水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1243」

2017-04-10 18:12:03 | Weblog



カルテ番号 ろ・1(8)

いつもの日帰り温泉で、じっくりと風呂につかった。
休憩所でも、じっくりと時間をかけた。
これからどうするか?
何も思い浮かばないが、今までとは違う事をしたい。
こうなってみると解る。
天体観測は自分のやりたい事ではなかった。

星を見るのは受け身。
宇宙の中にいるのは、現実の自分嫌悪からの逃避。
見ていれば確かに愉しい。
宇宙の星々は素敵で素晴らしい。
だが、自分は見ているだけなのだ。
自分が関われる相手ではない。

生きるのは、受け身ではない。
生きるのは、能動があって生きるといえる。
受け身は、能動の安らぎなのだ。
安らぎだけでは、生きているとはいえない。
考えて、考えて、その事に気づいた。
自分は何をしたいのだろう。
何ができるのだろう。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1242」

2017-04-09 19:37:03 | Weblog



カルテ番号 ろ・1(7)

落ちたショックではない。
その一瞬に思った自分のこれまでの人生に、だ。
このまま終わっていいのか?
変わろう。
具体的には分からない。
だが、変わろう。
こんな思いはもう嫌だ。

水を汲んで観測小屋に戻るはずだった。
それが、このアクシデントで変わった。
どうしたらいいのか分からないが、観測小屋ではない。
そこに行ったら、またいつもと同じになってしまう。
車は麓の町に向かった。
とにかく、一度風呂に入ろう。
傷が痛むかもしれないが、身体を清めたい。

車の中には絆創膏があった。
血は大丈夫だ。
傷は絆創膏で覆うことができた。
ズボンもシャツも泥が付いている。
着替え用はいつも準備してある。
大丈夫だ。
何も問題ない。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1241」

2017-04-08 18:19:59 | Weblog



カルテ番号 ろ・1(6)

スローモーな時は終わった。
足が石の上に乗ったのだが、膝が耐えられなかった。
若い頃なら普通に着地できていた。
それが、膝が崩れ、尻もちをついた。
更に背中も打ってしまった。
それでも、頭はぶつかっていない。

しばらく動けなかった。
ゆっくりと起き上がる。
背中の骨も大丈夫なようだ。
痛いのは、打ち身のせいだろう。
膝に力が入らないが、関節の異常もないようだ。
右手は切れて血が出ていたが、打ちつけたわけではない。
ようするに、ほとんど無事といっていいだろう。

ゆっくりと足場を確かめながら、少し下流に沿って歩く。
やがて、上の道にでられそうな斜面があった。
大丈夫だ。
だが・・・蠟山辰雄の胸の内は騒いだままだった。
いいのか?
これでいいのか?
その言葉が、自分を責める。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1240」

2017-04-07 18:23:49 | Weblog



カルテ番号 ろ・1(5)

事故で死ぬ前に、自分の一生が走馬灯のように見えるという。
辰雄は、今のやけにゆっくりとしている時間がそうなのだと思った。
自分は崖から落ちて、死ぬのだ。
今はその途中なのだ。
走馬灯のように映像が目の前に広がる、と読んだ事がある。
だが、いろいろ考えが浮かぶが、映像は見えない。

落ちる時に夢中で低木をつかんだ。
つかみきれず、右手が切れている。
痛みは感じない。
そんな事も同時に認識している。
下まで3メートルくらいなら、1秒くらいだろう。
それなのに、どうしてこんなに長いのか。

こんな人生でいいのか?
これで終わっていいのか?
悔いだらけでいいのか?
死んで・・・いいのか?
いいわけがない。
いいわけがない!

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1239」

2017-04-06 19:01:43 | Weblog



カルテ番号 ろ・1(4)

小さな山だ。
麓まで車で15分。
そこにはコンビニがある。
更に10分も行けば、日帰り温泉もある。
水は中腹に湧き水がある。
洗濯以外は困らない。

ある日、水タンクに湧き水を汲んでいた。
水はその先の崖から下の沢に落ちている。
沢まで5・6メートルくらいだった。
ふと、沢に降りてみたくなった。
そして、途中で足を滑らせた。
下まで3メートルくらいだろう。
僅かな時間・・・のはずだった。

蠟山辰雄は時間がスローに感じた。
しかも、とてもゆっくりだった。
あまりにゆっくりなので、落ちている事を冷静に観られた。
また、落ちているのに、別な考えも浮かんでいた。
いつも考えていた自分の人生。
こんな人生でよかったのか?
いいわけがない。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1238」

2017-04-05 18:11:53 | Weblog



カルテ番号 ろ・1(3)

夫婦間が冷えていて、子が家庭にいつくわけがない。
一人息子は大学入学と同時に家を出た。
卒業後もそのまま都会で就職し、都会で結婚した。
妻とは連絡もあるが、辰雄にはない。
それも当然かと思っている。
親子の愛情も薄かったのは間違いない。

夜空の星を見ていると、自分の人生など忘れている。
家庭、夫婦、親子とか、完全に忘れる事ができる。
星を見るのは好きだが、自分の人生は嫌いだった。
我慢だけの生き方だったと思っている。
今になっては後悔が次々と湧き出る。
何故、家庭を持ったのだろう。
元々、自分は家庭人として失格者だ。
いや、社会人としても失格かもしれない。

天体観測とはいえ、本当は現実逃避だけかもしれない。
人生逃避かもしれない。
そもそも、何故自分のようなのが生まれてきたのだろう。
考えても仕方無い事を何度も考えてしまう。
星を見る時以外は、そんな暗い考えばかりだった。
最近は、家に帰る間隔も伸びている。
山の観測小屋に泊まる事が増えているのだ。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1237」

2017-04-04 19:03:12 | Weblog



カルテ番号 ろ・1(2)

出来れば、一人だけの研究者などが理想だった。
一日中、誰とも会わずに仕事が出来れば、満足だろう。
それが、小さいとはいえ公務員として役場務めだった。
それなりに話をしなくてはならない。
人と人との間の仕事だった。
毎日が我慢だった。

自分のように人との交わりが嫌いな人もいるだろう。
だが、社会は一人では暮らしていけない。
無人島暮らしは理想だが、実際には不可能に近い。
それなりのスキルが必要だ。
蝋山辰雄は一人が好きだが、何でも出来るタイプではなかった。
普通の人のように結婚して、家庭を持った。

結婚は見合いで、相手を知らないうちから断るつもりはなかった。
結婚が目的で、相手を好きとか嫌いとか関係なかったのだ。
思えば失礼な話である。
言葉にせずとも雰囲気が出る。
妻が辰雄から離れるのも当然かもしれない。
経済的な理由だけで離婚しないでいるのも理解している。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1236」

2017-04-03 19:29:47 | Weblog



カルテ番号 ろ・1(1)

蝋山辰雄は山村地区の小さな役場に勤めていた。
定年し、再雇用で関連施設にいたが、65歳の誕生日で二度目の定年だった。
子供は独立し、妻とも家庭内別居のようなものだった。
一人が孤独で淋しいとも思っていなかったが、つまらない人生だとは思っていた。
唯一の趣味は天体観測だった。
身分不相応なほどの天体望遠鏡を持っている。

山の上に小さな土地を借り、小さな個人の観測小屋を作った。
狭いが、一応寝泊りは出来る。
雲さえなければ、望遠鏡で星を見るのが至福だった。
誰とも話さない。
特に同好会のようなクラブにも入っていない。
本人は孤高きどりの観測者だと思っていた。

生活圏からの光は弱いとはいえ、遠くの町の光も見える。
山の上とはいえ、車の通れる道はある。
熊が一番の気がかりだが、小屋の中なら大丈夫だろう。
子供の頃の秘密基地のようで、ここに居るのは楽しかった。
家に帰っても、話もしない妻といるのは、かえって苦痛だった。
原因は多分自分にあるのだろう。
コミュニケーションが苦手なのだ。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1235」

2017-04-02 19:27:37 | Weblog



カルテ番号 れ・1(33)

ふと気になって行動する。
それが、とても大きな意味を生み出す。
今日はそれを実感した。
答えは悩んで得られるわけではない。
素直になって動いた時にやってくる。
院長の話を聞きながら、そんな事も同時に感じていた。

院長は優しく言った。
「身体、肉体を愛おしいと思う。
すると、当然、どうしたら身体に喜んでもらえるか。
そんな風な接し方をする。
病になり難い、回復する、それもあります。
ですが、もっと未来の事なのです。
今後の10年、20年、30年、40年の話をしています」

冷泉美和はラッキーだと思った。
幸運も、特別な事ではなかった。
「ありがとうございました。
不思議です。
いろいろが・・・不思議でした。
また、伺いたいと思います」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1234」

2017-04-01 19:34:31 | Weblog



カルテ番号 れ・1(32)

院長はまたも照れて言った。
「哲学などと言うと偉そうなので、少し弁解しますね。
哲学というから難しい学問だと思われがちです。
ですが、易しく言えば、生き方です。
生き方は、肉体があって成り立ちます。
観念的にしてしまうから、間違ってしまいます。

毎日の生活、毎日の暮らし方、それが哲学です。
どうしたら、楽に生きられるか、暮らせるか、それが哲学です。
難しい言葉でアレコレ言うのは、哲学ではありません。
誰にでも解る易しい言葉だから、生活に活きるのですから。
その土台は、何度も言うように肉体です。
つまり、身体をいかに大切にするか、愛するか。
哲学というのは、それだけなのですよ」

冷泉美和は、簡単で単純が深いのだと知った。
まっすぐなのが、幅広いのだと知った。
見える身体に関わる事が、見えない生き方まで示すのだと知った。
これから、どうしたらいいか。
答えは、誰にでも同じで、一つだけだった。
迷う事など無い。
身体を愛おしめばいいだけだと、知った。

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