02-16 18:24:15 | 日本語豆知識
 「池」と「沼」は何が違うの?

 某企業のCMですが、面白いですね。

 ある女の子が、「池と沼の違いは?」と祖父に尋ねたところ、「河童がいるかどうか」と言われ、納得がいかないので、母親にも同じことを尋ねますが、同じ答えが返ってきます。

 さて、「池」と「沼」はどう違うのでしょう。深さが何メートル以下でとか、沿岸植物が生えているかどうかとか、そういった学問上の分類ではなしに、言葉の違いとして、考えてみましょう。以下、文化庁の新「ことば」シリーズ10、言葉に関する問答集の記述をまとめます。(このことばシリーズは安価だし、読みやすいし、非常におすすめ!)

 共通するのは、「たくさんの水がたまっている地形」を表すということです。では、例文をみてみましょう。

①山あいの湖にボートを浮かべて遊んだ。
②その沼の底には妖怪が住むという。
③自宅の庭に池を作って鯉を放した。
 
 それぞれ、「沼」「池」「湖」に置きかえ可能かどうか見てみましょう。

①湖・・・池○、沼、少し違う
②沼・・・池、少し違う、湖、少し違う
③池・・・池、不自然、湖、不自然

 私たちは、この3つの言葉をどのようにとらえているのでしょう。湖は「大きくて、深く、濁っていることもあるが、澄んでいることが多く、自然にできたもの」、沼は「非常に大きくはなく、底に泥がたまり、水面には水草など、周囲には草や木が生えている、自然にできたもの」、池は「非常に大きくはなく、地面を掘ったりして人工的に作ることもあるもの」、というようなとらえ方をしているのではないでしょうか。

 もちろん、言葉には、重なる部分があるので、これだけではすべて説明したことにはなりません。「アシの群生するヘドロのたまった小さな湖」も存在しますから。しかし、こういったことよりも先述の典型的な湖の説明のほうが大事です。そこで、3つの語が表す対象の関係を図に示します。昔、習った図です。



 湖が沼と、沼が池と、それぞれ近いこと、湖と池が遠いことを示します。「湖沼」や「池沼」はあるのに、「湖」と「池」の組み合わせがないのも参考になります。こういった図は視覚的な説明となるので、イメージしやすく、言葉の意味の違いを説明するとき役立つので、しばしば用います。

 さて、話は戻りますが、じゃあ、池と沼の違いはなんでしょう。②が典型的な意味を示す例文だとすると、「河童が住んでいるかどうか」というのは、あながち外れた説明ではないですね。もちろん、河童が住んでいるのが「沼」で、いないのが、「池」です。
コメント (1)
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