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10年ぶりに韓国・ソウルを訪問してきた。10年ぶりで見るソウルは、急激な変貌を見せていた。高層ビルが林立し、平日でも街はにぎわっていて、活気があるように感じた。最近の東京では、大渋滞が減ったという印象があるが、ソウルは車とオードバイ、人があふれていた。短い滞在だったが、大都市ソウルが直面する難題と可能性の双方を感じて帰途についた。

 今回は特段の目的もなく、当初は骨休みを十分にしようと考えていた。ただ、今年の2月に世田谷区の「深沢環境共生住宅」を朴元淳ソウル市長が訪問した際、案内をしながらお話したことを思い出して、ソウル市役所に連絡をしておいたところ、滞在中にソウル市役所で昼食会を催してくれる他、街づくりに取り組む市職員200名に街づくりの講演もしてほしいという提案もあり、結果として実のある訪問となった。ソウル市をはじめ、多くの人々の協力に心から感謝したい。

 ソウル市役所を昼休みに訪問すると、市役所前の広場で、なんとエレキギターが鳴り響き、大きな音でロックバンドの演奏が始まった。今日は、「職員バンド」の野外ライブの日なのだという。ギャラリーも職場の同僚が多いようだ。朴市長とは二度目の意見交換となったが、世田谷区の「環境共生住宅」を見たのも大きな刺激になったとのこと。長年にわたって韓国から、世田谷区の「街づくり」の現場に何度も訪問・調査・研究がされている。

 ソウルでは、大規模開発が進んで、街の表情も一変した。朴市長は、効率優先で限られた面積に高層アパートが次々と建設される開発のあり方にブレーキをかけている。一方で「公共住宅8万戸建設」という政策を掲げているから、街づくりに関する取り組みも容易ではない。東京都23区とソウル市は25区で面積もほぼ同一に近い。それでいて、東京都の人口に近いのだから、人口密度はソウル市の方が高いといえるだろう。

 これからの「街づくり」に関して、ソウル市の取り組みと、世田谷区の経験を活発に交流し、相互に啓発しあうような関係を構築しようという話になった。 またエネルギー問題にも関心が深く、「原発は将来の持続可能なエネルギーかどうか。再生可能エネルギーを増やし電力消費を抑制することをすることで「原発一基分の電力を不要にする」等の発言もしている。4月28日に開催された脱原発首長会議にもビデオメッセージを届けている。私からは、世田谷区のエネルギー転換が「地産地消型」と「地方連携(被災地支援)型」をめざしていることを説明、太陽光パネルの大量一括購入のコストダウンと一挙的普及などについてお話した。

 これからのソウル市の「街づくり」と世田谷区の過去の経験に根ざした交流は、高齢化社会を迎えている中で「空き家・空き部屋」を使った「地域の公共サービス」の展開にむけての取り組みも加えて、大いに実になるものになった。市長との話に先かげて、こうした相互交流の接点になるような現場をいくつか見て歩いた。

 5月1日の朝から、ソウルの「街づくり見学調査」を行った。急なプランであったが、現地で、「街づくり問題」を研究する若手の研究者が充実した調査コースをセットしてくれた。まず、最初に見たのは「鉄鋼の街」として韓国経済を支えてきた町工場の建ち並ぶムンレ芸術村。ここでは、工場や倉庫は一階部分だが、2~4階の部屋を活用して、写真家やデザイナー、彫刻家、木工芸等100人を超えるアーティストが入り、創作活動に励んいる。

 すでに使われなくなった「倉庫」を活用して、芸術村にするという例はあるが、現に使われている鉄鋼関係の仕事の場と芸術村が共存しているというケースは珍しい。アーティスト側も、地域住民や工場主たちとの積極的な交流を進めて、パーティーを開いたり、地域住民が参加する写真展を企画する等、新たな関係をつくるように努力している。

 次に、復元された城壁に近い城北区ザンス村に向かった。ハンソン大学の近くにある街づくりの拠点を訪ねた。周辺の地域は、高層マンションが建ち並ぶ開発が行われていて、この地域も開発対象となっていたが、数年前に計画は止まった。起伏の多い土地で、急坂と狭い道が入り組んだ古い家が続いている。

 ここでは社会的企業を立ち上げて、老朽化した家屋を補修し、改修して
新たな住民を招き入れるプロジェクトを手がけている。特に、興味深かったのは、空き家を大規模改修して住民のコミュニティカフェを始めようとしている場だった。城壁にぴたりとくっついた狭い家屋が、見事にバルコニー付きのステキなカフェに生まれ変わっていた。村の大工さんが声をかけて、内装工事もそれぞれ腕に覚えがある人たちに声をかけて住民参加で行われた。

 最後に訪れたのが、観光地としても有名な北村(ブッチョン)の文化センターだった。韓屋(ハノク)と呼ばれる韓国古来の伝統的な建物が、保存されている。北村文化センターをはじめ、何軒かの韓屋を訪問することが出来た。伝統的な街並み保存と観光を結びつけた取り組みを聞いた。

(報告の続きは、また後ほど)

 

 

 


 



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