ライブ・ドアのプロ野球参入をめぐってのゴタゴタ劇の後で、楽天が登場し、ソフトバンクが参入した。一方、プロ野球の視聴率はドル箱だったはずの巨人戦でもがた落ちとなり、史上最低を更新している。
ニッポン放送株の大量取得から、フジテレビへの支配を狙ったホリエモンも、楽天ならぬソフトバンク・インベストメント(SBI)の北尾吉孝氏の突然の登場で、すっかり元気がなくなった。
新聞や週刊誌が細かく報じていることを、ここで繰り返して始まらない。しかし、この半年間だけで、ホリエモンの破壊力は相当なものだった。「1リーグ制」を画策していた西武の堤義明氏は逮捕され、そのカリスマ的な権威は失墜した。読売ジャイアンツの苦戦と人気下落は、読売新聞の部数減に影響を与える。
NHKの不祥事は、受信料の支払い拒否を激増させた。ホリエモン騒動で、すっかり地下に潜ったのは「朝日新聞vsNHK」の対決劇である。双方とも長期戦の構えなのか、すっかり目立たなくなってしまった。
バブル崩壊から15年、不況・デフレの波は家計を直撃し、「勝ち組」「負け組」という格差社会を生み出した。個人の力ではどうにもならない壁を、個人の力でよじ登っていかなければならないストレスを増進させている人々は、傲慢だけれど規制秩序をブチ壊すかに見えるホリエモンに拍手を送った。
どうやら、この騒動でいちばん得をしたのは村上ファンドで、もちろん損をしたのは個人投資家だろう。銀行に預けていても、金利はゼロ円。時間外や、他銀行の現金自動支払機の手数料は、変わらない。株で一儲け、勝ち組となる機会を狙いたい人たちはこの半年で相当増えたのではないか。
伝統ある老舗の大企業が、その巨体ゆえに時代の変化に追いつけずに身をよじるように苦悶している。政治で言えばとっくに賞味期限が過ぎた自民党も、伝統的保守政治の地盤低下に直面している。
ホリエモン騒動が残したものは、古い組織や去りゆく者が、いまだに既得権益によって守られ、特権を形成することで醜く生き延びている姿である。巨大メディアもまた例外ではない。新聞・テレビ・ラジオをグループで持って新規参入を半世紀も拒んでいるような業界の病巣は深い。
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