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『後期高齢者医療制度・怒りのホットライン』を実施したのが、4月24日だった。あれから3週間、この制度に対しての不信と怒りの声は、高まりこそすれど収束に向かう気配はない。「説明不足」「時間がたてば、やがて理解される」と高見の見物をしていた福田内閣と与党も、「このままでは選挙を戦うことが出来ない」とあわて始めた。国民年金のみの給付で生活している人など低所得者の減免措置などで批判をかわそうとしているが、後期高齢者医療制度そのものの骨格を大幅に変更することなどは選択肢にない。そこで、5月の連休を利用して阿部知子さんと後期高齢者医療制度への怒りをコンパクトに結集する単行本を出すことにした。タイトルは『どうなる? 高齢者の医療制度』(阿部知子・保坂展人著・ジャンパンマシニスト社・予価777円[税込み])だ。ここに「はじめに」の原稿を紹介することにする。

[はじめに]

2008年4月15日、「後期高齢者医療制度」が発足して初めての年金からの「天引き」が始まりました。その保険料は平均で月額6000円(年間72000円)で、介護保険料をあわせると約1万円となり、年金生活者の高齢者への負担は大きいもの。「天引き」は、年間18万円(月額1万5千円)以下の年金受給者か無年金者、介護保険とあわせた保険料が年金受給額の半額を超える人については行われませんが、75歳以上の人々1300万人のうち8割が「天引き」の対象となりました。

4月24日、私たちが「後期高齢者医療制度・怒りのホットライン」を呼びかけると、続々と全国の高齢者から電話が入りました。

「年金が1月7万5千円しかないのに、天引きされては苦しい。子どもには頼れないし、生きていく自信がなくなる」(愛知県・女性・77歳)

「扶養の母は88歳。国民年金で6万3千円もらっているが、介護保険料8300円と後期高齢者医療制度保険料6700円で計1万5千円天引きされる。手取りは4万8千円となる。母が可哀相だ。腹立たしくてどうにもならない」(青森県・男性・71歳

「高齢者に対する切り捨て行為。生産性のない高齢者は、早期に死ねと言うのだろうか。私は76歳、母は101歳だ。年金は、引かれる一方で、老人ホームにいるが、介護保険料と今回の天引きで生きていけないぐらいの危機感でいっぱいだ」(東京都・女性・76歳)

「長生きすることが、差別・選別される。罪人みたいに『後期高齢者』と言うのはおかしい。「終わりが近い」と政府に言われる筋合いはない。人間を無視し、大切にしない制度だ」(千葉県・男性・80歳)

3時間の間に67本かかってきた電話の一部です。まだ制度が始まったばかりなのに、悲鳴があがっています。4月25日、世田谷区三軒茶屋にある『しゃれなあど』(区民会館別館)で、小児科医で医師の阿部知子さん(衆議院議員・社民党政策審議会長)を招いて、講演をしていただいてから対談をしました。約百人の人たちが集まりましたが、みんな真剣な表情で聞いています。半数近くが70代の人たちで、街頭で手にしたチラシを持って来場した人もいました。複雑な制度ですから、阿部さんも、すべてを語りきったわけではありませんが、参加者からは「テレビや新聞だけでは判らないことがはっきりした」と評判も上々でした。

この時の記録をもとにして、この本はつくられています。「後期高齢者医療制度って、いったい何なんだろう」という疑問に答えて、制度が発足してから明らかになった矛盾点や仰天するような「安楽死のススメ」とも言える「終末期医療」について記録作成した医師への報酬(わずか2000円)という問題などにもふれています。政府・与党は、あまりもの評判の悪さにたじろいで制度の「微修正」を検討しています。この本の発売後に、いくらかの「負担軽減」を行うかもしれません。

時限爆弾のように時間差攻撃で高齢者医療を破壊するプログラムは、すでに動き始めています。今年の秋からは、75歳以上の患者を90日以上入院させておくと、病院側の収入が3分の2になるという恐怖の「強制退院・追い出し索」が本格化します。「天引き」されない低所得の人たちの保険証を取り上げるのも、この制度が1年を経過した09年4月からです。この本をつくってみて判ったのは、これは「高齢者医療破壊」の「うば捨て山制度」なのです。

小泉内閣の元財務大臣で、テレビの御意見番役の「塩爺」こと塩川正三郎さんもも嘆いています。「私は昭和21年の復員後から60余年、86歳の今日まで無我夢中で働き懸命に人生を歩んできたつもりだ。しかし、その紙切れは私の人生を否定するものでしかなかった。世間の『別枠』『邪魔者』になってしまったのか……例えようもない寂しさ、悲しさに襲われた」(産経新聞08年4月17日『「後期」とは社会の「別枠」か』)

なぜこんなことが起きたのでしょうか。

[終わり]

ぜひ、この本を広げて下さい。予約はジャパンマシニスト社まで

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