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 昨日、夜半に吹き荒れた「春の嵐」とともに黄砂が鈍い灰色で空を覆っている。花粉症にも呼吸器を圧迫されている上に、細かい塵で体調を壊す人も多いと思う。といって、外出を避けることは仕事上出来ないので、「気をつける」ぐらいしか防御策がない。

 一昨日の衆議院外務委員会(鈴木宗男委員長)を揺るがした「密約」をめぐる議論は、東郷和彦元条約局長の決定的証言によって、外務省自らが「密約」を隠蔽していたばかりでなく、「廃棄」していた可能性が高くなった。しかも、東郷元局長が引き継いだ「秘密ファイル」を受け継いだのは、谷内正太郎元事務次官、藤崎駐米大使という外務省幹部であることから、事態は急変している。外務省というウソを平気でつくことの出来る役所の体質は、私たちはイヤというぐらいに知っているが、改めて国民の前に明らかになった意味は大きい。

〔引用開始〕

日米密約:衆院委で参考人質疑「文書破棄の可能性」(毎日新聞

核持ち込みなど日米間の「密約」について、衆院外務委員会(鈴木宗男委員長)は19日午前、東郷和彦元外務省条約局長ら4人を参考人として呼び、質疑を行った。東郷氏は条約局長在任中に「密約」問題に関する重要文書58点を五つの赤い箱型ファイルにまとめ、99年に後任局長の谷内正太郎元事務次官に引き継いだと証言した。またその文書の一部が破棄された可能性があるとして、外務委員会に調査を要請した。

 参考人はこのほか森田一元運輸相、西山太吉元毎日新聞記者、斉藤邦彦元外務事務次官。「密約」の実態について、関係者が国会で証言するのは初めて。

 東郷氏は、重要文書をまとめて保管した理由について「当時は日米ガイドラインの周辺事態法案が最大の問題だった。国会答弁の内容と実態に大きな乖離(かいり)があり、いずれこのままでは済まなくなると考えた」と語った。

 99年当時に存在した重要文書が破棄された可能性については「(密約を調査した)有識者委員会の報告書では、赤ファイルのすべてが公表されたわけではなかった。二重丸を付けた最重要資料16点のうち、8点がない。外務省の内情をよく知る人から、(01年の)情報公開法施行前に関連文書が破棄されたとの話を聞いた」と述べた。

 また東郷氏は1960年の日米安保条約改定時の「核搭載艦船の寄港・通過」を事前協議の対象外とする密約について、米国が91年に米艦船への戦術核配備を廃止した政策を今後変更する可能性もあると指摘したうえで「非核二・五原則に立つことが最善」と述べ、「非核三原則」の「持ち込ませず」の見直しを検討すべきだとの認識を示した。

 一方、西山氏は、沖縄返還時に「有事の際の沖縄への核再持ち込み」を認めるとした佐藤栄作首相とニクソン米大統領による「合意議事録」を密約と認めなかった有識者委の判断について「誤認だ」と批判した。同時に、米公文書で判明した、物品・役務で負担する基地施設改善移転費6500万ドルを日本側が支払ったという「密約」について「78年から始まった『思いやり予算』につながる最大の密約だ。国会で調査してほしい」と要請した。

 自民党歴代政権は密約の存在を否定してきたが、今月9日に有識者委が公表した報告書で、▽日米安保条約改定時の核持ち込み▽朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動▽沖縄返還時の原状回復補償費肩代わり--の三つの密約を認めた。こうした検証を受け、衆院外務委は、国会での実態解明が必要として参考人招致を決めた。【中澤雄大】

〔引用終了〕

 西山太吉毎日新聞元記者は、政府が一貫して認めなかった「密約」をスクープしたが、外務省女性事務官からの「情報の入手経路」を問われて逆に攻撃を受けて、国家公務員法違反に問われ、東京地検に逮捕・起訴されている。一貫して政府は、「密約」の存在を事実無根としているが、今回のやりとりであからさまな虚偽を貫いてきたのが、歴代自民党政権であり外務官僚だったことがはっきりした。

 さらに、「密約を隠蔽していた」という問題に加えて、「廃棄」または「行方不明」にしてしまった事実関係も調査対象となった。

〔引用開始〕

『破棄』聞き取り調査へ 密約文書58リスト公表 (東京新聞)2010年3月20日

 岡田克也外相は十九日午後の記者会見で、東郷和彦元外務省条約局長が衆院外務委員会で核持ち込み密約関連文書が破棄された可能性を指摘したことに関し「証言が正しいとすれば、そのファイルがどうなったか外務省として確認する必要がある」と述べ、調査する意向を表明した。 

 岡田氏は調査方法について「事実関係についてよく話を聞く必要がある」と述べ、外務省元幹部を含む関係者から聞き取りを行う考えを示した。鳩山由紀夫首相は官邸で記者団に、東郷氏の証言について「事実関係は外務省で確認している。新政権では重要文書はしっかりと保管していく」と強調した。

 〔引用終了〕

 外務省は、国連広報センターをめぐる真相解明に向けた一連の追及で、「国連に対しての拠出金の使用明細は、5年の文書保存期間が過ぎた文書はすべて廃棄しているので、今となっては何に使っていたのか判らない」というふざけた答弁をしている。6年以上前の外務省の使った金は、記録ごと捨てているので一切把握出来ないという信じがたい答弁だ。だが、この答弁を信じがたいと書いたメディアはなく、国会はウソのつき放題の場だった。

〔引用開始〕

外務省の闇、「5年で会計書類はすべて廃棄 ?」

『保坂展人のどこどこ日記』2009年06月05日


およそ信じられないことが起きている。日本政府・外務省は、巨額の国連分担金や拠出金を支払っているが、その行く先について国会議員から質問されると「5年で会計書類はすべて廃棄しているので当方としては確認のしようがないわけでございます」というアホな答弁を繰り返している。今から7年前に日本政府が国連PKO活動に支払った総額は判明しても、その個別の使途については全然判らないというのだが、読者の皆さんは信じられますか。

この問題の追及は、ソマリア沖の海賊問題を契機として、90年代にソマリア問題の解決のために日本政府が過去にいくら使ったのかという点について外務委員会を中心に質問したことから始まった。私が独自調査をする以前は、「人道復興支援関係2700万ドル」の他には、「ソマリア信託基金1億円」がすべてであるという答弁だった。今日もこの点を外務委員会で質した。

 ところが、決算書に記載してあった「27億円ソマリアPKO等分担金」を契機にして、1993年(平成5年)だけで、予備費175億円、補正予算170億円、流用額30億円(27億円+別途3億円)で、総計すると375億円の「ソマリアPKO等分担金」が支出されていたことがわかった。これだけ巨額の支出をしているのに、何度聞いても、質問予告をしても、外務省は調べなかったか、知っていて知らぬふりをし続けてきた。私の調査は、秘密書類を覗いて集計したのでも何でもない。ただ、国会で予算書を取り寄せ、決算書を眺めつつ、鉛筆をなめなめ集計したものだ。

常識的に、外務省が過去の決算書を見て、「国連PKO等分担金に375億円使いました」という答弁が出来ないということが信じられない。本当に会計書類をすべて捨てていて「わかりませーん」と言うのなら度し難い話だ。中曽根外務大臣も、外務官僚に操られて「文書管理規則にのっとって他の省庁同様にやっています」と答弁しているが、5年経過したら財務省がまとめた決算書を全てポーイと捨ててしまう役所がどこにあるだろうか。

つくづく、自民党を中心とした長期政権のガバナンスが甘くなっているなと感じる。しかも、これから日本は、ソマリア支援に向けて、また36億円出すことになっているのだ。つい先日に成立した今年度補正予算に計上されていた。12~3年前に多額の税金をソマリアの安定と統治機構の回復のために支出しているのなら、いくら何に使ったのか判らなければ、外交の基礎である「継続性」がはかれないではないか。おそらく、最初に嘘をついたので、最後まで嘘をつき続けなければならなくなったという類のことなのか。それとも、本当に「5年以上前の記憶はすべて消去」という愚かなことをやってきたのかのどちらかだが、話を聞いているだけでムカムカする。

〔引用終了〕

「密約」も「ウソ」も過去の話ではない。現在もまた、新たな隠蔽、ウソを繰り返していく体質が外務省にはある。国連広報センター問題も、その闇を照らしだした。外務省を揺るがす事態の中で、ひっそりとひとつの損害賠償請求訴訟が「和解」している。

〔引用開始〕

文芸春秋手記めぐる賠償訴訟が和解

朝日新聞2010年3月20日1時32分
 
月刊誌「文芸春秋」が掲載した記事で名誉を傷つけられたとして、国連広報センター(東京都渋谷区)の野村彰男元所長(現・朝日新聞ジャーナリスト学校長)が同誌側に1100万円の損害賠償などを求めた訴訟は19日、東京地裁で和解が成立した。

 問題の記事は同センターの後任所長だったジャーナリスト幸田シャーミン氏の「告発手記 国連で私が受けたハラスメント」(2008年7月号)。和解条項で同誌側は、反論の掲載申し入れへの対応が誠意を欠いたと受け止められるものだったことに遺憾の意を表し、野村氏が請求を放棄した。

〔引用終了〕
 
 真実はいつか明らかになる。これからの展開に注目してほしい。



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