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2回続けて『週刊朝日』で公共事業の現場である「八ッ場ダム」「泡瀬干潟」と報告してきた。石原慎太郎東京都知事らの「反撃」もあるが、大型公共事業に依存してきた戦後日本社会にとって、大きな転換点が「政権交代」であり、「ポスト大型公共事業」の時代に入るという流れは変わらないだろう。折しも、リーマンショックから1年、経済の低迷が続く中で、新政権は「新たな雇用の創出」を緊急の課題としている。私は、「公共事業は全否定、全部止めろ」という論者ではない。むしろ、「公共性・公益性」のある事業として質的転換をはかることが大事だと考えている。

たとえば、高速道路など高規格道路の建設は進むが、30年間も補修を放置されている生活道路には予算がまわらないという現実がある。高速道路を凍結したのなら、生活道路に転換するという「公共事業の切り換え」が必要となる。ダム建設を停止したのなら、森林保全(みどりのダム)に人と予算をふりむける必要がある。また治水と言うのなら、遊水地をもうけたり、川の浚渫などをしっかり行い、少ない予算で効果的に洪水に対処できるようにすることも大切だ。

日本全国の建設・土木の「技術力」「労働力」を生かして、公共性・公益性のある公共事業に転換するためには、「開発から修復へ」と予算要求・執行の軸心を変えることにある。年間10兆円の公共事業をやってきた日本は、30年で300兆円の「社会資本」を築き上げたことになる。ダムや道路、橋、トンネルにも耐用年数というものがあり、30年を経過して老朽化した施設は危険でもあり、「修繕」「補修」を丹念にやらなければならないが、新規事業に引っ張られていてなかなかその予算をつけることが出来なかった。

地中に埋設された水道管・ガス菅も、耐用年数が来たら交換しなければならないが、「わかってはいるが予算がまわらない」ということで放置されていると、ガス爆発や水道管破裂などの事故につながる。人命を脅かす危険度が高まってくる。これまでは、公共事業と利権誘導の「自民党型政治」の下で「新規事業」にばかり目が行き、地道な「修繕」「補修」事業には関心が向かなかった。

暮らしの安全につながり、雇用を確保出来て、公益性・公共性がある事業に思い切った転換をするのが、新政権の方向性だろうと思う。そして、新政権は「コンクリートから人へ」(社民党は「いのちとみどりの公共投資へ」)と言っているが、建設・土木産業から農業・林業といった第1次産業、そして、介護・医療を中心とした高齢化社会にふさわしい充実した「いのちを支える基盤産業」への転換をはかる道を開かなければならない。

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