会社で、災害用の備蓄飲料水を入れ替えるという連絡が来た。
一人当たり1日1ℓで3日分・・・、結構の量になる。
ペットボトルの水は、賞味期限が切れたものもスペースがあれば取っておいて生活用水として有事には使いたいとのこと。
この話しを聞いて、そういえばウチでも妻が随分前にリュックに水や乾パンを入れて、災害用にまとめていたことを思い出した。
あれはどこにあるのだろう。
ありました。玄関の靴入れの脇に入っていました!
薄汚れたリュックを開けてみると、ペットボトル、乾パン、ろうそく、軍手・・・、いろいろ入っている。
あぁ~、ペットボトルの水は賞味期限が随分前に切れている。乾パンも然り。
何事にも慎重で、何事も前以て準備をしておかないと気が済まない我が妻。
普通の生活用品なども、切れるのを嫌がり、安いときに買いだめしていた。
妻が逝ってから、キッチンの戸棚や洗面台の下を開けてみると、買いだめしたものが沢山出てきた。
食料品などは安いときに買うのも良いが、結局賞味期限が切れているものも多い。
いつも家計が大変だとぼやいていた妻。
元気なときはパートでそれなりに稼ぎもあったが、体調を崩してからは働きに出ることも出来なかった。
確かにオヤジばかり勝手に呑み歩き、十分な生活費を渡していなかった気がする。
でもいずれは使うにしても、こんなにいろいろ買い込んだら、無駄になることもあるだろうに。
本当に貧乏性なんだから・・・。
でも、10円でも1円でも安いものをせっせと買いだめしていた妻を想うと、胸が痛んだっけ。
古ぼけてカビの生えたベタベタするリュック。
妻はどんな気持ちでこのリュックにペットボトルを詰めたのだろう。
汚いリュックを見つけ、また胸の痛みを想い出した。
「ばかだなぁ・・・」
思わず泣き笑いになって、リュックがぼやけ、胸がまたズキズキ痛んだ。