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先の衆議院本会議での記録が出来上がった。文責・保坂事務所作成で、質問の方は先日アップしていますが、福田総理、冬柴大臣の答弁とセットで全文を掲載することとする。ミュージカルに、「道の日イベント」の道フェア、「道路資料館」「道の相談室」などのコストを問う質問に、冬柴大臣が次々と答弁した。((正式な会議録は、後日、衆議院ホームページに掲載される予定)

平成20 年02 月21 日 衆議院本会議

○議長(河野洋平君) 保坂展人君。
〔保坂展人君登壇〕

○保坂展人 私は、社会民主党・市民連合を代表し、道路整備費の財源等の特例に関する法律の一部改正案について、福田総理並びに冬柴国交大臣に質問をいたします。(拍手)

「みちぶしん」「カントリーチャレンジャー」という国土交通省が仕込んだミュージカルが全国各地で公演をされていました。この財源は道路特定財源、道路整備特別会計であり、目的は道路事業に関する啓発広報でありまして、平成16年に道路局国道・防災課の寺元博昭企画専門官は、「情報が溢れる現代社会においては、楽しみの中に正論を忍ばせる工夫もまた重要なこと」「音と光とで繰り広げられるドラマは全国各地で新たな対話と感動を生み出して好評を得ています。多くの「道のファン」が誕生しています」とねらいをあけすけに述べています。

福田総理、国が公共事業を推進するに当たって、道路特定財源を使って国民の情感に訴えるミュージカルなどの道路事業広報は必要不可欠だったんでしょうか。これはこれからどうするんでしょうか。総理の明確な答弁を求めます。

○内閣総理大臣(福田康夫君) 保坂議員にお答えいたします。
道路事業広報のあり方について、まずお尋ねがございました。道路に限らず、公共事業は国民の皆さんの理解と協力が不可欠であり、そのために実施する広報活動のすべてが不適切なものとは考えておりません。

しかしながら、厳しい経済情勢のもと、いささかも疑念と不快の念を持たれることがなく、また、無駄との指摘を受けることのないよう、見直すべきものについては見直すことが必要と考えております。

○保坂展人 さて、冬柴大臣、先の答弁で、このミュージカルは平成15年からの3年間で85回、総計5億2,000万円がかかったということですが、間違いございませんか。また、平成18年も含めた4年間で計何回、道路整備費を使ったんでしょうか。

また、不思議なことに、私がこの問題を質問してから、国土交通省地方整備局等のホームページから次々と関連記事が消えているんです。税金を投入して行政が責任を持って展開した事業なら、堂々とデータを示して議論に応じるべきではないでしょうか。

○冬柴鐵三国土交通大臣 保坂議員からお尋ねいただきました、ミュージカルの上演実績等についてのお尋ねでございます。

道路事業を円滑に進めることなどを目的とした普及啓発活動の一環として実施したミュージカルへの道路事業費の支出ですが、平成15年度から17年度の3年間で85件、計5億2,000万円、平成18年度を含む4年間で合計95件、計5億7,000万円を支出を行っていました。

道路事業への理解と協力を促すための取り組みに対して道路事業費を支出することは、御指摘のミュージカルについては一切行わないということを決めました。

○保坂展人 8月10日は道の日でございます。全国各地で「みちフェスタ」「道路フェア」などのイベントが、一カ所500万円から800万円で広告代理店などと随契で行われております。「道路をまもる!ラジコン体験ゲーム」、人力車体験、セグウェイ試乗会など、道路にちなんだもののほかに、コンサートやワンワン大サーカス、いろいろなことをやっています。一体、去年、全国何カ所でこれらの道路イベントが行われたのか、その意義とコスト、財源を答弁していただきたい。

○冬柴大臣 道に関するイベントの意義とコスト、財源についてのお尋ねがございました。

国土交通省では、道路の意義、重要性について改めて国民の皆様に関心を持っていただくために道の日を設け、道路の美化や清掃活動、写真や作文のコンテストなどの実施とともに、いわゆる「みちフェスタ」などを開催し、児童を含む幅広い、親しみやすい形で道路についての関心を深めていただいてきたところでございます。
これらのいわゆる「みちフェスタ」などの催しにつきましては、平成19年度は国土交通省の出先機関において29カ所で実施し、これらの経費として道路特別会計から約1億円を充てております。

○保坂展人 また、道の相談室なるものが道路行政の出張窓口として全国に置かれて、天下り法人が運営しているようです。全国に一体何カ所あって、年間幾らかかっているのか、明らかにしていただきたいと思います。

○冬柴大臣 道路資料館についてのお尋ねがございました。
道路行政全般のPRを行う、資料館という名称の施設は全国に4カ所あり、一施設当たりの建設費として約3,500万円、また、平成19年度には1施設当たり年間運営費として1,400万円を道路整備特別会計より支出いたしております。

○保坂展人 さらには、道路資料館という箱物も存在しているようです。全国で何カ所存在し、建設費、維持管理費にどれだけのコストを払っているのか、その意義と財源は何なのか。

○冬柴大臣 道の相談室についてお尋ねがありました。
道の相談室は、国民から電話やインターネット、ファクスなど、さまざまな形で幅広く道に関する相談を受け付け、いただいた意見や苦情に速やかに対応するための窓口として平成10年度より設置しており、平成18年度には年間約6万件の相談を受け付けています。

こうした相談に対処するため、現在、全国の地方整備局に電話等の受付窓口を36カ所設けております。また、この道の相談室の業務を補佐するために、単独で発注をしている4カ所について、平成18年度実績で8,730万円を支払っています。その他の窓口については、道路管理等の業務の中で対応しているため、道の相談室の業務のみの契約金額を明らかにすることは困難でございます。

○保坂展人 これらの事例は、道路整備費の名で支出されている氷山の一角にすぎません。道路行政の一般的な宣伝、啓蒙、こんなものは必要なのか、これらの融通無碍な事業支出の見直しは必要ないのか、冬柴大臣、答えていただきたいと思います。

○冬柴大臣 最後に、道路行政における普及啓発活動のあり方についてのお尋ねがありました。

道路行政の推進に当たって、国民の皆様の理解と協力が不可欠であります。今後は、こうした普及啓発活動については、国民の目線に立って見たとき、国民の皆様にいささかの疑念や不快感を持たれることのないようにすることが重要であります。その活動内容や支出額について、ホームページ等を活用して適切な情報開示に努めるとともに、新たに立ち上げる私をトップとする改革の組織において、総点検と改革の方針の検討を行ってまいります(拍手)。

○保坂展人法案について伺います。

法案では、税収が道路整備費を上回る場合には、毎年度予算において全額を充てなくてもいい、こうなっていますが、これでは、余らない場合は一般財源には移っていきません。そればかりか、改正法の三条四項では、道路財源が足りなくなった場合まで想定しています。本当に一般財源となる税収が見込めるんでしょうか。

○福田総理 道路特定財源について、一般財源となる税収が見込めるのか、お尋ねがございました。

道路特定財源については、税収の全額を道路整備に充てることを義務づけている仕組みを改め、真に必要な道路整備を上回る税収については一般財源として活用することとしております。今後とも、歳出改革の徹底等を図ることにより、納税者の理解を得つつ、可能な限りの一般財源の確保に努めてまいります。

○保坂展人 しかも、余って一般財源化したのに相当する額は、翌年度以降、道路整備費にさらに充当可能なものとして措置をするということになっています。

2017年度末に余った部分も、2018年度以降の各年度の道路整備費に回すということが規定されていて、これでは結局、10年間で一般財源にした部分はすべて道路に取り戻すということになってしまう中身です。これを一般財源化の偽装と言わずして何と言うんでしょうか。道路利権を守るためなら何でもあり、道路局特定財源堅持の執念を見る思いです。総理の明解な答弁を求めます。

○福田総理 道路特定財源について、一般財源化した額が後に道路整備に充てられるのではないかとのお尋ねがございました。

御指摘の規定によりまして、納税者にとっては、いずれ税収相当額の道路整備が進められる一方、真に必要な道路以外はつくらない、すなわち、10年間も、そしてまた11年目以降も、税収の額によって毎年の道路整備量が決まるという制約は一切ないという内容が実現されることとなり、これまでの道路特定財源制度を抜本的に改め、一般財源としての活用を可能とするものであります。

○保坂展人 小泉改革では、日本高速道路保有・債務返済機構は、新会社から道路貸付料を受け取り、45年間で債務を完済し解散、その後は高速道路は無料開放することになっていました。しかし、今回、料金の値下げとスマートインターチェンジ等の整備を理由に、保有・債務返済機構の債務を国が承継するということになっています。これは、この間の道路公団改革の破綻を意味するものではないですか。総理の明解な答弁を求めます。

○福田総理 次に、料金引き下げのための国の債務承継についてお尋ねがございました。

道路ストックを活用し、道路利用者にとってより使いやすい道路にするとの視点も重視した施策展開を進めております。今回の措置も、地域の活性化等のため、既存のネットワークを活用して料金引き下げ等を行う場合に限定して国の道路特定財源を活用する枠組みをつくるものでございまして、民営化会社の経営支援を目的とするものではなく、公団改革の趣旨に反するものではありません。

○保坂展人 この間、予算審議の過程で、道路のつくられ方、交通量の需要予測などについて議論が交わされています。日本全国でつくられている高速道路が、いずれは四車線に拡幅していくという暫定二車線方式で何と全国の高速道路工事の8割が行われているという実態も明らかになりました。道路をつくるかやめるかの二元論ではなくて、建設コストの再評価、これは真っ先にやらなければいけないでしょう。

低価格でつくれるというスマートインターチェンジ、この前宣伝は、実際には120億から150億もかかる本線流入型工事が次々と企画されて、しかも、59兆円の枠外につくった5千億円の道路整備費から捻出する実態もはっきりと見えています。

福田総理は、道路事業コストを再評価するつもりはないのか、未来永劫この日本型道路建設システムを見直す必要はないのか、再評価の勇気はないのか、総理の明快な答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)

○福田総理 次に、道路事業のコストの再評価等についてお尋ねがございました。
道路事業の建設コストについては、絶えず見直しを行うことが求められており、今般実施した高規格幹線道路の点検においても、完成二車線相当への構造の見直しや、一部既存道路の活用などの規格、構造の見直しが行われております。今後、さらに、道路事業を初めとする公共事業の実施に当たっては、徹底したコスト縮減等に努めることが必要と考えております。残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)



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