TOP PAGE BLOG ENGLISH CONTACT




 昨日、沖縄から帰ってきた。大田昌秀元知事には「まだまだ若い。あきらめずに必ず戦い続けろ」と激励され、夜は岡留安則さんの経営する居酒屋で三々五々知人・友人が集まってきて選挙戦をふりかえった。伊波洋一宜野湾市長とも会い、短い日程の中で知事選を前にした沖縄の状況にもふれてきた。9月12日投票の沖縄版統一自治体選挙があり、名護市議会議員選挙もふくめて多くの自治体で選挙が行なわれる。その動きと同期して、知事選の準備をするためには、8月始めには候補が走り出している必要がある。昨朝、沖縄で『琉球新報』を広げると、1面トップがアメリカで在沖海兵隊不要論が広がっているという記事だった。以下紹介をする。

〔引用開始〕

「在沖海兵隊不要論 広がる不要論――下院の重鎮「冷戦の遺物」(『琉球新報』)
在沖米海兵隊の不要論が最近、米国内で急速にわき上がっている。米民主党の重鎮で、政府に影響力を持つバーニー・フランク下院歳出委員長が「米国が世界の警察だという見解は冷戦の遺物であり、時代遅れだ。沖縄に海兵隊がいる必要はない」と公に訴えたことがきっかけだ。同氏らの意見が反響を呼び、メディアも大々的に取り上げている。背景にあるのは深刻な財政赤字。リーマン・ショック以降、不況で生活に苦しむ国民の不満が、膨大な軍事費に向き始めている。米軍の戦略見直しと財政再建の必要性が合わさり、海外駐留米軍の撤退を求める声は拡大する様相を見せている。

ことの発端は今月6日。与党フランク氏と野党ロン・ポール氏の両下院議員が、米国の有力サイト「ハフィントン・ポスト」に寄せた論文だ。「なぜわれわれは軍事費を削減しなければならないのか」と題し、2010年度の軍事費6930億ドル(約61兆円)は歳出全体の42%にも上り、経済活動や国民生活を圧迫していると説明。米国が超大国として他国に関与することが、逆に反米感情を生み出している側面も指摘した。

 結論として「財政再建と雇用創出が国の最優先事項だ。度を越した軍事費問題に取り組まなければならない」と強調した。

 この記事が大きな反響を呼んだ。8日に大手テレビMSNBCやCNNニュースはフランク氏らを招き、論点を取り上げた。10日は米公共ラジオ局も取り上げ、フランク氏は「1万5千人の在沖海兵隊が中国に上陸し、何百万もの中国軍と戦うなんて誰も思っていない。彼らは65年前に終わった戦争の遺物だ。沖縄に海兵隊は要らない。超党派で協力し、この議論を提示していきたい」と訴えた。

 12日のウォールストリート・ジャーナルは「普天間飛行場の県外・国外移設を望む沖縄に、強力な助っ人が現れた」とし、今後この動きが加速する可能性に触れた。

 国会議員を15期30年務め、政治手腕に評価の高いフランク氏の発言には、綿密な裏付けがある。自らが主導し超党派で立ち上げた軍事特別委員会が、6月に発表した報告書だ。軍事専門家らを交えて軍事費を細かく精査した結果、欧州やアジアの駐留軍の縮小、オスプレイなど軍用機調達の停止・延期などによって、10年で1兆ドル(約88兆円)が削減できるとの試算を出した。

 ワシントン・ポスト紙は、この報告書を踏まえた記事を掲載し、「米国は世界の警察として、アフガニスタンやイラクだけでも1兆ドルを費やしてきたが、世界の中の役割について再考が必要だ。われわれはそろそろ正直に、そして公に議論すべき時期にきているのではないか」と、海外駐留米軍の役割について国民的議論を呼び掛けた。(与那嶺路代ワシントン特派員)

〔引用終了〕

 鳩山・菅政権と日本政府が「沖縄基地問題」はアメリカの言いなりに辺野古へと硬直した姿勢を取る中で、たしかにフランク議員の発言は「沖縄にとっての強力な助っ人」である。『ウォールストリート・ジャーナル』は日本語版のHPで、アメリカ民主党の重鎮であるフランク下院歳出委員長の発言を紹介している。さっそく引用することにする。

〔引用開始〕

2010/7/12フランク米下院議員、沖縄の米海兵隊の撤退を主張

 普天間基地の県外・国外移設を望む沖縄の人々にとって強力な助っ人が新たに現れた。米民主党のベテラン議員、バーニー・フランク下院議員だ。

 名前のごとく歯に衣着せぬ発言で有名なフランク議員は、米議会の中でも発言が最も注目される政治家の1人だが、先週のトークショーで普天間基地問題につい て物議を醸す発言をした。フランク議員は7月8日のMSNBCの番組“モーニング・ジョー”で「私が(海兵隊が駐留する普天間基地について)話をした人の ほとんどが、アメリカの海兵隊はジョン・ウェインが亡くなったころに沖縄から撤退していたと思っていたみたいだ」と往年のハリウッドスターの名前を交えな がら語り、「海兵隊がいまだに沖縄にいる意味が私にはよく分からないね」と話した。

フランク議員はさらに「確かに私も沖縄周辺で台湾と対峙している中国を野放しにしたくはないが、1万5000人もいる沖縄の米海兵隊が今後、中国本土に上陸して、中国軍と戦うことになるとは思えないね。他に空軍も海軍もあるだろう」と発言を続けた。

マサチューセッツ州選出のリベラル派の民主党員であるフランク議員が、テキサス州選出の共和党のロン・ポール下院議員と共同で、防衛費の削減、特に海外駐留の支出の大幅削減を主張する論文を7月6日に発表すると、メディアで大々的に取り上げられ、このところ同議員に対して取材が相次いでいる。この論文自体は沖縄の米軍問題について言及しているわけではないが、フランク議員はメディアの取材で、第2次世界大戦の遺産で21世紀には意味のないものとなっている無駄な支出の象徴として沖縄の米軍基地についてたびたび言及している。

フランク議員は7月10日、米ナショナル・パブリック・ラジオの取材に対して「沖縄に1万5000人もの海兵隊は必要ない。沖縄に駐留する海兵隊は65年前に終わった戦争の遺物に過ぎない」と述べた。

〔引用終了〕

 参議院選挙では、当の沖縄現地ですら「普天間問題」が争点にならなかった。なぜなら、当選した自民党の島尻候補が、「普天間基地の県外・国外移転」を訴えて勝ったからだ。『沖縄タイムス』をちょっと見てみよう。

〔引用開始〕

再選の島尻議員、県内反対、普天間移設

参院選沖縄選挙区で、再選を果たした自民党公認の島尻安伊子氏(45)=公明県本支持=は12日午前、沖縄タイムス社の当選者インタビューに応じた。米軍普天間飛行場移設問題への対応について「自公政権時代に、苦渋の選択で地元が受け入れたような状況にはない。地元合意のない辺野古(移設)は無理。沖縄の民意は基地のない平和な沖縄が大前提であり、その原点に立ち返った」と述べ、日米共同声明の撤回を政府に求める立場を明確にした。

 島尻氏は「基地問題は長年の課題。少しでも糸を解きほぐすきっかけにしたい」と語り、訪米して米政府に県の考えや県民の意思を伝える意向を示した。(沖縄タイムス)

〔引用終了〕

 島尻氏の言うように「地元合意のない辺野古移設は無理」だ。しかし、自民党も民主党も、その他の新党も、アメリカの日米同盟ロビイスト(別名ジャパンハンドラー)の鼻息に吹き飛ばされるが如く、「辺野古」を絶対視している。せめて、参議院選挙の最中に、実のある議論がしたかった。アメリカでのもブッシュ政権以来の軍事費急膨張に歯止めをかける動きが出てきて、フランク氏のような発言が出てきたことに注目したい。

 どうも大手メディアを読んでいる限り、こうした動きはまったく報道されていないのが不思議だ。
沖縄の新聞にこれからも注意をはらっていこう。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« 沖縄にて、「... 今日は、選挙... »