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 下北沢の街づくりをめぐる問題で、小田急線の東北沢-世田谷代田間が地下にもぐる工事が進展しているのに対して、その地上部分の利用についての議論をテーマとしたシンポジジウムが昨日開かれた。午後1時30分から3時間にわたって私も参加し、問題提起者の意見に耳を傾けた。主催はグリーンライン下北沢で、地域の商店街や子どもに関わるおやじネット、プレーパークからも参加があり、話題は広がった。

 ひとつの参考になるのが、ジャーナリストの高橋ユリカさんが取材してきたニューヨークのハイラインだ。廃止され貨物線の鉄路を撤去する計画を持ち上がった時にこの鉄道跡を再利用しようという計画が持ち上がり、全世界から企画提案を集めて出来上がったのが、このハイラインだという。会の冒頭、このハイラインの説明から始まった。写真はまずは見てほしい。

ニューヨーク「ハイライン」レポート

 下北沢を中心に生まれる鉄道跡地は2・2キロメートル。このハイラインより少し長い。シンポジウムでは世界の都市の変容を見ている太田浩史(建築家・東京大学生産技術研究所講師)は、ヨーロッパやアメリカの都市で「車の進入を規制した人間優先の街づくり」がトレンドとなっている事例を紹介し、ブロードウェイでも最近車を締め出したと報告。「シビック・プライド」とも言うべき都市間競争が起きていることを報告した。また、吉見俊哉東京大学情報学環教授も、この2・2キロメートルの線(ライン)を見つめていくと、日本列島と重なるという素晴らしい「発見」を披瀝。グリーンライン計画は「知と文化と食の回廊」として大きなインパクトを与えるだろうと夢を語ってくれた。

 ふたつの地元商店街からは、再開発をめぐる長い間の経過が語られた。地震や火災など緊急時の車両が入ることの出来ないの問題や交通の利便性への要望もある。また、駐輪場が不足していて駅前への放置が慢性化している等の問題も語られた。私の方からは、すでに議会でも明らかにしていることを繰り返した。

〔11月28日 世田谷区議会本会議〕

私の今後の街づくりと再開発事業に対します基本認識を申し上げます。以下の3点を基本姿勢といたします。

 

1点は、人間優先のまちづくりを心がけること

2点は、再開発を進めるプロセスでの住民参加を保証すること

3点は、3.11をふまえた災害対策の強化をはかること

(中略)


下北沢についてです。

演劇、映画、音楽など若いアーティストが育まれてきた街の魅力をそこねずに、人間優先で包容力のある街づくりをしたいとこれまでも申し上げてきました。また、3.11東日本大震災をへて災害に対する備えもさらに強化する必要があります。

 

 私は小田急電鉄に案内をお願いして、小田急線が地下化する世田谷代田-東北沢間の工事現場を歩いてみました。環状7号線直下では、ちょうどトンネルが貫通する直前でした。運行中の鉄道の下に複々線トンネルをつくるという難工事の現場に立ち、あらためて、日本の精緻な土木技術の水準の高さを感じました。

 

 地上部分は鉄道跡地となります。ここに、思い切り緑豊かな空間を創出し、また防災倉庫等をそなえ、災害時に緊急車両や人々が移動出来るような連続するスペース、さらには地域の魅力創造空間として活用することを強く打ち出したプランを練っているところです。周辺地域の住民の皆さん、町会、商店街の声や、下北沢の街づくりに関心の高い人々の声を受けて、「人間優先」「住民参加」「災害対策」の三本柱でよりよい案に早々にまとめるつもりです。

 

工事全体の進捗との関係で、地元からの要望の強い環状7号線をまたぐ歩行者用橋の設置を行ないます。2.2キロメートルの鉄道跡地が緑と賑わいの空間になるように関係者の理解を求めていくつもりです。

 

〔引用終了〕

 

この部分を紹介して、とくに「3・11」以後の防災意識の高まりの中で、鉄道跡地が日常的にはゆっくり歩ける緑とにぎわいの回廊として都市の価値を高め、緊急時には災害によっては車両や人々の移動を確保する連続したスペースとして整備したいという方向で区としての案をつくりつつあることを話し、さらによい案にするために地元をはじめ多くの皆さんからの知恵と提案を待ちたいと考えていると話した。

 

〔引用開始〕

 

災害時対応 緑の回廊に

 

 線路の地下化工事が進む小田急線・下北沢駅周辺について、線路跡地の利用方法を考えるパネル討論が四日、世田谷区の代沢小学校体育館で開かれた。保坂展人区長や地元商店街代表、都市づくりの専門家らが意見を交わし、約百二十人の区民らが参加した。

 討論に先立ち、主催した市民団体グリーンライン下北沢代表の高橋ユリカさんらが、歩行者が楽しめる米ニューヨークの線路跡地利用の実例などを紹介した。小林正美明治大教授を司会に討論が行われ、「現在の街並みは災害時に緊急車両が入りにくく課題がある」「街に公共空間が少ないので、ちょっと腰掛けて話ができるようなスペースがほしい」などの声が上がった。

 保坂区長は「緑豊かな空間を創出し、災害時は緊急車両や人々が移動できるようなスペースにする案を考えたい」などと述べ、本年度中に区民意見を踏まえた計画案をまとめ、小田急電鉄側と交渉する方針を説明した。

 小田急線の線路地下化は、下北沢駅を含めて世田谷代田駅付近-東北沢駅付近の二・二キロで、二〇一三年度の完成を目指している。 下北沢駅周辺の再開発をめぐっては、地元で賛否が分かれている。今回のパネル討論は、大きな意見の違いがない線路跡地利用をテーマに行われた。 (東京新聞

〔引用終了〕

 これからの時間を有効に生かしてよい案にまとめ、鉄道事業者ともよく話し合っていきたい。区民参加の場を引き続きつくるだけではなくて、「3・11」後の日本を象徴するプロジェクトにしていきたい。



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