おはようございます。
生き生き箕面通信1724(130911)をお届けします。
・シリア攻撃は回避か――プーチンさんの大手柄
シリアを攻撃するにしろ、しないにしろ大ピンチに陥っていたオバマさんに、救いの手を差し伸べたのはプーチンさんでした。
プーチン大統領のロシアが、「シリアの化学兵器を国際管理下に置く」という提案をし、まさかのシリアが受け入れました。そうなればアメリカも攻撃の口実が弱まり、ひとまず事態の流れを見ることにならざるを得ない。オバマさんには、「名誉ある撤退」の道が開け、さぞやホッとしたことでしょう。
ケリーさんの一言が、ひょうたんからコマとなり、劇的な展開をみせました。ケリ―米国務長官は訪英中のロンドンで9日昼に記者会見し、攻撃回避の道はないのか、と問われたのに対して、「来週中に、シリアが化学兵器を全て国際社会に引き渡し、検証させることだ」と、答えた。このときは、シリアのアサド大統領にはその準備がないことから、「明らかにムリだろうが」とも付け加えていました。
ところが、ロシアのプーチン大統領はその言葉を逃さず、すぐ動きました。アサド大統領を説得し、受け入れさせたようです。
ロンドンからワシントンに向かうケリ―長官の専用機に、ラブロフ露外相から電話が入り、「そのアイディア、進めてみたい」。そして、モスクワ時間の9日夜、ロシアの提案を発表。その1時間半後には、今まで化学兵器の保有を認めていなかったはずのシリア・ムアッレム外相が、「提案を歓迎する」と表明しました。
シリアの動きを「時間稼ぎ」と見ていたアメリカですが、オバマ大統領は9日夕(ワシントン時間)、テレビ6社とのインタビューで、「重要な事態の打開策となり得る」と表明、一気に空気が変わりました。
仕上げはフランス。ファビウス仏外相が10日、国連安保理に同日、5要件を盛り込んだ決議案を提出すると発表しました。これで、シリア案件を国連の討議の場に復帰させることができる。
この一連の動きを、中国も歓迎。日本政府も。国際的な連携で、問題解決の道を国連に移すことができるメドが付きました。オバマさんも、振り上げたこぶしを無事に下ろすことができます。*ここまで、朝日、読売新聞の情報をもとに構成しました。
国際問題の解決は、こうでなくちゃね。「やればできる」。その具体例が、あっという間にできました。いやあ、久々に立派な国際連携プレーを見せていただきました。感動しました。
とはいえ、まだ安心はできません。シリアは、仮に持っているなら、その化学兵器をどこかに隠して温存しようとするでしょう。査察がどこまで徹底できるか。
なにより、イスラエルがこのまま黙って中東に平和が戻ることを認めるはずがありません。何らかの妨害をするのではないでしょうか。イスラエルがイランをミサイル攻撃することもあり得ます。
アメリカ国内の産軍複合体も、和平への展開を黙って見過ごすはずがありません。営々としてシリアでここまで戦端を開く仕掛けを準備してしたのです。それでもオバマさんが動かないために、最後の手段として化学兵器を使って見せたかもしれないのです。それほど努力して積み上げてきた新しい戦場の準備。それが、パーになってしまう。黙っているわけにはいきません。こちらも何らかの新しい画策を始めることは確実です。
それはさておき、国連でフランスの提案が採択され、平和が取り戻された暁には、プーチンさんへ「国際平和貢献賞」といったものを差し上げたい気分です。