日本語おもしろ発見

日々の生活から

『紫式部日記』における漢語使用の男女差

2013-12-23 18:52:34 | 研究演習2013
要旨

平安時代における漢語使用の男女差については、西端幸雄氏が「漢語の位相(上)・(中)・(下)」(『滋賀大国文』第12・13・14号、1974年11月・1975年12月・1976年12月)で『源氏物語』を、加藤浩司氏が「落窪物語における漢語使用の男女差」(『日本語学最前線』和泉書院、2010年)で『落窪物語』を資料として既に考察しているが、今回の調査では、同時代の『紫式部日記』を資料に、会話文・心話文・消息文・和歌などの中に見られる漢語・混種語を抽出し、そこから更に話し手・聞き手の性別などによって分類して、漢語・混種語の使用の男女差についての考察を行った。その結果、『紫式部日記』の会話文などから抽出された漢語・混種語は非常に少なく、その漢語等の使用における明確な男女差の存在を確認するまでには至らなかった。
 次に、抽出された個々の語については、両者の先行研究において、男性が話し手の場合にのみ使用されており、「男性専用語」なのか否かの検証の必要性を帯びている漢語としてともに挙げられていた「面目」という語が、今回の調査でも男性が話し手の場合にのみ使用されている事が分かった。「男性専用語」である可能性がより高くなったこの語については、今後も同時代における他作品などを資料として、その可能性をより確実なものとするための調査を行う必要がある。

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