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 思えば参議院選挙で示された「民意」は与野党逆転だった。自民党やメディアは、「ねじれ国会」と呼んで、自・公両党の審査を経て内閣が提案する法案が、参議院でスムーズに通らないことが不正常であるかの如く嘆いてみせた。しかし、不正常だったのは参議院選挙までの安倍政権で、10数回連続で「強行採決」の力技で世論と野党を踏みつぶしてきたことだったのだ。

 だから安倍晋三氏は、いったんは「続投」を宣言しながら試合放棄して挫折したし、低姿勢でスタートした福田康夫氏は「大連立」に失敗した後、ひたすら耐え続けて最後に総選挙対策で辞任を選んだ。「とてつもない明るさ」を売りに登場した麻生太郎氏は、大いなる勘違いをしていたのではないか。

 民主党は「解散・誘い出し作戦」で第1次補正予算案もスイスイと国会を通過し、テロ特別措置法や金融機能強化法も即時採決に応じるという奇策を打ち出した(私たちは、こうしたやり方は解散に追い込めるものではない。徹底審議で麻生内閣を追いつめるべきと考えてきた)。その結果、麻生太郎氏は「なんだ、俺がやればうまくいくじゃないか」と勘違いしたに違いない。「それなら民主党の求めるシナリオに乗って、わざわざ解散せんでもいいんじゃないか」と欲を出した。10月30日の記者会見で「第2次補正予算」の大枠を発表し、「政局より政策だ」と解散・総選挙の先延ばしを宣言してみせた。

 そして、民主党小沢代表の方から申し入れられた党首会談ですべてが覆った。11月30日に国会を閉会する予定は吹き飛び、かと言って第2次補正予算案を提出する用意もない。国会を開いているが、予算も提出しないという「立ち枯れ状態」に陥り、「100年に一度の経済危機」と言いながら、「早めの年末年始休暇に入る内閣」を誰が許すだろうか。次に発表される内閣支持率は各社とも20%台になり、また不支持率も70%に近づくと麻生政権は、もう退陣の準備を入ることになる。

 会期末にむけて、衆議院で内閣不信任案を提出し、可決・成立をめざすのが、憲政の常道ではないか。「麻生政権では戦えない」という自民党内部の嘆きも、「だからと言って、4回目の総裁選挙も出来ないだろ」という迷いも、すべて吹き飛ばすのが、やはり解散・総選挙の実施である。いつまでも政治が立ち止まっているわけにいかないという正論が、時間差はあるが実現する過程にいよいよ突入しつつある。


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