水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」
カルテ番号 よ・６（51）
「ここを紹介してくれた、柳さん。
あの人も先生も・・・どう言っていいのか・・・
何か、別の役割とか・・・普通でない役割？
あぁ、どう言おうか悩みます。
先生と柳さん、仲間ですか？」
これも、百合が意識しないで出た言葉だ。
急に閃いて口から出た。
院長は少し黙った。
そして、百合の顔を見ながら言った。
「特別ではないけれど・・・
一般的でもない・・・仲間です。
吉永さんに隠していても仕方ないですね。
でも、吉永さんもそうですが、一般には隠して下さいね。
先ほども話しましたが、社会は異端、少数派には攻撃的になります。
吉永さんの口から出る言葉も、時と場が来るまで、秘密ですよ」
百合は自分で訊いたのに、現実感がなかった。
やはり、そうだったのか、という思いも微かにある。
それで納得できる部分もある。
柳さんと先生は、どこか似た雰囲気があった。
秘密の世界。
どうやら、そこに紛れ込んだ自分がいる。
常識が崩れたわけではない。
常識から全く別の世界に急に入りこんだ感覚だ。
（登場する人物・組織・その他はフィックションです）
（過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」
誰か出版してくれぇ～
１８年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Ｙａｋｋｏｏ」)
カルテ番号 よ・６（50）
百合は、それを聞いてほっとした。
自分は人前になど出たくない。
隠れて暮らすのは気苦労だが、目立たぬように生きたい。
「もしメッセージだとして、何かしなくてはならないのですか？」
院長は笑った。
「先ほども言いましたが、本来は各個々が直接受け取るものです。
自然でいいのですよ。
むしろ、自然から外れたら、間違った言葉を並べるようになります。
それは、結果的に信じる人と共に苦しむでしょう。
大丈夫ですよ。
必要ならば、そういう風に自然と運命が流れますから。
ただし、その時も、必要以上に固辞をしないで下さい。
それも不自然ですから」
百合は思い返した。
あの原因不明の手のしびれから、急に変わり出した。
この地域に来ることになり、柳さんという女性と知り合った。
そして、この院長と縁ができた。
身体も性格も軽くなった。
生きていける、と思えるようになった。
自然と言葉が出るくらい、何という事もない。
それでまた何かが変わるのなら、それでもいい。
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カルテ番号 よ・６（49）
百合はしばらく考えてから言った。
「地震という言葉は、私がメッセージを受け取ったのですか？」
院長は笑って言った。
「わかりませんよ。
でも、そうだとしても、それほど珍しい事でもありません。
先ほど話したように、基本的には全ての生物が受け取れるのですから。
現代の人類が鈍くなっている人が多いということだけです」
百合は本当に訊きたい事があったのに、どうでもよくなった。
もっとこの事について話して欲しいと思った。
「勝手に言葉が出る人は、もっといるのですか？
出ても、関心が無いのなら、あまり意味がないようと思います。
それとも、次第に関心が湧いてくるのですか？
もっと、具体的に言葉が出たりするのですか？
頭が変、と思われないですか？」
院長は言った。
「勝手に言葉が出る人は結構いますよ。
ただし・・・怪しい側の人が多いですね。
地球からとか、神からとか、高級霊とかのメッセージを受けた。
そんな風に言う人達は、ほとんどが怪しい側です。
特徴があります。
人前に出たがります。
アピールをしたがります。使命とか言い出します。」
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カルテ番号 よ・６（48）
百合は質問した。
「地球自体が生き物のように、メッセージを出すのですか？」
院長が即時に答えた。
「出すでしょうね。
出していなければ、今のように多くの生命体はいないでしょうね。
これは私が考えたことではなく、多くの学者も言っています。
中には、偉大な数学者なども同じ事を言います。
何らかの事前のサインを生物が受けているはず。
そうでなければ、過去の地球の大きな変化で生物は生き残れない。
確率的に、たまたま生き残るというのは無理が大きいのだそうです。
合理的に考えると、何らかのサインを受けて、災害から避けている。
地球が生き物のようにサインを出す、という部分は否定していますが・・・
地球が巨大な生物、という考えは昔からあります。
ガイア理論といわれるものですね。
余談ですが・・・
個の人に関しても同じような事がいわれています。
数学者の話ですよ。
その個人を、何らかの守る力が働いている。
そうでなければ、一生の間に起こる事故の確率から身を守れないそうです。
数十年生きるのさえ難しいそうですよ。
守護霊とか守護神とかをそのまま信じるわけにはいきません。
それでも、同じような守ってくれる存在を否定できないのです」
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カルテ番号 よ・６（47）
院長は百合の顔を見てから言った。
「多くの動物達は、地震が起こる前から移動します。
私は今こんな事を思いつきました。
地球からのサインだとしたら、そのサインを事前に伝えている。
地球上の生命体に伝えている。
地震そのものは、地球自体の動きの一つでしょう。
地球にとっては当たり前の動きの一つでしょう。
しかし、その動きで多くの生命体にも被害が出る。
ならば先に起こる事を伝えて、生命が多く生き残れるようにした。
陸や海や空に生息する生命体。
動物だけではないでしょうね。
地球からの伝言を受けて、安全な場所に移動する。
伝える事は同時に全てに発しているのでしょう。
伝わるのは、伝えた事を個々が受け止めるからです。
ところが、人間種だけ上手く伝わらない。
伝わらないのは、人間種が受け止めないからでしょう。
人間種は、頭が発達してしまった。
中途半端に・・・
その為、感覚で受け止める事が阻害されてしまった。
他の生命体が理解できる伝言が、理解できない。
生命に関わる重要なメッセージを受け止められない」
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カルテ番号 よ・６（46）
昨日も呼吸が楽になった。
それよりも、更に楽になった。
「何故だかは、わからなくてもいいのですね。
それでも地震という言葉が口から出たのです。
意味はわからなくても、重要なのでしょう？」
百合は次第に地震という言葉が大きく感じてきた。
大きく感じても、不思議と怖さはなかった。
院長は慎重に言った。
「地震は地球からのサインかもしれませんねぇ。
地球上には多くの生命体がいます。
私達人間は、つい人間の事ばかり考えてしまいます。
でも、他の生命体にとっても大きな衝撃です。
地震はその先に創造があるかもしれません。
それでも、地震そのものは破壊でしょう。
大規模な破壊現象。
多くの生命体が打撃を受けます。
地球そのものが生命体の集合で成り立っている生命ともいえます。
生命体が打撃を受ければ、地球そのものも打撃でしょう。
それなのに地震が起きる。
大きな破壊活動が起きる。
ならば、それなりのサインかもしれませんね」
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カルテ番号 よ・６（45）
院長は百合の複雑な顔色を見ていた。
「一つの基準や考えに統一させようとする時代があります。
異なるものを修正する。
あるいは排除する。
そういう時代の先は、戦争です。
一人一人が違って当たり前なのに、同じにしようとする。
本当に素直な人は、とても生きにくいのです。
他人の言う事をそのまま信じるのは、素直ではありません。
素直の素とは、自然の事です。
受け止める事と信じる事は、全く違うのです。
そして、簡単に信じる事と簡単に疑う事は、同じなのです。
どちらも非常に浅い常識や知識や経験で判断していますから。
本当の事は、わからない。
これが、素直という事なのですね」
百合は思い出した。
苦しいのは、他の人達と同じようにしようとした時。
多くの人達と違うから苦しかったのではない。
合わせようと無理をしていたから。
そう思ったら、何かが溶けていった。
合わせなくてもいい。
同じように生活しなくてもいい。
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カルテ番号 よ・６（44）
「何だか怖い話ですね・・・」
院長は頷いた。
「怖いのは・・・人の心にある種ですね。
注目されたい、立派になりたい、偉くなりたい。
種は、一見向上心に見えます。
だから、真面目に努力し精進する人に怖さが育ちます。
戦争時は皆さん、真面目で努力する人ばかりです。
それだけ真剣に取り組みますから、正しいと信じている。
正しさを追い求めると、他を否定します。
違う生き方、違う思想、違う考えの人を攻撃します。
しかも努力家だから、攻撃も強く、容赦もない。
戦争の悲惨さは、真面目で正しい人たちが生むものです。
冗談といい加減な世界では、戦争になりませんから」
百合は自分を振り返った。
自分は真面目なのだろうか？
不真面目ではなかったが、真面目とも違う。
正しさなんてわからなかった。
目立たぬように、こっそりと生きる為に努力した。
常に争いから避けるように生きてきた。
生きにくい世の中だと思っていた。
院長の言葉で、わかったことがある。
自分は大勢の人達と、違うから生きにくかったのだ。
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カルテ番号 よ・６（43）
院長も笑って言った。
「私も吉永さんは大丈夫だと感じています。
でも、せっかく素直な状態になって、重要な言葉が訪れた人。
言葉が重要なだけに、自分の力だと思い込む場合があるのです。
自分が偉くなった。
あるいは、波動が上がったなどと勘違いします。
少しだけでも冷静に自分を振り返ればわかる事なのに。
そして、神様が付いたなどと言い出します」
百合は言った。
「そういう人達は、その後、どうなるのですか？」
「人に付くのは、神様ではありません。
ミエとか、傲慢とか、ゴミとか、虫ですね。
見えない存在では、下級霊とかも付きます。
霊は上級になると、人には付かないようですよ。
これも冷静になれば、自然に判る事なのですが・・・
まぁ、偉くなりたいタイプの人には、変なモノが付きますね」
百合は再び言った。
「そういう人達は、どうなるのですか？」
「一時的に、いろいろが上手くいきます。
ヤクザが最初に花を持たせるようなものです。
それで引きずり込むわけですから。
その先は、当然の成り行きになります。
最後は、残念ながら、とても苦しむでしょうね・・・
本人が選んだ道とはいえ、哀しい道です」
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カルテ番号 よ・６（42）
百合は思った。
閉じこもっていて、世間にほとんど出なかったからだ。
他の人との交流がほとんど無かったからだ。
「私は、人格が素直ではなく、世間知らずなだけだと思います。
本当に素直な人は、他に、もっと大勢いると思います。
先生の言うような特別な状態ではないと思います。
頭がまとまらず、ただ口に出た言葉ではないですか？」
院長は言った。
「そうかもしれません。
そうでないかもしれません。
もし、重要な言葉ならば、今後も続くでしょう。
ただ・・・私の勘は、結構当たるのです。
吉永さんは、少し特殊な立場になりそうな気がしています。
でも、選ばれた、などと勘違いしないで下さい。
そういう勘違いで、転がり落ちる人達が大勢いますから・・・」
百合は笑って言った。
「選ばれるなんて、とんでもない。
私の今までの人生は、除外されることだらけでした。
それも、当然だと思っています。
それに・・・特殊な立場なんて、無理ですから。
私、普通になりたいだけです。
普通に話しが出来て、そっと暮らしたい」
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