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 11月14日に定例記者会見を行った。いじめや暴力などの被害に苦しむ子どもたちの相談窓口として「子どもの人権擁護委員」を盛り込んだ条例案を準備している点と、「都立梅ヶ丘病院跡地を区の保健医療福祉拠点にしたい」というふたつの内容が中心になりました。

[引用開始]

皆さんこんにちは。今年度11回目の会見となります。

11月6日の夜、かねてから世田谷区制80周年記念行事として取り組んでいた、世田谷区の子どもたちと南三陸町の子どもたちがペアになって、国際宇宙ステーションに滞在中の世田谷区出身の星出彰彦宇宙飛行士との交信を試みようという、読売新聞社主催の「宇宙の星出飛行士と話そう 夢ミッションby南三陸・世田谷キッズ」というイベントが行われました。

当日は、衛星の運行の関係で、実際に通信がつながるのが夜10時という結構遅い時間になったのですが、メイン会場の慶応大学日吉キャンパスで約100人が参加し、南三陸町と世田谷区の子どもたちが画面を通して宇宙の星出さんとやりとりしました。世田谷区の烏山区民会館と、南三陸町のスポーツ交流村文化ホールがサテライト会場となり、烏山では250人が参加しました。先日行われた世田谷246ハーフマラソンに南三陸町の佐藤町長が来てくれましたが、南三陸町でも大変熱気があったとおっしゃっていました。

烏山の会場で私も見ていて、交信自体の時間はそう長い時間ではなかったのですが、子どもたちが最後までその瞬間を待っていました。南三陸の子どもと世田谷の子どもの10組のペアでいろいろ事前準備したということで、ペアを組んだふたりが結構仲良くなったと聞いています。子どもたちからは、「星出さんは地球外生命を信じますか?」、「花火を宇宙から見たらどんなふうになるでしょうか?」、「月の満ち欠けはどう見えていますか?」など、なかなかユニークな質問が飛び出しました。

この様子は、教育委員会の「才能の芽を育てる体験学習『未来のジャーナリスト講座』」と連動して、せたがや中学生新聞に掲載されることになっています。

 2点目ですが、11月6日の火曜日、北沢タウンホールの集会室で「空き家・空室活用フォーラム」という催しを行いました。これは国土交通省住宅局や東京都都市整備局にも後援をいただいて、世田谷区主催で開いたものですが、記者会見や区議会でも申し上げている通り、世田谷区内には推計3万5000戸の空き家があるといわれています。このうち一戸建てが6000と少し、残りが空き室です。このようなスペースを地域資源として、新たな公共的、公益的な活動、女性や若者の起業などに活用できないだろうかということをこの1年考えてきて、当日、ゲストとして尾道から「NPO尾道空き家再生プロジェクト」代表理事の豊田雅子さん、この方は元旅行会社の添乗員をされていたということで、かなり積極的に尾道の急な坂にある、住んでいたまま抜け殻になってしまったような古い空き家を改装して、既に50組の新しい入居者に使ってもらっているということで、世田谷とはだいぶ住宅事情も状況も違うのですが、お話をしていただきました。

また、今期、世田谷区の住宅委員会では、空き家についてどのような活用の道がありえるのかということに取り組んでいただいていますが、この住宅委員会の委員長の小林秀樹さんに司会進行をしていただきました。いろいろな議論が出ました。また、世田谷区内の活用例も思っていた以上に多く、せたがやトラストまちづくりの「地域共生のいえ」や、社会福祉協議会の「ふれあいの家」など、福祉目的あるいは地域交流目的、子育て支援目的で、一戸建ての空き家に限定しても、10ヵ所以上で既に活動が展開されています。住民が自発的に地域の公共的なサービスを担う「地域運営型公共サービス」の一つの芽として、これから引き出していきたいと思います。

また、世田谷区内の社会福祉協議会には700を超えるサークルがあって、これは東京都内の社会福祉協議会の中でも飛びぬけて数が多く、この中には、将棋・囲碁のサークル、短歌をよんだりお料理をしたりと、本当に多種多様なグループがあります。社会福祉協議会の「ふれあいの家」という、一軒家を活用した場は、まさに地域の社交場となっていて、特に高齢者の方に喜んで使っていただいているということです。現在、これはボランティアベースで、そこで収益を得ている方はいないのですが、そういったものを組み合わせていきながら、ソーシャルビジネスや地域福祉サポート事業のようなことを、特に介護予防などの分野で展開できるといいと私としては感じました。

また、この間、自分がお住まいの土地家屋をすべて区に寄付して、福祉目的であるいは公共的な活用をしてほしいという方が何人かいらっしゃいます。今ご紹介した、既に使われている場所のほとんどが、そういった寄付で区が取得、あるいはいただいているものです。そういう意味でも、そういったスペースをさらに地域の福祉力向上のために使っていくことを目指したいと思います。

今回のフォーラムで議論された中で、世田谷区で特徴的なこととして、空き家というと一軒家にばかり着目するのですが、例えば、大きなお宅におばあちゃんが一人で住んでいて、大変広いスペースが残っているので、そこを活用したいというケースが報告されました。これは空き室活用ということで、このフォーラムでは、おばあちゃんが2階に一人で住んでいて、1階部分を子育て支援ということで、ママさんたちが子どもを連れていろいろと交流できるような場にできないかというプロジェクトが進んでいるということが報告されました。

地域の中で一人暮らしの方が大変増えていて、見守りという活動も積極的に続けていますが、大変数が多いということがあります。そういう意味で、地域の空き家や空き室で一緒にごはんを食べたり、親睦を深めたりする地域コミュニティスペースということで立ち上げて、家族と離れて一人でお住まいの方にも「地域家族」というようなつながりがでてくるととてもいいのではないかと思っています。住宅委員長の千葉大学の小林先生が最後に、「あまり論じてばかりいないで、実際にやりながらモデル事業として展開してはどうか。」とまとめました。これについては、さらに取組みの可能性を具体的に探っていきたいと思っています。

 次に都市農地関係です。

世田谷区は23区の中で練馬区に次いで農地が多いといいながら、相続の関係などで、残念ながら年々、農地は減少していく構造にあります。このまま時間だけが推移すると、世田谷区の都市農業、農地はこのままどんどん縮んでしまうという危機感から、地域間連携で、昨年から杉並区と世田谷区で事業を始めました。そして、もう一つ、目黒区と世田谷区という形でも結んで、境界を接している2つの区と2つの取組みを考えています。

一つは、「地産地消を語ろう!都市農業トークライブ」で、これは初めての開催となりますが、世田谷目黒農協の会長と青木目黒区長と私と、目黒区学校給食研究会の方にも入っていただいて都市農業を語ろうということと、地場産農産物の即売市を11月25日の日曜日の午前中に開催します。

もう一つは、12月9日の「都市農地を守ろう!わくわく収穫祭」で、これは北烏山の鈴木農園、杉並区の高橋農園、世田谷区立烏山公園で行います。こういった催しとしては3回目になりますが、今度は体験型でやってみようということで、両区の農産物を使った豚汁や農園スタンプラリーなどをやろうと考えています。7月に、杉並区浜田山にある柏の宮公園でアグリフェスタという催しをしましたが、今回は、両区の区民に体験をしていただくということを考えています。

11月のこの時期は、露地栽培を中心とした世田谷農業の農産物のまさに収穫の秋で、農業への関心を深めてもらうためのふれあい農園も多く開園しています。また、世田谷の地場野菜として有名な大蔵大根の美味しいレシピを掲載したパンフレットも作って、都市農業の大切さをアピールしていきたいと考えています。

 次に、明日発行の区のおしらせ「世田谷区基本構想特集号」についてです。

これには、世田谷区基本構想の議論が進んでいますという内容を記載しています。6月末に無作為抽出型で区民が88人集まって行ったワークショップの模様の写真を載せています。基本構想審議会が、審議会本体だけで議論するのではなく、3つの分科会に分かれて、計16回いろいろと議論を重ねてきた中で、それぞれどんな議論が行われたのか、特集号では項目だけ列挙しているようになりますが、かなり幅広い議論が行われていて、現在、起草委員会が作られて、議論の内容を文章にとりまとめていく作業を行っています。この特集号には郵便ハガキがついていて、区民アンケートということで、3つの分科会で語られた内容から抽出して、区民の関心がどこにあるのかを探ろうということになっています。

 次に、発表項目に移ります。

まず、「都立梅ヶ丘病院跡地の取得について」です。

世田谷区にとっては大変大きな決断になります。平成13年より都立病院改革で、都立梅ヶ丘病院が移転、閉院することになり、現在解体作業がほぼ終わった状態になっています。平成20年以降、世田谷区としては、この跡地を保健医療福祉サービスの拠点にできないかという検討を進めてきました。また、平成23年3月に「梅ヶ丘病院跡地利用基本構想」をつくって、跡地の活用を想定した利用検討の議論を深めてきました。そして、平成23年度からはその実現に向けて「梅ヶ丘病院跡地利用基本構想・調整プラン」をつくり、議論を詰めてきたところです。そこで準備の議論をだいぶ長いことしてきましたが、11月6日、東京都から都立梅ヶ丘病院跡地を取得して、全区的な保健医療福祉サービスの拠点として整備するということを区として決定しました。そして、昨日、11月13日付で、都に対して跡地の売却手続きを進めてもらえるよう依頼したところです。

これにはいくらか時間がかかると聞いていますが、そういう意味では、この梅ヶ丘を保健医療福祉の大きな拠点へという計画は、一歩進んだということになります。

当初は、都立梅ヶ丘病院の跡地全体を取得する予定でしたが、北側のほうは隣の光明特別支援学校がさらなる学校統合などの関係で敷地を広げたいということで、世田谷区としては、当初予定していた全体ではなく、その敷地を除いた1万6500平米を買収する方針です。今後、具体的な土地売買の協議に入り、土地開発公社による先行取得も想定しながら手続きを進めています。

これについては、区が跡地を取得して基盤整備を行った上で、その約半分に、区が健康を守り創造する機能と福祉人材の育成を担う公共施設(保健センター、福祉人材育成・研修センターなどの移転や機能拡充)を入れる予定です。また、残りの約半分の敷地には、高齢者と障害者の在宅生活をバックアップするための民間事業者、これは社会福祉法人と想定していますが、ここに定期借地の方向で貸し付け、民設民営で施設(介護老人保健施設、障害者入所支援機能(通過型))を整備していく計画です。これだけ大きな敷地なので、平成31年度の拠点施設の開設をめざして事業を進めていく予定です。来年度は、この事業の実施方針として、跡地の開発、施設機能、事業者募集に関して具体的な計画を策定していくことになります。

 2つ目は、「子どもの人権擁護の新たな仕組みについて」です。

この夏、大津市で起きたいじめ自殺をめぐる事態のほか、品川区でもいじめの問題が大変深刻なかたちで起きています。世田谷区でも、新学期明けのチャイルドラインいじめ専用電話を中心に、各電話相談などを重点的に受ける取組みをしましたが、まだまだ根が深いだろうという実感を持っています。子どもの虐待、いじめや暴力など、子どもにかかわる問題は一層複雑化し、深刻化しているということはだれもが実感していることだと思います。こういった中で、子どもの声を聞き、問題の解決を図るための新たな仕組みの充実が必要になっていると考えています。

世田谷区では、子どもの人権の尊重と確保の取組みを一層推進するために、公正で中立、独立性、専門性のある第三者機関として、子どもの人権擁護機関の新たな設置を目指しています。区ではこれまで、区立小中学校の児童生徒へのアンケート調査や区民意見募集などを実施してきました。また、外部の有識者や関係機関を含めたアドバイザー会議などで検討を進めてきました。

そこで、新たな仕組みとして、子どもの人権を擁護し、権利を侵害された子どもを速やかに救済することによって、子どもの最善の利益の保障、これは児童の権利条約の冒頭にある言葉ですが、子どもの最善の利益の保障ということを基盤にしながら、子どもの人権擁護委員を設置したいと考えています。この子どもの人権擁護委員は世田谷区子ども条例を改正して、区の附属機関として設置することにします。この委員は子どもの人権について見識のある学識経験者、法律家などの中から3名以内、また、擁護委員を補佐し、相談・調査対応などを行う相談・調査専門員を4名程度ということで配置を考えています。

擁護委員の職務内容としては、(1)子どもの権利侵害に関する相談に応じて必要な助言および支援をするという機能(2)子どもの権利侵害に対して救済の申し立て又は自己の発意に基づき、調査、調整をすること。また、必要に応じて是正等の措置の要請、制度改善のための意見を表明すること(3)要請、意見などの内容を公表すること、(4)救済の対応が終了した子どもについて、見守りなどの支援を継続していくこと(5)活動状況を報告し、その内容を公表すること(6)子どもの人権擁護に関する普及啓発活動をすること、としています。子ども条例を改正して、子どもが生命、身体の安全にかかわるようないじめや暴力などに直面した時、子ども本意で、子どもの最善の利益に立って対処していくという役割を期待したいと思います。

今日の発表はここまでです。

次回の記者会見は、12月7日(金曜日)を予定しています。

[引用終了]



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