「風間陽水の依頼簿（カルテ）・272」

カルテ番号　あ・28　５度目（1）

「センセー、おみやげ～」
毎回元気のいい声で愛田恵子がやってきた。
「今度は何処に行ってきたのですか？」
「国内よ。天河神社のいすずのレプリカ。
いすずって、五十鈴って書くのよ。知ってた？」
愛田恵子は長寿族の仲間だ。
風間陽水より１２０歳年上だが、見た目は４０代でとおるだろう。

「知っていますよ。私も縁があり行きましたから」
「なんだ、残念。羨ましがらせたかったのに・・・」
「レプリカといっても本物と同じ大きさのは高価だから持っていません。
いただいていいのですか？」
「もちろんよ。貧乏なセンセーと違って、アタシお金持ちだから」
愛田恵子は笑ってお土産を渡してくれた。
レプリカといっても、確か３０万くらいはしたはずだ。

「この間のお礼もあるし・・・」
以前に愛田恵子の新しい店に一人ホステスを紹介したのだった。
３５歳以上だけのホステスの店だ。
お酒の売り上げで利益を出すのではなく、会員制の会費だけで賄える店だ。
赤字にならなければ利益は出なくていい。
それより、そこからいろいろなアイデアや活力が生まれればいい。
そういう趣旨の店だった。
いわば、愛田恵子の趣味。

（登場する人物・組織・その他はフィックションです）



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