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「ワールド・カフェをやろう!」 (日本経済新聞出版社)の著者である大川恒さんからの手紙を受け取ったのは昨年のことだった。今、じわじわと広がっているワールド・カフェを世田谷区でも導入してみてはどうかと、世田谷区民でもある大川さんからの提案だった。先日、お会いして世田谷区として今後の20年を展望する「基本構想」の取りまとめの作業に入っていて、「住民・区民参加方式」でやりたいのだが、あまり大人数になってしまうと一方通行の話しになってしまうので、 実際に世田谷区職員の中で志願して企画立案や区民参加の議論に参加していきたいという48人を対象として、5月9日午後から研修の場として自治体職員版ワールド・カフェを行った。

あまり固くならないようにということで、私はあまり話したことのない失敗談を披露した。国会議員当時の話で、夕方、暗くなりかけた瀬戸内海を小豆島に向かって航行中の船の中で、客は私と中川智子(兵庫県宝塚市長)だけだった。船の客席は二層となっていて下にいた私たちは、上部へと移動した。すると、前方には操縦席があるが、誰もそこにはおらず、船のハンドル(舵輪)が時々自動的に動いている。うっ、どうして誰もいないんだろうと驚いていると、隣にいた中川智子さんがさらに驚きの説明を始めた。

「私は若い頃に船会社に勤めていたからよく船のことは知っているの。最近の船はね、スイッチを入れると自動的に航行してアメリカだってどこだって全部自動操縦で行くのよ。だから安心して」

この説明に、やや疲れていたこともあって、私は混乱した。「自動操縦?」 無数の船が行き交う瀬戸内海でそんなことがありえるのか? 本当に目的地に着くのだうか?  そして、小豆島に電話をしてしまった。「私たちは無人の船にふたりだけで乗っていて、本当に島に着くのかどうか心配なんだけど」 電話を受けた人たちは大笑いをしてしいたらしい。ところが、操縦席は無人のままに船は減速し港にスムーズに着岸した。船から降りると甲板にも操縦席があって、そこに乗務員は居た。これは、私にとっては相当に恥ずかしい話で、物事を決めてかかる前によく考え、全体を見ながら判断せよという教訓となっている。ワールド・カフェの前に、こんな話をして自分で面白がっていた。

参加者は11のテーブルに4人づつ座った。大川さんからは、3つのテーマが時間を追って出されていった。「世田谷区の好きな所はどこですか」「世田谷区の20年後にどうなってほしいですか」「そうなる為に区役所はどうなったらいいですか」  その発問がされるたびに、20分から30分の間、白い模造紙に自分の描いたイメージを書き入れていく。二番目の問いで、1人を残して3人はテーブルから離れ、グループは組み変わる。白い模造紙は、どんどん字や図で埋められていく。

最後に最初のテーブルに座った通りに参加者は戻ってくる。そして、「20年後の世田谷区の姿をみんなで相談して一枚の絵にかいて、その絵にタイトルをつけて下さい」との呼びかけがあり、それぞれのテーブルで相談が始まる。知らない者同士が知り合いになり、比較的ハードルの低い話題から、次第に共通認識を有形化していく方法として優れていると思った。これから、住民参加の「ワールド・カフェ」を準備するにあたって、柔軟体操になったかと思う。



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